第223期予選時の投票状況です。8人より23票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
5 | ツリオジ | 志菩龍彦 | 5 |
7 | Brand new _ | 霧野楢人 | 5 |
4 | 仏 | たなかなつみ | 4 |
2 | 序章趣味 | テックスロー | 3 |
3 | 春秋 | shichuan | 3 |
8 | 小学生はつらいよ | euReka | 3 |
なんか、露悪の風景賞。 (この票の参照用リンク)
相変わらず上手いです。物語の構成力は群を抜いていると思います。(この票の参照用リンク)
ミステリ仕立てだが、ことさらに死体にフォーカスしたり、ツリオジの内面を強調したりしない点がとてもよかった。最後ネタ晴らしをする部分も淡々としていて、一歩間違えれば白けてしまうところを、うまくまとめている。(この票の参照用リンク)
「奥さん」については前半にきちんと伏線がありました。ツリオジのあり方自体には、
何も変化がないのに、語り手をはじめとした子供たちは、断片的な情報で、
蔑んでみたり慕ってみたりするあたり、人というものの適当さが現れていて好きです。(この票の参照用リンク)
老境の孤独さとそれを取り巻く子供のなんとも言えない気分がよく描かれていると思いました。満濃池は大きすぎて水を抜くことは不可能なので、空海の伝説のある他の池、つまりは香川県に限定されない話と思って良いでしょう。釣り糸を垂れながら、彼は何を考えていたのか、書かずに読者に想像させるのも良い構成だと思います。
『新月』は『ナイショだよ?』『カフェオレ色の』の続編ですね。今時の高校生の心理は分かりませんが、恋人に従順さを求める男にはげんなりしますし、そんな男、しかも重要な秘密を簡単に男友達に告げてしまう駄目男と付き合うことになったその女子生徒も見る目がないなと思います。髪パサさんに告げ口をする男も愚かですが、いかにも高校にいそうですね。
『仏』はなかなか衝撃的な内容で、衝撃的な光景を描いてくれていますが、生物学的には難しいですし、社会学的にも放置されることは難しいでしょう。その辺りに違和感を覚えてしまったのが残念です。(この票の参照用リンク)
大人には、物事を識別して整理するフィルターみたいなものがあって、いつもそのフィルターを通して世界を見ているのだと思う。
しかし、小さい子どもにはそのフィルターがなく、ダイレクトに物事が入ってくるのかもしれない。
そんなことを考えさせる作品。(この票の参照用リンク)
「カワセミ」のところの美しい描写、感動を言葉で表現できる父と、言葉の世界をもたない無垢な息子。「君にはどんな世界に映るんだい」というある意味で断絶された二人の世界で、父と子が暖かく共鳴しているのが素晴らしい。(この票の参照用リンク)
大人になると子どもがみている景色の魅力が見えなくなりますが、子どもにその魅力を教えてもらえるというのが素敵だと思いました。景色の描写も美しく感じました。(この票の参照用リンク)
「息子」の動きや笑い方があるあるで、とてもよい。「息子」を保護するものとしての、
語り手の視野が、カワセミの出現により一変する感じもすごくよい。全体的に視界が、
丁寧に描写され、その動きに語り手のありようが描かれていて、最後までよかったです。(この票の参照用リンク)
美しい風景を、言葉もままならない乳児と見ている様が美しく感じられました。乳歯が生えるのは六ヶ月くらいから、もう少ししたら支えて立てるようになりますね。美しい光景に心を奪われて言葉が出ない場面が、とても印象的に描かれています。(この票の参照用リンク)
人の姿のように見えるそれは、実は無数の小さな虫の集合体だった、というただそれだけの話なのだが、すごい発想だと思うし、どう理解したらいいのかよく分からないような広がりや深さがある。
秀逸な作品。(この票の参照用リンク)
三作目は序章趣味と悩みました。
背景の描写が丁寧で、それが物語の中心点となる「仏」の凝縮された不確かさと綺麗な対比になっていて、よかったと思います。(この票の参照用リンク)
リアルではあり得ない奇妙な世界を描いていながら、どこかであり得る世界軸のようにも思わせる、いかにも短編小説の雰囲気であると感じました。(この票の参照用リンク)
自分好みでした。フォルムを保てている理由は不明ですが、生き物たちが死んだ者の姿を形作るというのは、例えばガジュマルなどのいわゆる「締め殺しの木」にもしばしば見られるものです。他の生命の介在によって不在と存在が同居するってのは面白い考え方だと思っています。仏というタイトルにもなっとくできるスピリチュアルな読後感でした。(この票の参照用リンク)
面白い視点だと思う。
今この瞬間は、常に始まりであり、物語の序章という捉え方もできる。
でもそれは、人生を一度リセットしたいとか、あるいはそこまで行かなくても、気持ちをリフレッシュしたいという願望からくるものかもしれない。(この票の参照用リンク)
ところどころ引っかかるところもありますが、現実に大半の人たちは、
「序章趣味」なのでは。「老人の切り出す日常の話は、一つとして同じ色のものはなく、
本が開きっぱなしで散らかされているようでもあった」。ここがすごくよかったです。(この票の参照用リンク)
死んだ老人の目を日の出前の地平(あるいは空)に喩えた部分が、誇大でとても面白く印象に残りました。序章趣味の人が校長まで勤め上げるモチベーションって何だったんだろう。
あと、題名が女装趣味と似ていて変なところをくすぐられた気分です。(この票の参照用リンク)
植物の生存競争。新鮮でダイナミックで壮大普遍。
冬に安らぐ、、、のも印象。(この票の参照用リンク)
「親に死んでほしいと願う」という冒頭でぎょっとしてしばらく読むのをためらっていたが、実際読んでみると、静的な木のイメージとたたみかけるような生存競争のギャップがとても面白かった。「根から養分を懸命に吸い上げ、枝先に送る」の緊迫感と、成長のスピードの遅さが感じさせる歯がゆさが何とも言えずよかった。(この票の参照用リンク)
自分好みでした。シードリングバンクという稚樹の集団を形成し、上空が開けるのをじっと待つ木もいますが、それでも大人になれるのはコンマ数%未満でしょう。途方もない物語です。
樹上の果実を食べるツキノワグマは、時に実のなった枝を自分のいる枝に引き寄せてへし折り「クマ棚」というものを作るのですが、この木は幸いそういう被害もなかったか少なく、一か八かの賭けに勝ったようですね。(この票の参照用リンク)
面白い。ネジが一本抜けた世界。小説にしかない世界。(この票の参照用リンク)
意味が分からないシチュエーションではありますが、その発想と展開が本当に面白いです。(この票の参照用リンク)
読み終わって爆笑してしまいました。やられましたね。(この票の参照用リンク)