第182期決勝時の投票状況です。7票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
9 | ディナ | 三浦 | 3 |
13 | バス | euReka | 3 |
1 | シゾフレン | しょうろ | 1 |
神話というものは、出来あがったときにはそれ自身として意味を有するものであり、やがて世代が変わるにつれて原初の意味を失ってしまう。後世の人びとは、その神話のなかに、現代でも分かち合える意味を読みとろうとするが、すでに「原初の意味」とは異なる別の意味を付随させたものとして、それは読まれざるをえない。それがニンゲンの限界であり、興味深いところである。
というようなことを考えながら読みました。それぞれの細部に意味があるものとして読むもよし、ただ繰り返される語りを単純に受けとって、これは何らかの神話であり、細部まで理解できなくてもよいものだと思いながら読むもよし。どちらにせよ、再読するのが楽しい作品だと思いました。(この票の参照用リンク)
運命を繰り返した主人公はその果てに首を落とされるという筋をもつ作品です。
作中では、繰り返す運命の微妙な変化はそれそのものが描写となり、描写は物語を語り、言葉の韻はその変化に影響を与えていきます。
同じ数字の重なりは不吉な出来事の予兆となり、主人公の運命とリンクします。
徹底して受動的に描かれた主人公によって、これらの描写が際立っていると感じました。
こう書き連ねていると、なんだか映画の感想のように思えてしまいますね。
ちなみに読んでいる最中、頭の中で創世戦隊ジュウレンジャーのルベンレッドというようなキャラクターに置き換えてほくそ笑んでました。
とても面白く読ませていただきました。ありがとうございます。(この票の参照用リンク)
掲示板の全感想でも書いたが、この作品は繰り返しの面白さを表現したものであり、その思惑は成功していると思う。統一感を持たせつつ変化を加えるという絶妙なバランスが配慮されており、おそらくそのおかげで、読んでいると心地よさを感じる。
それから、岩西さんが指摘していた「イスラエルの12部族」については、それを知らなくても繰り返しの面白さは感じられると思う。しかし、知った上で読んだらどんな感想になるのかということも少し興味がある(euReka)(この票の参照用リンク)
1.作り方が小説というより歌詞っぽく感じました。考えるな感じろ系は、どうも苦手です。
9.理解出来ないまま終わってしまいました。宗教を題材にした物語自体は好みなので、理解出来なかったことが残念です。
13.わかりやすさと深みを兼ね備えている作品。物語自体が比喩的・象徴的であり、伝えたい本質が最後に垣間見えるのも良かったです。(この票の参照用リンク)
#1
何回読んでもよくわからなかった。即身仏も僧も、虫も、英語も、タイトルもよくわからない。酔っているのかなと思った。
#9
意味を持たない潔さ、あるいは意図せず意味を持つことが許されないだけなのか。意味がないから解釈は無限だし、皆無でもある。連ねられた名前や数字から物語を感じとることができないのは読む側の問題かもしれない。畳み掛けるというよりは、むやみやたらに積み重なるように感じてしまった。
#13
決勝作品のなかで最も分かりやすく親切だった。物語と記号化、読者との距離のバランスがちょうどいいというか。ミームのことを思い出した。老人の語りにやや、作者さんの説教くささを感じる。
今期はバランスのよさからこちらに。(この票の参照用リンク)
予選で入れた「バス」に決めた。
「シゾフレン」と「ディナ」はよくわからなかった。単純に楽しめばいいとは思うが「シゾフレン」の障壁は英語で私には理解できない部分が多かった。euRekaさんの言うように「ディナ」を繰り返しの面白さだと解釈しても、私には歴史的な神話をただ焼き直ししただけのように思えてしまった。「バス」には私の解釈の未来を感じた。(この票の参照用リンク)
統合失調症というタイトルのこの作品は統合失調症のことを描いているようには読めないが、感情を表現するという点で決勝の中では抜きん出ている。(この票の参照用リンク)