第182期 #9
私しかいなかった。遮るものもなかった。誰か人のいるところへ行こうと思ったが、太陽を眺めているうちに暗くなって眠ることにした。寒さに目を覚ますと、天幕の中に誰かが立っていた。来い、とその人は言った。その人のではない腕が私を立ち上がらせて天幕の外へ連れ出し、馬が牽く荷車の上へ押し出した。私と同じような顔をした九人が私を見つめた。天幕が燃やされ、私の荷が奪われた。悲しくないのかと私のそばにいる人が言った。とても悲しいと私は答えた。
九人はそれぞれ、ルベン、シメオン、イッサカル、ゼブルン、ダン、ナフタリ、ガド、アシェル、ヨセフと名乗った。そして偽りだとも言った。私はディナと名乗り、偽りだと言った。
私たちは市に出された。その日のうちに、ルベン、イッサカル、ゼブルン、ダン、ナフタリ、ガド、アシェルが散り散りに買われていき、三日目にはヨセフとシメオンが買われていった。五日目に私を買う者が現れ、馬が牽く荷車の後ろを歩かされて九日、初めての主人の邸に辿り着いた。
初めての主人は四十日目に死に、二番目の主人もまた四十日目に死んだ。三番目の主人も四十日目に死ぬと私を買う者はいなくなり、私は私しかいないところへ行って四十夜明かした。そして遮るもののないところへ移り四十夜明かしたところで誰かが私に語りかけた。それは私の知る私の声に似ていた。その人の腕が私を立ち上がらせて天幕の外へ連れ出し、馬の背に乗せた。私と同じような顔をした九人が馬上から私を見つめた。天幕が畳まれ、私の荷が馬の背に載せられた。怖いかと私のそばにいる人が言った。怖くないと私は答えた。
私たちは四十日のうちに四十の国を滅ぼした。そこには私たちの故国も含まれていたが、私たちのゆかりの人々はすでになかった。私たちは私たちのために建国し、そこで暮らした。しかし四十日後には四十の国に分かれていた。
誰もいないところへ行こうとしたが、四十の民が私を阻んだ。四十夜目に目を覚ますと、寝室の中に誰かが立っていた。その人のではない腕が私を立ち上がらせて寝室の外へ連れ出し、跪かせた。私と同じ顔をした九人が私を見つめた。九人はそれぞれ、ルベン、シメオン、イッサカル、ゼブルン、ダン、ナフタリ、ガド、アシェル、ヨセフと名乗った。そして偽りだとも言った。火が放たれ、刀を持った九人が私のそばに立った。怖いのかと誰かが言った。とても怖いと私は答えた。