第15期決勝時の投票状況です。16票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
14 | 大瑕瑾 | ツチダ | 7 |
16 | 総菜屋の猫 | 戦場ガ原蛇足ノ助 | 5 |
29 | スクリーマーズ | るるるぶ☆どっぐちゃん | 3 |
- | なし | 1 |
この作品については私的感想でも書き、予選の際にも推したので、今さら言うことはないようである。
他の二作について記しておこうと思う。『総菜屋の猫』であるが、昔たしかに存在して今は失われた光景を描くというモチーフは、『半焼の家』と共通のものがあり、さらに読者に通じやすい形になっていて良かった。ただ、最後の「総菜屋の猫は白かったなどと言い張る輩」云々という所が、作者の籠めた意図を読み取りそこねているかも知れぬが、よく判らなかった。急に思いつきで流してしまったような感じもした。
『スクリーマーズ』も、今ひとつピンと来なかった。訳のわからなさは『大瑕瑾』と似たようなものかと言えばそうでもあり、すると単に『大瑕瑾』は内輪ネタだから面白いのかという事になるが、やはりそうではないと言いたい気がするけれども、その辺はうまく言えない。
私の読み取った所では、この作品は三つのパーツから出来ている。最初が、屋上からソフトクリームを投げる場面、次に突然少女の折檻(このシーンは中々良い)、そして女の子達(と複数になっているのも突然だが)とソフトクリームを食べに行く。これら三つがどうも時間的にも因果的にもそして喩的にも、前後の関係としては消化しきれない感じがするのである。(この票の参照用リンク)
勢いに丸め込まれて納得するかしないかはその人次第という作品でしたね。私は丸め込まれましたが。
「瑕瑾さんは愛されているなあ」と思いました。(この票の参照用リンク)
かなりおもしろい。(この票の参照用リンク)
「大瑕瑾」が一番ボリュームがあったように思う。総菜もアイスクリームも好きな作品なのだけど、ややあっさり目の印象。「大瑕瑾」の強さにはちょっと敵わないのではないかと。(この票の参照用リンク)
テンポが良くて面白いので、予選のときも投票させて頂いた作品です。予選通過3作品の中では、この作品がぶっちぎりで面白いと思うので、一位になるといいなーと思います。(この票の参照用リンク)
新しい物が読みたいと思っていた今の私の気分に、一番マッチした作品です。とりまく状況や人との絡み具合に、人間本来の「粗」を見る思いがしました。人の「死」は避けて通れないものですし、それをかいくぐって人生は「続く」のだろうなぁと(お話の続きがあるかないかは別にして)そんな印象を持ちました。(この票の参照用リンク)
設定ですね。『短編』という形式(1,000字)との相性がいいのかも知れないが(って俺だけに固有の感覚かも知れないが)結構こういう冒頭にポンと設定が提示される作品が(いままでのところ)比較的に好み。まあ自分に出来ない系統の技だからかも知れないが。
こういう作品って必然的にこう、独特というか典型的というか印象的なんだよね。「司書の仕事」「地下鉄」とかまあ世界観を提示する作品。「総菜屋の猫」「スクリーマーズ」確かに比較としては「大瑕瑾」に引けをとるトコないように思うのだが、この三作の読後、一言で全てを言い表せるような強い印象を残した作品がこれ。「大瑕瑾」の一言で全てを象徴できるような気がする。「惣菜屋の猫」「スクリーマーズ」はどうしても「〜の話の猫」「〜の話のアイスクリーム」というような感じで二次名詞的説明的な思い出し方、って感じがする。(この票の参照用リンク)
「大瑕瑾」とどちらにしようか迷った。
面白いのは正直「大瑕瑾」だと思うが、内輪ネタ。
こっちのほうが何も知らない人が見てもわかる作品だということで(この票の参照用リンク)
キッチリと物語を作ったということを評価。商店街がすたれていく様子や人間模様は削られているが、猫を定点に用いたスポットライト効果により、寂寥と優しさがよく醸し出されている。猫の視点に語り手の思いが溶かし込まれている。いたずらにシュールに走ることなく、「語る」という王道を見せてくれた。(この票の参照用リンク)
後半少し急ぎすぎな気がしないでもないですが今期はこれで決まりな感じ。投票し忘れる前にポチっと投票。(この票の参照用リンク)
今回決勝にあがってきたのは自分的にもベストスリー。
「大瑕瑾」は、内輪ネタといえばそうなんだけど、だけどこの面白さはやっぱり作品のちからなんだと思う。外部の人も途中まで読んでてわかんないかな、瑕瑾って人が(どんな人か知らんが)ネタになってるっぽいな、って。
で、総菜屋の猫。これはすごくよかった。作者は前にも似たような手触りのものを書いてた気がするけど、こっちのほうが小説としてありありと感じられる。最後の一文は気になるけど、よかった。
「スクリーマーズ」。るるるぶ☆どっぐちゃんさんの作品は以前は夜なのか、昼なのか、太陽が出ているのか、月が出ているのか、が、読んでるほうの頭のなかに背景として浮かぶような、色付きが多かったように思う。人物もデフォルメされたように感じる。と個人的に思う最近の作品のなかでは一番好きなかんじ。
と、それぞれ良かったなかで、ベストワンは総菜屋の猫でした。(この票の参照用リンク)
他の二点と比べたらこれ。などという消極的な理由ではいけないかもしれませんが・・・。宜しくお願いします。(この票の参照用リンク)
「大瑕瑾」は大変面白かったのですが、「短編」を見ず知らずの読者に薦めるには向かないと考え、選択肢からは外しました。「総菜屋の猫」も好きな作品なのですが、今ひとつ地味という気がしました。インパクトも十分あり、予選でも投票した「スクリーマーズ」を推します。(この票の参照用リンク)
これしかないようです。
『大瑕瑾』は、ネタの運用といったらほとんど出オチ(しかもダジャレ)なんだが、それをナンセンスなエスカレートで最後までひっぱる力はすばらしいと思う。しかし、瑕瑾さんという人間を題材に取って、出オチでしかないとはもったいない。まあ、なんだか知らないが猛威をふるってるかんじ、で充分と言えば充分なのかもしれないが。
『総菜屋の猫』は、いかにもイカニモなイイ話なんだが、最後がキザだった。なぜキザに感じたのか考えてみると、話者はこの商店街に対してそれほどクールではないからだろう。勝手な推測(=個人的意見の表明)が目につき、関心の高さを示している。とくに店の主人に皮肉を言っている。皮肉を言うからには、この人物個人をごく一時的にせよ研究し、ある明確な感慨をいだいたということであり、話のしめくくりに彼の存在を「大勢」のひとりとして無視するのは無理があり、意識的な無視、すなわち気取り、ゆえにキザであると感じられてならない。
これらにひきかえ『スクリーマーズ』はネタの運用がまんべんなく、定規やアイスといった象徴的なガジェットがそつなく物語に消化され、キャラクターも文章も無理なく自然体であり描写には一定のシャレたトーンがあり、大胆な話の転換さえも違和感なく……と、とにかく完成度の点からしても文句なし。これしかないようです。(この票の参照用リンク)
悩みに悩んで、唯一予選で投票しなかったこの作品を選びます。途中の、ぱちんぱちんと叩くところはあまり好きではないのですが、美しい冒頭に一票。言葉選びのセンスを感じます。
『大瑕瑾』は非常に面白かったのですが、何度も読むとさすがに面白みが無くなってくる。作品の性質上しかたないことではありますが。
『総菜屋の猫』も予選では投票しましたが、読み返してみるとどうも地味さばかりが目に付きました。
うーん、しかし、どれに投票してもおかしくなかった。(この票の参照用リンク)
サア困った。前期も「なし」今期も「なし」じゃア詰らない。しかし投票したいナァと思える作品が無いンだから致仕方無い。勝ち残った御三方の作風はピッタリ合う時と合わない時の差が激しくッて、今期は合わない方だったンだねェ、三人が三人とも御自分の節回しに酔っていやしねェかと訊きたくなる程に鼻に付く。
「大瑕瑾」は「自殺スレスレの物質」、この「物質」で萎えちまッた。
「総菜屋の猫」は最後の一文、蛇足なンて可愛い物じゃねェだろう。ブチ壊しもいいとこだ。
「スクリーマーズ」は何ンだか小手先で書いてるように見えちまッて。るるるぶ☆どっぐちゃん、あンた、こんなとこで満足してる作者じゃねェだろ。もっとガツンとどでかい話書いとくれよ。(この票の参照用リンク)