第15期決勝時の、#14大瑕瑾(ツチダ)への投票です(7票)。
この作品については私的感想でも書き、予選の際にも推したので、今さら言うことはないようである。
他の二作について記しておこうと思う。『総菜屋の猫』であるが、昔たしかに存在して今は失われた光景を描くというモチーフは、『半焼の家』と共通のものがあり、さらに読者に通じやすい形になっていて良かった。ただ、最後の「総菜屋の猫は白かったなどと言い張る輩」云々という所が、作者の籠めた意図を読み取りそこねているかも知れぬが、よく判らなかった。急に思いつきで流してしまったような感じもした。
『スクリーマーズ』も、今ひとつピンと来なかった。訳のわからなさは『大瑕瑾』と似たようなものかと言えばそうでもあり、すると単に『大瑕瑾』は内輪ネタだから面白いのかという事になるが、やはりそうではないと言いたい気がするけれども、その辺はうまく言えない。
私の読み取った所では、この作品は三つのパーツから出来ている。最初が、屋上からソフトクリームを投げる場面、次に突然少女の折檻(このシーンは中々良い)、そして女の子達(と複数になっているのも突然だが)とソフトクリームを食べに行く。これら三つがどうも時間的にも因果的にもそして喩的にも、前後の関係としては消化しきれない感じがするのである。
参照用リンク: #date20031122-202232
勢いに丸め込まれて納得するかしないかはその人次第という作品でしたね。私は丸め込まれましたが。
「瑕瑾さんは愛されているなあ」と思いました。
参照用リンク: #date20031122-193220
「大瑕瑾」が一番ボリュームがあったように思う。総菜もアイスクリームも好きな作品なのだけど、ややあっさり目の印象。「大瑕瑾」の強さにはちょっと敵わないのではないかと。
参照用リンク: #date20031120-221902
テンポが良くて面白いので、予選のときも投票させて頂いた作品です。予選通過3作品の中では、この作品がぶっちぎりで面白いと思うので、一位になるといいなーと思います。
参照用リンク: #date20031120-101457
新しい物が読みたいと思っていた今の私の気分に、一番マッチした作品です。とりまく状況や人との絡み具合に、人間本来の「粗」を見る思いがしました。人の「死」は避けて通れないものですし、それをかいくぐって人生は「続く」のだろうなぁと(お話の続きがあるかないかは別にして)そんな印象を持ちました。
参照用リンク: #date20031118-155023
設定ですね。『短編』という形式(1,000字)との相性がいいのかも知れないが(って俺だけに固有の感覚かも知れないが)結構こういう冒頭にポンと設定が提示される作品が(いままでのところ)比較的に好み。まあ自分に出来ない系統の技だからかも知れないが。
こういう作品って必然的にこう、独特というか典型的というか印象的なんだよね。「司書の仕事」「地下鉄」とかまあ世界観を提示する作品。「総菜屋の猫」「スクリーマーズ」確かに比較としては「大瑕瑾」に引けをとるトコないように思うのだが、この三作の読後、一言で全てを言い表せるような強い印象を残した作品がこれ。「大瑕瑾」の一言で全てを象徴できるような気がする。「惣菜屋の猫」「スクリーマーズ」はどうしても「〜の話の猫」「〜の話のアイスクリーム」というような感じで二次名詞的説明的な思い出し方、って感じがする。
参照用リンク: #date20031115-010936