第100期決勝時の投票状況です。7票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
10 | うたかた | 三浦 | 3 |
9 | 茶柱 | 八海宵一 | 1 |
13 | スノウ・ホワイト | サカヅキイヅミ | 1 |
27 | クレーンの夏 | キリハラ | 1 |
- | なし | 1 |
予選から一押しなんで、この作品に。
こういう作品でこれだけの触感があるというのは素晴らしいと思う。特に冒頭、「冬の朝のように張り詰めた暗黒に、それだけ生白い幼い両腕が伸びていて、影でしかないわたしはその子を胸に抱き上げた。目を覚ますと、夢の中の子が、わたしの胸の上で深い眠りに落ちていた。」この、生白い幼い両腕がわたしに向かって伸びているさまなど子供のありようが目に浮かぶ。夢の中の子が胸の上で深い眠りに落ちている、など寝姿が実に乳児で、すごい冒頭だと思った。この一行にここまでリアルな触感を覚えるのは、私が赤子を二人育てたからかも知れないけども、それだけでなく、この作品を貫く何かが私を捉えて離さない。
こういった類の小説にはある一定のリアリティがないと、書いた側が気持ちいいだけの小説になりがちだが、実のある味わい深い作品だと思う。そしてラストの着地点も素晴らしい。その寂しさみたいなものがまるで私のもののように感じられた。そういう作品は数少ない。記念すべき100期に読めて良かった。 (この票の参照用リンク)
この作品の、終始つきまとう薄ら寒い感覚が最も印象深かった。(この票の参照用リンク)
「十四歳」は別の方だったのですね。ふーむ。決勝に残った作品は、どれも良作ですが、改めて読むと「うたかた」が秀逸。終わり方も良いし、不思議な世界観も素敵でした。(この票の参照用リンク)
「ぺったんこ」が予選落ちしたのは残念。
「うたかた」は芥川龍之介ばりの、文学作品だが、どこかで読んだことがあるような、感想で、……それは、時代がないのだと感じた。時刻にさををさすような創作感覚を読ませてほしい。
100回記念の決勝には、「茶柱」をすいせんします。(この票の参照用リンク)
個人的に好きな内容の話です。1(この票の参照用リンク)
うたかたと迷いましたがこちらに。クレーンで太陽を吊るすというその発想に。(この票の参照用リンク)
記念すべき回の決勝で票なしというのは大変申し訳ないが、ほとんど記憶に残っていない作品ばかりだったので、無理に選ぶよりは票なしのほうがいいかと思ったのでそのようにする。短編読者と自分の感覚というのは、ずいぶんズレているのだなあということが良く分かった。それだけでも私にとっては大きな収穫である。創作において、一番怖いのは自己満足するということである。その意味において、この短編というサイトは(私個人の感想でしかないかもしれないが)なかなか自己満足させてくれない優れた小説投稿サイトであると思う。
あらためて、第100期、おめでとうございます。(この票の参照用リンク)