第50期決勝時の投票状況です。10票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
21 | 愛唱歌 | 三浦 | 5 |
25 | 蝶と蜻蛉と蟻 | 海坂他人 | 4 |
30 | ちーちゃん | 曠野反次郎 | 1 |
何かを主張するわけではない文章ならば楽しいほうがいいだろう、ということで愛唱歌に投票します。(この票の参照用リンク)
今回ほど迷ったのも珍しかった。最終的に、三浦さん「愛唱歌」を選んだのは、こんなに楽しい作品を読むのがひっさしぶりだったから。でもあらのさんのも、海坂さんのも実によかった。(この票の参照用リンク)
愛唱歌
たのしい気分になれました。
歩き続ける話というのはいいですね。
蟲
ミュージカル部分から音が聞こえてこなかった。
最初のジンタ部分の方からは聞こえてきて楽しかった。
蝶と蜻蛉と蟻
感情を抑制したところから生まれる美しさ。
「愛唱歌」と比べると珍しさに欠けた。
ちーちゃん
「さよやで」という言葉がすごかった。
これも「愛唱歌」と比べて珍しさに欠けた。(この票の参照用リンク)
愉しい気持になって、散歩に行きたいと思いました。川野(この票の参照用リンク)
読みやすい。好みの不条理ワールド。(この票の参照用リンク)
作者は何か思うところがあったのかもしれないし、
これといって深く考えることはしなかったのかもしれない。
どちらにもとれるゆとりを残してあるところが良いと思う。(この票の参照用リンク)
予選票で『愛唱歌』を引き合いに出して投票した『蟲』を推すのが筋ですが、この『蝶と蜻蛉と蟻』は票こそ入れなかったものの好きで、決勝に残ったので読み直してみましたが、やはり好きなので、これを推す事にします。
子供の頃、蟻が組織的に動いている様子に感動し、内臓が消えた昆虫の死骸を見て「死」をおぼろげに感じたのを思い出しました。
主人公が昆虫を介して何かしらを語ろうとしないというのは美点ですね。
『蟲』
私には縁のない頭の働き方で書かれた作品です。憧れます。
『ちーちゃん』
方言は「文字」というよりも「音」なので、台詞には効果絶大です。使えるのがうらやましい。
「僕」とちーちゃんとは大人と子供という関係でありながら、二人の言葉遣いには違いがなく、それがこの会話の面白さのひとつなのかなあと思いました。
(三浦)(この票の参照用リンク)
生と死の圧倒的なコントラストを感じる。
描写が上手い。(この票の参照用リンク)
ドキュメンタリーは物事をどれだけ正確に描写するかという質を必要としていて、この物語はそれだ高い質でできていると思いました。
ところで、短い小説は詩的要素を含んでいて、なので無人称一人語りもひとつの有効な手法だと思うのですが、いかがでしょう。(黒田皐月)(この票の参照用リンク)
『蟲』は題材が奇想天外な上に、叙述の手口がまた斬新で、意欲的な作品とおもった。ミュージカル仕立てにした部分は、じつに上手いと感じたが、私の好みでは普通の文体で押していった方がよかったような気もする。ただ、同じ虫でも拙作に比べればこちらの方が楽しい「小説」であることは間違いない。
『愛唱歌』は、正直に言ってどう味わってよいか私にはよくわからなかった。『神曲』の世界に日本的なものを遭わせてみたらどうなるかという、異文化遭遇のような狙いだろうか。書いていて思い出したが、高橋源一郎なぞのポップ小説のような感じもあるようだ。
『ちーちゃん』は予選でも推した。曠野さんは鬼気迫る抒情を感じさせる作品が多いと思うが、この作品はめずらしく作者の心の温かさを、かすかな照れと共に覗かせているのがよかった。(海)(この票の参照用リンク)