第243期決勝時の投票状況です。7票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
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3 | グロリアスハイジェットでいこうぜ | 霧野楢人 | 5 |
2 | 大切な仕事 | たなかなつみ | 1 |
8 | マイナンバーの功罪 | 朝飯抜太郎 | 1 |
ダサいあだ名に象徴されるかっこ悪さと、それなりに深刻な人生の行き詰まり(スマホを割ったペニーはエピソードがないので深刻かわからないか)を持つ5人の、それでも生きていくと前を向く尊さが、かっこいい。タイトルがビシッと、それをまとめている気がする。
よかったです。(この票の参照用リンク)
勢いで集まったメンバーから失われた一人に対する鎮魂を賑やかに、湿っぽくならないようにやっているのが前向きに感じられました。…読み直してみて、予選の時よりは印象が良くなりました。
『マイナンバーの功罪』は、群体化技術の方が呪術対策より難しそうに感じられてしまって、どうにも引っかかってしまったのが残念でした。(この票の参照用リンク)
ついてなくて、ちょっとカッコ悪い、若い男たちの、お上品すぎない、リアルな仲間意識。仲間の喪失という一大事件に整理をつけるための、五人らしい儀式の旅。
無人温泉が寒かったエピソードや、軽カーゴという車種、その呼び名にまつわるエピソードなどで、彼らの微妙なスケール感がうまく設定されているように見える。
思い通りにいかないことに対して、若者はどのように付き合っていくのか?この作品は、一つのプロトタイプであるように感じます。(この票の参照用リンク)
今年もよろしくお願いします。
#2については読み手の感情の揺さぶりは強くて好みでしたが意外性、新規性不足。#8は新規性に富んでいますが感情はあまり動かされませんでした。#4, #5については感情の動きも新規性も弱かったです。
#3は、予選時にも書きましたが、オタケが存命であるとミスリードさせることで意外性を感じさせ、同時に感情の振れ幅を大きくしています。読後に振り返ると、軽いノリの会話にすら叙情を感じさせる、語りの手腕が見事でした。(この票の参照用リンク)
本年もよろしくお願いします。
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みんなキャラが立っていて、1000文字で完成されていると思いました。ハイジェット、って名前だけですでにかっこいいのに、グロリアスを付ける感じが素敵です。(この票の参照用リンク)
私も昔、建設現場で日雇いのバイトをしていたときに同じような経験をしたことがある。私に与えられた仕事は、コンクリートから長く突き出した鉄筋の棒をひたすら折り曲げるというもの。鉄筋は意外と硬くて折り曲げるのに骨が折れるし、割と大きな建設現場だったから、折り曲げなきゃいけない鉄筋の数は無数にある。
一緒に作業をしていた年配の人に、なぜこんなことをする必要があるのか聞いてみたが、自分もよく知らないと。不要な鉄筋なら切断すればいいのに、なぜわざわざ曲げる必要があるのだろうか、という疑問を抱えたまま日雇いの仕事は終わり、日当を貰って私は家に帰った……。
建設工事のプロなら鉄筋を曲げる理由を知っているのだろうが、末端の者にはまったく意味が分からない。そういうのって、単なる機械の一部になったみたいで、疎外感があるよなと思う。
この作品は、そういう空しくて不条理な行為を神聖なもののように捉えてみるという視点が面白い。(この票の参照用リンク)
純粋に楽しかったです。振り切ったSFなのでツッコミどころは探せばキリがないけれど、そんなのは織り込み済みでしょう。前作はより文学的ナンセンスに走った感があり、個人的には敬遠しましたが、今作は時系列や諸々の整合関係など縦横に設定が練られていて、現実の制度にも(本格的に)絡めた妙なリアルっぽさにくすぐられました。
いなり寿司パンも悩みました。弁当をぶっ飛ばす勢いがなんか好きです。(この票の参照用リンク)