第122期決勝時の投票状況です。7票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
22 | ゆべしとねこ | キリハラ | 3 |
20 | 猫 | スナヲ | 2 |
13 | 地面の無い僕達は達観する | 豆一目 | 1 |
17 | 夜とショッピングモール | こるく | 1 |
具体的に感想とか書けないのですが、いつまでも内容がリフレインするのはこの作品だけでした。なので。(この票の参照用リンク)
今期もずいぶん悩んだんですがこちらに。
言葉のチョイスや構成など完成度が高いと思います。読んでいてとても楽しい。(この票の参照用リンク)
やっぱり柚餅子というモチーフのチョイスが抜群だと思います。これが柚餅子以外の和菓子だったらまた全然違っただろうし、何と言うか近からず遠からず、様々な想像を掻き立てるものとして柚餅子は適役だったのではないでしょうか。
こういう作風は下手すればあざとさが目立つことになりがちだと思うのですが、作者さんの登場人物への愛着を感じられてそうした部分も気にならない。読んでいて純粋にゆべしへの親しみをこちらも覚えることが出来ました。そして、猫又の存在がまたいい味を出してる。
予選でも推したのですが、今期はこちらに一票入れさせて頂きます。(この票の参照用リンク)
こういう話が好きと言うと語弊があるが、僕の場合、うまいこと誘導されて落とされてしまったので、この話を推します。
『イン・ザ・タッパー』
なんとなく物語というか世界が想像できそうな雰囲気を一番感じられた。長編の一幕のような。楽しそう。
『願い』
この話はこれでよいけれど続きがあるなら、新しい「私」の位置が「兄」と同じひきこもりになってたら、何かお話が始まりそうですね。
『地面の無い僕達は達観する』
何か大事なことを描いているようで僕はわからなかったので推さなかった。レオグランドナイトが出てくるあたり、雰囲気とか文章はすごく好みなのですが。
『ゆべしとねこ』
ゆべしちゃん可愛いぜ、猫又!シビレル!となれば良かったが、何故かならなかった。ゆべしちゃんが、もう一歩、何かリアルに感じられることをしてくれていればとか思うがわからない。猫又とかすごく好きなんだけどなあ。
『夜とショッピングモール』
これも、ショッピングモールって宇宙船みたいだという情景を思い浮かべ得られなかったので負けている。僕の読解力と想像力のせいだと思います。(この票の参照用リンク)
気に入ってます。ドキドキした。(この票の参照用リンク)
「地面の無い僕達は達観する」
→小さいころ、自分が手にしている覚えたての概念を色んなものにかざして、「これはそうだ」「これはちがう」と真剣に分類というか、評価というか識別というか、研究じみたことをしていた、というのを思い出した所為もあり、知っていることも少ないし理解も浅い、けれど至極切実に物を考えている主人公にとても良い印象を受けた。「僕は(僕たちは)〜した」というのが各段落の最後に必ず出てくるが、これは上のように生きている少年の、自分が存在していることを切実に訴えている声にも思える。したがって、一人称のお話としては主人公の性質と文章がよく馴染んでいるように感じられ読み心地も良かった。以上の点を主な理由として今回は選ばせていただいた。
「ゆべしとねこ」
→内容がとても可愛らしい。それを語る文章が淡々としている分、むしろ温かさを感じた。ただ、可愛い子供がどこかからやって来て、可愛いから適当に可愛がって、どこかへ行くようだったから見送った、というだけのような感じ、お話の外縁を撫でるだけの印象だった。カタルシスも強い衝撃もその先の物語を想うワクワク感もちょっと持てなかった。
「願い」
→胸糞悪さが良い(笑)。兄が「消えたい」と嘆いているのを知っても兄に同情をしなかった主人公の兄の大切さなど微塵も感じさせない徹底的に冷徹な姿勢を見出した気がする。実際にいる兄のような人間の絶望的な自意識を映し出したようでもある。ただ、最後に主人公が抱いた疑問が、主人公をどこへ連れていくのかが不明瞭で消化不良だった。兄に対する記憶の未風化が主人公の無意識上の何かを仮に象徴しているのであれば、それを文章の中で匂わせてほしいとも思う。
「イン・ザ・タッパー」
→凡人だけど真摯な主人公、夢想家の相川君、理知的で相川君に前世は姫だと思われている川崎さん、どのひとも魅力的だと思った。だが、衛生面を気にすることとプロテニスプレイヤーであることは排他的な事柄ではないと思うし、相川君の話に主人公を混ぜ込ませたところで、主人公が川崎さんに魚のことを聞くチャンスが得られるようになるとも思えない。ということを考えると、ちょっと全体が胡散臭く感じられてしまった。
「夜とショッピングモール」
→あくまで平和な日常なのだな、と後半部でなぜか酷く安心した。その後で、日常の中だからこそ前半部のような夢に浸れるのだな、と感じた。で、安心して夢に浸れるような日常を形作っているのは彼女の存在なのだな、と微笑ましくなった。決して悪くはないと思う。
「猫」
→展開の衝撃さが目立つ。「猫」が考えていることの盲目的な性質は、必然的なものだったのだろう。憐れという言葉が似合うと思った。「猫」が潰れた目で警官を睨むシーンは想像してみるとなかなか迫力があった。が、潰れた目で何も見えないはずの女が瞬時に警察突入の状況を把握できてしまうのはなんだかなぁ、という感想も抱いた。(この票の参照用リンク)
夜のショッピングモールと、彼女の人格の静かな信頼感が、
ラップしてかさなるのがいい。
実際にはこのような情景はなかったという感じも憧憬をつよめる。(この票の参照用リンク)