第118期決勝時の投票状況です。11票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
1 | 遥か | 霧野楢人 | 4 |
16 | 水またはお湯とともに | 戦場ガ原蛇足ノ助 | 4 |
17 | 紙片 | qbc | 2 |
- | なし | 1 |
初読でいいなーと思えたのがこれだけだった。
何回も読むごとに他の二作品の良さが分かってきて迷ったが、今回はこれで。
ただ、他の人が言っているようにかぎかっこが邪魔に思える。特に「父」というのが気になった。(この票の参照用リンク)
予選と同じですが「遥か」と言う事で。私の中では一番理想の小説と言う感じがしました。(この票の参照用リンク)
遥か
融け残る雪、福寿草、なごり雪、クマゲラなどの配置がうまく、作品、そして主人公の心情に奥行きがだせている。加えて文章のバランスがよく読みやすい。“不作法な事を思いついて”の前振りは不要な感じがする。さらに欲を言えば、生前の父の人間像とか、主人公との関係性とか、薔薇の墓石の経緯とかをちょっと知りたい。あと題名は、想いがこもりすぎのように思った。でも個人的には今期いちばん。
水またはお湯とともに
北方騎馬民族の視覚的イメージってどんなんだ。コンビニがままならなさの象徴ってのはおもしろかった。沢山、目がくらむほど、ふんだん、倦むほど、盛り沢山、夥しい、無尽、山盛り、って羅列も作者の苦心が垣間見えるような感じがしておもしろかった。あとハンドアイコーディネーションって言葉を覚えた。ぜんたいてきには、おあにいさん若いのにちょっと枯れ過ぎじゃね?、もうちょっとがんばろうぜ、て感じ。
紙片
メモリから消えていた番号と、物を忘れることとの関連性がよくつかめなかった。何か経緯があって相手の番号を消したのだけど、その経緯どころか消したじぶんの行為自体を忘れてしまった男、という話? 情けない男の姿を滑稽にみせようとするなら、三人称のほうが効果がでそうな気がするけど、そんな話ではない? なんかうまく感情移入できなかった。(この票の参照用リンク)
カッコいいなあ、こんな文章を書きたいものだなあ。(この票の参照用リンク)
今期はこれで。今の自分の気分に一番そぐってたので。
何と言うか生活が単調になると、どんな些細なものにもどうにかして意味とか規則性みたいなものを見出そうとしちゃうのが人間の悲しい性なんだと思うんですけど、そういうのがこのどこか冷めた文体(無機物しか出てこないのがまた良い)に合ってて良かったな、と。
サプリメントが待っているんじゃなくて、実はいつの間にかこっちがサプリメントを待っている生活になっちゃってるんだけど、まあそれでも何かが待ってくれていると思えるのは幸せかもしれない。(この票の参照用リンク)
『紙片』と悩んだんですが、何回も読みたいと思うか考えてこちらにしました。
言葉の選び方がうまいと思います。「北方騎馬民族の視覚的イメージ」とかコミカルで好きです。
「ままならない」「仕方がない」という単語で諦念を感じさせながらも、淡く微笑んでいるような、優しさに満ちた眼差しで日常を描き出しているところがよかったです。
あと予選では「きみ」について端から薬の擬人化だと決め付けていたのですが、他の方の感想を読んで、逆に薬が比喩として使われているという読み方もできることに気づきました。そういう点でも面白かったです。(この票の参照用リンク)
水またはお湯とともに
投票。
情景選択がたまらなくよい。
大切な人を思う気持ちが婉曲的かつはっきりと表現されているところがまた上手い。
紙片
とくに悪い点はないがあっさりしすぎている
主人公の焦燥がほとんど伝わってこなかった。
遥か
風景の描写は巧みで、人物の心情も共感できる。
ただかぎかっこが目立ちすぎ、どうしても邪魔だった。これさえなければ投票していたが。(この票の参照用リンク)
「水またはお湯とともに」
・・・終盤に挿入される元素の羅列に違和感がある。サプリメントのイメージはタイトルで既に示唆されているので、この部分は蛇足ではないだろうかと思った。しかし「ままならなさ」というものが文章全体で無駄なく(かつどこか肯定的に)表現されているような気がして温かく、読後感が良かった。待っているらしい「君」とサプリメントを重ねるのだとすれば、ソレを摂取する必要が生じないことが本来「最善」となるのかもしれないが、「君」がいるということは大いに幸せなことなのだろうという感じ。
「紙片」
・・・どんなに大切な事だったとしても、忘れてしまえばそれっきりとなる、所詮は紙片に走り書きしたメモと大して変わらないものなのかな、という印象を読んで拾った。だからうっかりしてるとこんなふうにひどい焦燥に駆られて間抜けなことになるのだろう、という感想を持った。ただし#16ほど描写内容から雰囲気がかもし出されてはいないかな、という感じだった。
「遥か」
・・・あっさりとしている分読みづらくは無いと思うが、「文体」と呼ぶにはあまりに血の気が感じられない。加えて鍵括弧が邪魔。自分の作品だが、読み返してみるとそんな感じだった。(この票の参照用リンク)
この一週間、実生活で複雑なことがあって正直感想どころではないな、なんて思っていましたが、
少し落ち着いた(解決したわけではない)ので、それでもこういった繋がりを短編に求めてしまう?
というか、予選でも入れたから最後まで責任持たなければなんておかしな正義感もあって。
16は、エンディングに向けてだんだん加速していく感じ。
僕は天邪鬼なので、一番多い票数の作品はあえて外します。
17は、浮遊感漂う。
「〜よね、先輩は。だから話しているんですけれども。彼女が言います。〜」の部分を
「〜ども。彼女がいます。〜」と読み間違えていておかしな感覚に浸っていました。
1は、前半がすばらしく、後半部分で少し息切れのような感覚を持った。(この票の参照用リンク)
こういうぐにゃぐにゃした感覚を味わうのに小説というのは良い媒体だなあと思うので、そういう雰囲気があったこの作品に1票です。(この票の参照用リンク)
いま読む小説ではない。そんな感じですね。ふるいか? およびじゃないか? むえんのテーマか? イメージはいろいろ錯綜しますけど、いま読者に読んでほしい?? 思いいれのようなものを感じない。 (^^;)(この票の参照用リンク)