第118期決勝時の、#16水またはお湯とともに(戦場ガ原蛇足ノ助)への投票です(4票)。
今期はこれで。今の自分の気分に一番そぐってたので。
何と言うか生活が単調になると、どんな些細なものにもどうにかして意味とか規則性みたいなものを見出そうとしちゃうのが人間の悲しい性なんだと思うんですけど、そういうのがこのどこか冷めた文体(無機物しか出てこないのがまた良い)に合ってて良かったな、と。
サプリメントが待っているんじゃなくて、実はいつの間にかこっちがサプリメントを待っている生活になっちゃってるんだけど、まあそれでも何かが待ってくれていると思えるのは幸せかもしれない。
参照用リンク: #date20120808-155537
『紙片』と悩んだんですが、何回も読みたいと思うか考えてこちらにしました。
言葉の選び方がうまいと思います。「北方騎馬民族の視覚的イメージ」とかコミカルで好きです。
「ままならない」「仕方がない」という単語で諦念を感じさせながらも、淡く微笑んでいるような、優しさに満ちた眼差しで日常を描き出しているところがよかったです。
あと予選では「きみ」について端から薬の擬人化だと決め付けていたのですが、他の方の感想を読んで、逆に薬が比喩として使われているという読み方もできることに気づきました。そういう点でも面白かったです。
参照用リンク: #date20120808-024922
水またはお湯とともに
投票。
情景選択がたまらなくよい。
大切な人を思う気持ちが婉曲的かつはっきりと表現されているところがまた上手い。
紙片
とくに悪い点はないがあっさりしすぎている
主人公の焦燥がほとんど伝わってこなかった。
遥か
風景の描写は巧みで、人物の心情も共感できる。
ただかぎかっこが目立ちすぎ、どうしても邪魔だった。これさえなければ投票していたが。
参照用リンク: #date20120806-210525
「水またはお湯とともに」
・・・終盤に挿入される元素の羅列に違和感がある。サプリメントのイメージはタイトルで既に示唆されているので、この部分は蛇足ではないだろうかと思った。しかし「ままならなさ」というものが文章全体で無駄なく(かつどこか肯定的に)表現されているような気がして温かく、読後感が良かった。待っているらしい「君」とサプリメントを重ねるのだとすれば、ソレを摂取する必要が生じないことが本来「最善」となるのかもしれないが、「君」がいるということは大いに幸せなことなのだろうという感じ。
「紙片」
・・・どんなに大切な事だったとしても、忘れてしまえばそれっきりとなる、所詮は紙片に走り書きしたメモと大して変わらないものなのかな、という印象を読んで拾った。だからうっかりしてるとこんなふうにひどい焦燥に駆られて間抜けなことになるのだろう、という感想を持った。ただし#16ほど描写内容から雰囲気がかもし出されてはいないかな、という感じだった。
「遥か」
・・・あっさりとしている分読みづらくは無いと思うが、「文体」と呼ぶにはあまりに血の気が感じられない。加えて鍵括弧が邪魔。自分の作品だが、読み返してみるとそんな感じだった。
参照用リンク: #date20120804-014200