第110期決勝時の投票状況です。8票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
8 | 窓の霜が融けるまで | 霧野楢人 | 6 |
16 | 質問 | euReka | 2 |
微笑ましいというかほっこりするというか
読んだ後に純粋に良いなぁと思えた(この票の参照用リンク)
こんな恋がしたかったぁ(この票の参照用リンク)
♯8
文章はとても読みやすいと思いますが、全体的に意志が弱いというか、表現が消極的過ぎてメリハリに欠けるようか気がします。それから、文中に出てくる「なぜなのか、自分ではよくわからない」という箇所は納得いきませんね。むしろ我々は「なぜなのか、自分ではよくわからない」気持ちを、なんとか言葉で表現したいからこそ、小説なんていう面倒くさいものを書いているんじゃないかと私は思いますけどね。
♯15
発想はとても面白いと思うのですが、「猫力」という一つのテーマに縛られ過ぎているような気がします。猫は気まぐれな動物なのですから、テーマとは全然関係のない場所に寄り道するとか、無駄に文字数を使うとか、もっと余裕を持った構成にすれば、もっと面白くなるんじゃないかなあと思います。
♯16
私の書いた小説なのですが、改めて読み返すと、段落から段落へ進むときのリズムが悪いし、会話文の反復が多いので、リズム感には特に気を付けるべきだと思います。あと、「放射能」という言葉を連発するということは、言葉の暴力以外の何物でもないと思いますし、誠実な表現とはこれでよいのかと、地獄の入り口みたいな場所でウジウジしています。がんばれ、私。(この票の参照用リンク)
予選でも推したので。
短さゆえの良さがよく出ていると思います。(この票の参照用リンク)
「窓の霜が融けるまで」
丁寧な描写がいい。細かく言えば文章にいくつかひっかかる点はあるが、全体的にみれば流れるように読めるのもよかった。
何気ない場面を退屈させずにみせられる技術は評価したい。
「ねこぢから」
悪くはないのだが、猫力にまったく共感できない人間からすると説得力を感じられないのが難点。
共感できない人をもねじ伏せるようなパワーが欲しかった。
「質問」
3.11以前なら評価しただろうが、今は正直こういうテーマは食傷気味。
ありがちな主題をひっくり返すなにかがないと厳しい。(この票の参照用リンク)
谷崎潤一郎の小説のレベルじゃないだろうか? よみたいな、長い小説書いてほしい(この票の参照用リンク)
アクチュアルな状況に関わる言葉は必然的に暴力的たらざるをえない。いや、むしろ、言葉が持つ本質的な暴力性が、現実によって照らし出される。そんな時、僕たちにできる唯一の選択は、その暴力性から視線をそらさないことと、そこから生じるあらゆる関係に対して閉じないことだ。電話を切ってはならない。(でんでん)(この票の参照用リンク)
『窓の霜が融けるまで』
体言止めの乱用がなんか癪に障る。
『質問』
正直、何を伝えたいのかよくわからない。
よくわからないのだが、表現や語彙、事の運びから発せられる独特の雰囲気に「よく練られた不可解さ」のようなものを感じた。
作品のバックグラウンドに作者の濃厚な思想を感受したので、一票。
ついでに言うと、男のしぐさに妙な現実感があって良いと思う。
『ねこぢから』
世界を揺るがす力は恐るべきだが、そんなものどうでもよくなってしまうほど、微笑ましい。
それゆえに、ねこぢからは余計恐ろしい。そんな本作品が、余計微笑ましい。
そして非現実的であるにもかかわらず、店員の説明にはすごく共感、納得してしまう自分がいた。
ただ#16と比べると、次点かな、と思う。
もう少し、ストーリーとしての広がりがほしかった。
以上、自分の共感性から一歩引いての判断でした。(この票の参照用リンク)