全投票一覧(日時順)

第253期決勝時の投票状況です。5票を頂きました。

#題名作者得票数
8縫い物をする人たなかなつみ3
1無敵の人なこのたいばん1
3あれ三浦1

2023年11月8日 19時5分10秒

推薦作品
縫い物をする人(たなかなつみ)
感想
私も、昔から着続けている服をよく繕ったりするから、この作品の感覚は実感として何となく分かる気がする。
長く着ている服には、どうしても直せない、劣化した、壊れた部分が出てきて、裁縫の素人(私)にはお手上げ状態になることがある。

この作品は、若い人や、新しい服を買えばいいという人には趣旨が伝わらないかもしれない。
その点では普遍性に欠けると言える。
でも「老い」や「寿命」を、上手く喩えている点は評価できる。(この票の参照用リンク

2023年11月8日 1時5分31秒

推薦作品
あれ(三浦)
感想
特に深く考えず、死にゆく伴侶への想いを綴った偏屈おじさんの話として読んだ。
「どのくらい嫌いかというと、見苦しさを一欠片も見せずに死んでいく伴侶と同じくらいにだ。」→あれが伴侶でないとは言ってない(「同じくらい」っていうか同じやないかい)みたいな浅い解釈でも強く印象に残り、また面白かったので、推します。(この票の参照用リンク

2023年11月5日 20時19分1秒

推薦作品
縫い物をする人(たなかなつみ)
感想
とにかく「わたし」はとんでもなく疲弊している。「利き手」の「逆の手でほつれをかがる技術はわたしにはない。」というのは、きっと「わたし」の「親」にもその技術がなかったからなのだろう。「大事なもの」が誰にとって「大事なもの」なのかはわからないが、とにかくそれは「もう歩くこともできない」状態になるほど「重く」なるもののようだ。「わたし」は「今までと同じようには動かせない」「利き手を目の前に掲げて」「ほつれをかがることはできるだろうか。」(「生き続ける」ことはできるだろうか)と思う。
(三浦)(この票の参照用リンク

2023年11月3日 1時27分19秒

推薦作品
縫い物をする人(たなかなつみ)
感想
#8 縫い物をする人
ぬいぐるみの住人の世界のようなファンタジックなパッケージでひどく人間を書いて揺さぶってくるこちらの作品に。
自分の綻びを自分でなおす自分の日常と、人の善意に少し触れた温かい気持ちから、他人の善意で自分の中がいっぱいになってしまうっていう苦しい恐ろしい疲れる気持ちへとグラデーションしていく非日常。SNS時代の、もしかすると普遍的な、共感がしみじみと生まれた。それでいて全体として、デザインされていて、隙のない作品でもあった。
強い感情と、それを他人にそのまま叩きつけずにふさわしい形に加工して良いものを作ろうとする気持ちを感じた。
どちらかというと、最優秀賞を決める審査員みたいな気持ちでこれを選んでしまった。

#1 無敵の人
何か励まされる、自分を思い出し、自分を好きになれるような、価値のあるものを書いている。

#3 あれ
どうしても「伴侶」に引きづられ、二人が出会い生活を共にして死別する物語に読んでしまった。この作品に対してこの読み方は勿体無いだろうね。
主語を隠され、レトリックや例え、なんかの技で何か面白いものを読んだ気にさせられる。騙されないぞ、何も書いてない!と思いながら抵抗しながら読み進んでも最後は丸め込まれてしまいました。なんなのだろう、屈しました。A.R.E。

#4 どんちゃん
物言わぬ動物を観察し、あれこれ投影し、気を揉み、ってだけでもなんか面白い。おそらく病死した水棲生物を食べられるって愛情ありますよね。

#5 物語の結末
構成は面白いが、物語の話はあんまり面白くない。もっと外の世界が見たい。

#6 想い出がいっぱい
語り手の先輩の性別は最初男のように演出されるが、最後には女であることが判明するという仕掛け。父親が娘の学芸会の動きに感動した想いを読者として発見する。この辺りはわかる。(この票の参照用リンク

2023年11月2日 10時5分3秒

推薦作品
無敵の人(なこのたいばん)
感想
予選同様、すっきり爽やかなこの作品に惹かれました。無敵、いいですね。

『想い出がいっぱい』も素晴らしかったのですが…、0歳から3歳までを再現したクローンがどうなったのか、それもまた娘という人間であるはず、と思うとやや割り切れなく感じてしまいました。いえ、そこがこの作品の本質でないのは分かるのですが。

『物語の結末』もふわっとした流れの中のシュールさが秀逸でしたが、冒頭と繋げる結末がどんなものだったのか、やや落ち着かなく感じました。

『どんちゃん』は、以前はもっと、愛情込めて飼育していたウシ、ブタ、ニワトリを食べてしまうことが日常的であったので、さほど違和感は覚えないのですが、飼育環境よりは父子の心の通い合い・すれ違いをもっと主に描いて欲しかったように感じました。

『縫い物をする人』は、より年配の人に「そんな古くさい縫い方」と言われてしまう主人公のこれまでの人生に悲哀を感じてしまいましたが、救いのないまま、投げっぱなしで終わったようで残念でした。

『あれ』は…“嫌いだ、嫌いだ”の連呼に苦痛を感じながらも頑張って読み直しました。語り手は女性かもしれませんね。”あれ”は最後の一文から伴侶ではないことが分かり、ということは不倫した愛人なのでしょうか?いえ、もしかしたら、伴侶を愛せなかったもう一人の自分のことが嫌いなのかも。などと、読み込む余地は感じましたが、やはり読むのが辛かったです。(この票の参照用リンク

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