第251期予選時の投票状況です。7人より16票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
1 | 生産者も消費者も、地球の環境と人々の健康を守れるよう、責任ある行動をとろう | テックスロー | 5 |
3 | コンビニにはもう行かない | euReka | 3 |
5 | シトラス | jyin | 3 |
2 | 手元不如意 | 蘇泉 | 2 |
8 | 夏は招く | (あ) | 2 |
7 | 笑うな | 朝飯抜太郎 | 1 |
何やら艶めいた情景が、「獣の匂い」により一気に怪しくなっていき、主人公共々囚われていく。しゅらら、くとん、ことん、かとん、たたんといった擬音語も楽しく、それだけで情景をつくるのが面白い。
濃厚な豚骨スープのような物語は、「ありがとうございました」という言葉でシャットアウトされて、ラストに主人公が感じる空腹感のように我々ももっともっとと求めてしまう。(この票の参照用リンク)
きちんとしていてするする読めました。最後、気にするのはそこかよ、と思いました。なんだか妖怪っぽい。実際のところ、大量の豚骨スープ製作って近隣に対するってちょっとした暴力ですよね。(この票の参照用リンク)
インターホンカメラ越しの描写、うまく想像できなくて八尺様みたいな怪異来たかと思っちゃった。違った。
途中から絵がシュールすぎて(その上できれいに描いてきたりして)笑いました。好き。関係ないけどタイトル長すぎるせいで投票ページの選択するやつ伸びてて面白い。(この票の参照用リンク)
感覚や現象を文字にする能力が高い。重い寸銅鍋を運ぶ描写は、正確で楽しい。液体もおたまも優しい擬音もちょうどいい。
アイテムの取り合わせが良い。色白女の甘やかさと押し付けがましさ、獣臭さ、これが、豚骨スープと響き合う。
定型の崩し方がお洒落。豚骨スープというチョイスと、家中の食器を所狭しと並べて満たさせ、西日を射させる光景で、「作りすぎた手料理を隣人男にお裾分けする女」から脱輪させてギャグに転ばし、SDGsも風刺ってるのが軽やか。(この票の参照用リンク)
ありそうでなさそうなシュールさが味わい深いですね。入り込むときの”しゅるりと”、しゃがむときの”しゅららと”、他にも様々な擬態語・擬音語が不思議な感覚を呼び覚まし、ほんわかさせてもらいました。
『夏は招く』の紹介系の語り口は悪くないのですが、やや話の焦点が掴みにくく感じられてしまいました。
『手元不如意』は同名の岡崎体育の曲が分からないと分かりにくそうで、その曲の詞を読んでみてもやっぱり分からなくて、気になる女性が自分を気にしてくれたら嬉しいけど、そんなうまい話はいい就職以上になかなかないもので…。もう一ひねりが欲しかったですね。
『神の暗殺者』は、暗殺、assassin、の語源がハシシ(大麻)に由来する往時を描いてはいますが、素朴な迷妄がその程度で抑えられるのか、 もうちょっと書き込んで欲しかったようにも思います。ちなみにその背景をゲーム化した『XZR(エグザイル)破戒の偶像』は挑戦的な意欲作だったと思います。
『投銭』は同じ作者の前作同様、漢字のみで話が進行しますが日本語で問題なく理解できます。ただ、今作は物語として、あまりに何もかも足りなすぎたのが残念です。(この票の参照用リンク)
10年ぶりにコンビニに行くというのも現代ならどういう状況なんだとか思うけど、そのあとも異常な展開を見せつつ、奇妙なリアリティ(マニュアル化されているであろう遭難者対応など)があり、楽しく読めた。コンビニの食糧で過ごしてみたいのは、ポストアポカリプスものでも御馴染みの人類の欲望だよね。
国の話は唐突に感じるが、十年、コンビニに国を築くまでに変質した精神も面白い。(この票の参照用リンク)
エンドレスコンビニ。本社の対応がやけにリアルで怖かった。それに比べるとオチの語り手の豹変?はいまいちインパクトが弱くて残念でした。(この票の参照用リンク)
コンビニを題材に、これだけシュールな短編が描けることに驚きました。まぁ、結末は十年後でなく十日後くらいにしてあげて欲しかったですね。(この票の参照用リンク)
最後のところがちょっと読み取れなかったのですが、全体の雰囲気はよかったです。男女の関係って外からはよくわからないですね。実際のところ、どうなんでしょう。(この票の参照用リンク)
約1000文字だか感情移入し、とても読みやすかった
この絶妙な男女の関係をまるで当事者の様な気持ちになる事ができた。(この票の参照用リンク)
典型的な男女のすれ違いに見せて、典型的な男に全く勝ちめがない片恋でした。でも、これを引きずってしまうのが男ですね。分かるだけに、とても哀愁を共感してしまいました。(この票の参照用リンク)
リズム感がよい。ポンポンポンと進んでいく。そして、その人生を決めてしまうのも、リズムとタイミングなのだなあ。女の子の見計らった感じもいい。(この票の参照用リンク)
実際のところ、そういう話ってあるでしょうね。わかりみ。読み終わって思うと、前半色々なところに情報が散っていますね。どこに向かうのかわかりませんでした。そこが上手だと思いました。(この票の参照用リンク)
なんとなくNHKの「ドキュメント72時間」という番組を思い出して、しかしそれは似ているという意味ではなくてこの作品で描かれる世界は絶対にああいった番組では掬えないだろうなという意味で。旅は極めて個人的なものだよ、ということを改めて知らせてくれる良作だと思った。
全然関係ないけど、かつ丼をかきこむ、映画と聞くと、高倉健が浮かんでしまって全然違うのにーと、頭の中のイメージを払拭するのに少し苦労しました。(この票の参照用リンク)
思わずキーワードでぐぐってしまうくらい、エピソードの強度と牽引力が強い。背景を想像させる力。畳みかけてくる多重性。私たちの生きている世界は物語の多重構造でできているんだなと実感した。この語りの広がりを千字で書けるのはすごいと思います。(この票の参照用リンク)
筒井康隆の「笑うな」はバレてはいけない緊張感があって、それを読者が盗み見している感じがよりおかしみを誘う構図になっている。この作者の「笑うな」はいったいどこが「笑うな」なのかな、と最初思ったが、小説になっているこの瞬間が、一度きりしか来ないであろう青春の一ページが輝かしい瞬間、と考えると、笑ってなんかいられないというのはとても理解できる。笑うな、って言われてもさあ、笑えちゃうじゃない、という気持ち、刹那的な感じもしてとてもさわやか。地の文の突っ込みもさりげないし、これは「笑うな」の違ったアプローチだなと思った。
その青春の一ページはこうやってサイト「短編」に小説として掲載されているので、設楽君と納部君はいつかおっさんになって酒を酌み交わしながらこの小説を読み返してほしいなと思った。そこで気付いたら居酒屋の窓ガラスにきれいなフォントで「久しぶりに会った二人は酒を酌み交わしながら…」なんて出てきたら笑(この票の参照用リンク)