第228期決勝時の投票状況です。5票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
2 | ババーシッチュ | テックスロー | 3 |
8 | ごっこ | Y.田中 崖 | 2 |
#1は閉塞感や諦念、斜に構えた視線が好み。語り手の現状やそれまでの経緯、石田との思い出がラストの台詞に集約しており、一言で言い表せない感情が描かれていて良い。
#2は偶然に鉢合わせた二人の会話から始まり、最終的にそれを見ている観測者の内面を描き出す構成。台詞の反復や選ばれている単語の語感がよく、読んでいて楽しい。単語が伏線にもなっている点は見事。
光の当て方は異なるが、どちらも人間が生き生きと描かれており投票に悩んだ。高い技量と読む楽しさが勝ったので#2に一票を投じる。(この票の参照用リンク)
「ポソレ」が動かないんでこれにします。(この票の参照用リンク)
予選時同様にこの作品が一推しです。テンポの良い話の運びの裏に、ほのかに重層的に描かれる様々な物語に惹き込まれました。
『居場所を持たぬ者たち』は、いろいろ自分に言い訳をしながら、夢に向かって頑張り続けている友人に対して嫉妬しているだけなのがどうにも悪い印象しか抱けず、残念でした。千住 博氏は三人の子供たちに「三十までは夢を追っていい」と言ったそうです。26歳はまだ若く、夢を求め直してもいい年齢だと思います。
『ごっこ』は、部下の能力を把握できてない駄目上司の典型ですね。まぁ、きちんと指示すればできる人を、待てない人が多いのも現実ですが。(この票の参照用リンク)
『居場所を持たぬ者たち』
最後がいいと思ってそこばかりに注目していたが、冒頭もなかなか。どこがいいかというと、ぶらさがりの繰り返しや花火の繰り返しで、時給が百円上がったうれしさが隠しきれていないところ。
『ごっこ』
労働ごっこの精緻さは、読めば読むほど真面目で、身につまされ、そしておかしい。
「お疲れ様です。お先に失礼します」
「おう、お疲れ」
さんざんなじった後にさらっと帰る・帰らせる辺り、ごっこがしっくりくる。自分のためではなく、仕事のために怒ったり焦ったりして、でもチャイムですぱっと切る。『居場所を持たぬ者たち』がバイトしようが夢を追いかけようが諦めようが継続する自分を書いているのに対し、『ごっこ』はそういったものをぶった切る感じがした。これはもう好みの問題として、今回はこちらに投票。(この票の参照用リンク)
ああ……、子どもが一人でごっこ遊びをしているということか。
だから「まあくん」が出てくるわけだ。
予選で読んだときは、家の中の窓と壁が会話をしているのかと思った。
窓に映る風景(空や草や花など)を、壁くんが作っているのかと。
いずれにしても、淡々と進んでいく感じがいいので一票。(この票の参照用リンク)