第277期予選時の投票状況です。3人より7票を頂きました。
| # | 題名 | 作者 | 得票数 |
|---|---|---|---|
| 3 | 木曜日にやってくる猫 | 蘇泉 | 2 |
| 4 | 貝がいる島 | 三浦 | 2 |
| 5 | 宇宙人のいる風景 | euReka | 2 |
| 2 | 柔らかい力 | OS | 1 |
主人公の語る淡々とした物語の中に、野良猫をたすける「若い女性」のささやかな優しさが浮かび上がる。
優しさを小説で描いたり表現したりするのは、結構、難しいよなと思った。(この票の参照用リンク)
自然にほのぼのとさせてもらえる良い作品でした。猫さんとの何か素敵な関係ですね。(この票の参照用リンク)
カフカの小説のような雰囲気で、あえてそうしたのか。
二枚貝の、どこか身勝手な態度や、それに振り回されるだけの青年の純朴さが面白いなと思った。(この票の参照用リンク)
前期の『巨人の住む島』と最初の四行がそっくり、いえ、二行目から四行目までは完全に一緒でしたが、「むかしむかしあるところにおじいさんとおばあさんがいました」と同様で、語りの導入はそういうものかもしれません。むしろ話に入り込みやすかったですね。で、何をやらかしてくれるかと期待していたら、おおっとその展開は想定外でした。お見事で、やられましたね。(この票の参照用リンク)
前回の作品も労働とファンタジーの切り口が新鮮でした。同時にその部分の展開を強烈に求めた私がいました。今回も哲学的なテーマを感じ、替えが効く労働力があれば、得たいの知れないものでもOK、でも体裁は地球人として整える部分や、主人公は揺れつつも、日常にも浸食がおよんでいる点がリアルだなと思い、選ばせて頂きました。
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投稿順の感想です(えらそうにすみません私見です)
「とはいえただのみかんです。」
言葉選びが面白く、感性の豊かさが勉強になりました。上司の論理が破綻し、フォローしているようでディスってる部分も面白いです。それを素直に受け止める部下も上下関係あるあるかもしれません。これを期に荒井さんの作品を少しずつ読んでいます。「窓辺に珈琲」も好みです。
「木曜日にやってくる猫」
蘇泉さんの文章で感じるのは、論理的で無駄がなく美しい点と、藤子・F・不二雄のような明るく爽やかなトーンであることです。前回の作品は、二人の関係性や感情表現を足してもよい印象を受けましたが、今回は淡々とした語り口が合っていて、猫を通した女性の存在をより際立たせ、静かな余韻を感じました。
「貝がいる島」
前々回から物語の構造が似ている印象を受けましたが、エピソードと文章力の巧さで毎回、新鮮な気分で読み入ってしまい、唸ってしまいます。前回の作品よりもモチーフの情報量が抑制された感じで、最後のオチに感情を持っていきやすかったです。回を重ねるとグルーヴィで中毒性のある大きな物語になりそうですね。(この票の参照用リンク)
こんなふうに宇宙人と気軽に過ごせる世の中は素晴らしいですね。その宇宙人たちが地球人たちと共生できるようになるまで、いえ、共生しているこの時点でも、偏見や差別、争いも生まれているのでしょうけど、でも、その物語の中ではそれに触れずにすんでいるのには救われました。
『柔らかい力』は性同一性や親子関係、実質は家庭内パワハラなどの重いテーマに短い字数で挑んでいるのは素晴らしいと思うのですが、なにぶん字数が少なすぎて、前半と後半がうまく結びついてなく感じられたのが残念でした。
『とはいえただのみかんです。』は応援しているのか腐しているのか、それをしている自分を笑っているのか、結局相手を笑っているのか、分からないことからあまり好感を覚えられませんでした。(この票の参照用リンク)
性差の問題を扱った話だと思うが、「自分の好きなものを好きでいられない生きづらい世界」という、誰にでも思い当たることがあるような普遍性を持たせている点が良いかなと。(この票の参照用リンク)