第261期決勝時の投票状況です。3票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
3 | 遠いところから、遠いところへ | たなかなつみ | 2 |
2 | 怪物と人間 | euReka | 1 |
今期はこの作品一択です。
人気が出るSFは大抵エモいですが(『三体』とか)、この作品もSFらしいエモさがあり、読んでいる時よりも読み終わった後の印象の方が強いところもSFらしいなと思いました。(三浦)(この票の参照用リンク)
周囲とのずれが絶望的になった「彼女」は、その存在すら世間から認識されないようになっていく……。
この作品の内容とは少し違うかもしれないが、今年の米アカデミー賞の授賞式で、アジア人のプレゼンターが受賞者から無視される(空気のように扱われる)という事件を思い出した。
この事件はマイクロアグレッション(自覚なき差別)という言葉で説明され、欧米ではよくあることだと。
それが差別によるものであれ何であれ、自分の存在が他者や世間から認識されないのは、とても悲しいことだなと思った。
人間には、自分にとってあまり重要でないと判断したものは意識から捨象するような機能があり、それは生きる上で必要なことかもしれないが、その判断には偏向や政治性がつきまとうという問題もあるなと、そういうことをいろいろ考えさせられる内容だった。(この票の参照用リンク)
人間の五倍くらいある怪物が、力も強いのに人間に反乱を起こすこともなく、農作業や土木作業に専念してくれていた、というのは、農耕用のウシや東南アジアにおけるゾウがイメージしやすいかもしれません。主人公は悩みに悩んで怪物を『怪物王国』に預け、自らの無力さから会いに行くこともできず、必死になって忘れようとしていたところにまさかの再会、そのときの主人公、また元怪物の心の動きを読者がいろいろ考えられるのが良いですね。…使役する側は所詮は身勝手、という他の評者の方の指摘にも考えさせられました。(この票の参照用リンク)