第198期決勝時の投票状況です。4票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
6 | 異民族の人 | euReka | 2 |
3 | 見越し入道 | テックスロー | 1 |
5 | 新しい名前の子供たち | qbc | 1 |
次に何が起こるかと、ずっとわくわくと期待しながら読める話でした。旅をする民族なのに、高価な贈り物ができる。民族としての特殊な慣習を維持しながら、それが個人の特性なのか民族の特性なのか、他者の目にはわからない。物理的に移動する旅と、時間の流れのなかでひとつところにとどまる旅。そのそれぞれがはっきりと区分けされてはしまわずに、曖昧に重なるような、けれども独立しているかのような感覚。面白く読みました。(この票の参照用リンク)
旅とか結婚とか、民話とか神話っぽい。ほっこりするね。
「気前がいいのは父だけです」っていう終わり方もすっきりする。
月日は百代の過客にしてってね。人生は旅なんだよ。(この票の参照用リンク)
最初の台詞からの、時間軸が進んでの最初のシーンに重なる所。ラスト同じ台詞を匂わせて終わるという、不気味なループが面白いリズムを生んでいる。
生々しい生活の場と色情が、よく表されていると思った。(この票の参照用リンク)
改めて読み返してみると、これはれで話として成立していると思えるし、それなりに面白みもあると思う。そして最後の方に出てくる「嘘の物語」というのがこの話の趣旨ということか。
ここでいう「嘘の物語」には、おそらく〈物語には嘘も本当もない〉という含意があり、そのことを伝えたいということかもしれない。
物語というのは、誰かの視点によって切り取られた、いわば人工物であり、そのことをもって全ての物語は虚構であると考えることも出来るだろう。
しかし、そうした考えで止まっているだけでは、視野に広がりがないし、少し寂しい気もする。
たとえ物語は嘘であっても、現実は進んでいくし、われわれは生きていかなければならない。だから、物語は嘘っぱちだといって「はは。ははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは。」と笑っているわけにはいかないのではないかと思う。
あるいは、〈嘘から出たまこと〉という言葉があるが、小説とはそういうものを目指すものかもしれない。
今回は、物語について考えるきっかけを貰ったので一票。(euReka)(この票の参照用リンク)