第254期予選時の投票状況です。3人より7票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
3 | 返答 | アドバイス | 3 |
2 | 梅干しはセンチでハードボイルド | なこのたいばん | 1 |
5 | 誰も来ない洋服店 | euReka | 1 |
6 | such as such can | るるるぶ☆どっぐちゃん | 1 |
7 | 天と地と | 朝飯抜太郎 | 1 |
何か物語が始まりそうな一文が、単なる狂人の怖い話に切り替わる鮮やかさ。「最悪だった」という感想で全体の印象をくっきりとさせ、パッケージングしている気がする。センスの良さ。(この票の参照用リンク)
ここまで短くて、「おおっ」と言わせる作品に仕立て上げられたことに感動しました。きちんと筋も通ってますし、お見事です。(この票の参照用リンク)
ワンシーンで良い。(この票の参照用リンク)
なるほど。失恋の話なんだな。初読はよくわからなかった。
食べ物で表現される生活感と、休日に恋人を待っていて、即席でおつまみ作って、酒を飲み始めたら、午後3時と言うのが悲しみを際だたせる。(この票の参照用リンク)
今回はシュール勢が大半を占めたのですが、この作品もこの先どこに連れて行かれるのか途方に暮れる結末に、独特さを感じました。いえ、店の存在理由から接客についてまでツッコミどころは満載なのですが、それを許容するのが短編小説の読み方では、とも感じました。
『時代』は今回唯一の非シュール系作品ではありましたが、どれだけ何を言われようとも、初デートの待ち合わせに来た女性が挨拶もそこそこにスマホ撮影を始めてしまうのは"清楚"とは感じられにくく、テーマが”時代”である作品世界に齟齬を来しているように感じられてしまいました。
『such as such can』は as 〜 as possible のもじりなのでしょうけど、人を幸せにしない技術発展の空しさを感じてしまいました。その家族が狂った理由が判然とせず、否定でも肯定でもない傍観に、着地点の不明瞭さを感じました。落ち着かなかったです。
『梅干しはセンチでハードボイルド』は超短編が生きる、見事なハードボイルドの展開でしたが、冒頭の「アイツがこの家に来なくなったからだ。」と中島みゆきの『タクシードライバー』の歌詞が、合うようで展開にそぐわないように感じ、分からなくなってしまいました。
『ネッ友』は、現実に本当にありそうで、いえ、たぶんもう実現しているでしょう。それだけに主人公は”私”にしておいた方が一般化が増すように感じました。(この票の参照用リンク)
長い物語をダイジェストで語る形式好き。さっちゃんの、拗れてしまって、被害者だけにおさまらない感じもよい。「女の子たちもぼくもおまえのママじゃねえぞ」もいいよね。
しかし、良いけれど、既にどこかにあるイメージを持ってきてる感もある。主題は「ぼく」とさっちゃんの関係のような気がするけれど、憐憫と友情以外にもっと欲しかったな。(この票の参照用リンク)
何が起こっていてどこに連れて行かれるのか、全く分からない展開から一気に結末、題名は海音寺潮五郎による、川中島の戦いを最後に据えた上杉謙信の物語だったのですね。恥ずかしながら未読でした。途中経過はアガサ=クリスティーの『そして誰もいなくなった』が想起され、序盤は朝野十字氏のような刑事物仕様、怒濤の勢いでした。読者を選ぶ作品とは思いますが、私は気に入りました。(この票の参照用リンク)