第280期 #2
それはまるで
トクベツになったような
私じゃなくなったような
親からのプレッシャー。
顔を見るだけで嫌なアイツ。
次のテスト。
面倒な学校行事。
周りの視線。
腕が振られ、
足が動いて、
首が傾いていく。
スマホを落としそうになり、指に力が入る。
数字が、更新され続けていく。
大きくはないが小さくともない。
でも私の中では小さくない。
「バズ……る?」
きっかけは、ただの気まぐれだった。
検索したら一つも無かった。
踊った、投稿した。
さすがに顔は隠した。
クローゼットから衣装を出して。
まずはイメージ。
曲が始まった。
足を出す
膝を曲げる
「うわっ!」
足を出す
これを続けた。
そして本番。
カメラに緊張。
もう一度足を出す。
始まる。
踊る。
終わる。
チェック。投稿。
そっとしておく。
何日かして。
気になった。
増えてた。
……すごい。
他人事。
私じゃない。
でも私。
アニメが流れる。
引かずに
前に出る。
足が上がって
腕が曲がる
部屋が回る
首が曲がって
腰が引ける
テレビ消す。
カメラ置く。
もう一度。
チェック。投稿。
そっとしておく。
数日後。
伸びる。
前以上。
ダンスの曲。
流行ってる。
指を指す
目が閉じられる
つま先を立てる
口が開く。
わからない。
お店で新しい衣装を買いに来た。
今までとは違うダンス用の衣装。
コレを着たら「違う」になれるかも
流行っているダンスの曲が終わった。
次の曲は最初に踊ったダンスの曲。
私が一番好きな曲。
「ねぇ、このリップ私に似合う?」
「男の俺に聞かれてなぁ」
聞き覚えのある声。
同じクラスのカップル。
私が、ズレてる
「昨日観てた動画なんだけどね」
「ダンスの話はもう飽きてるんだけど」
「とにかく聞いて! 最近伸びているダンスの動画で歌っている人がいたの。顔は隠れているんだけどね」
ダンス
隠す
……歌?
「その声が縫衣ちゃんに似てるんだよね」
え、私?
「ヌイ?」
「うちのクラスの陽ノ影縫衣だよ」
やめて
音楽の時間
歌
癖
言わないで
やめて
「やめろよ」
え?
「アイツのことよく知らないし」
「……そうだね」
この衣装、あの子が好きそう。
「……そろそろかな」
でも動けなかった。
「この曲なんか、ねぇ……」
「だな」