第27期 #6

狂った僕の目には嗚呼、美しい君しか視えなくて。
耳鳴りの音が今日は善く聴こえます。
ねえ、君。
この混紡の僕を如何して羞じないのですか?
皆が正しいと称するこの世界は、矛盾だらけと僕は云った。
君は云います。哂って云います。
「そうだね」
本当は、僕の世界が狂っていたんだろう?
解っていたんだろう?何故?
嗚呼。僕の一族が憐な眼で僕を観ます。
君が啼いたあの日から世界は止まっているんだ。
僕はあの日君が云った事が信じられなくて、
でも、少し経って解ったんだ。
君が正しい判断をしたって事が。
君は云いました。僕に銃を突きつけて。
「あんたなんかさ、壱つの駒でしかなかったのに。」
僕は問いました。
「何故?何故なんだ?止めてくれぇぇ。」
僕は君を刺しました。すると君は哂います。
「有難う。この狂った世界から堕してくれて。愛してる。」
君の銃の弾倉が空?狂っている全てが。
性別?歳?何も関係なかった。愛し合った僕らなら。
僕は今からこの矛盾だらけの狂った世界から堕ます。
嗚呼、僕の正しい、恐ろしく狂った世界にはきっと君が居ます。
今、君の元へ。


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