第125期 #2

小石

・小石を蹴った。

・ひどく、足が腫れた。

・程なくして、血が出た。

・病院に行った。

・「骨が折れています」と診断された。

・翌日、会社を休んだ。

・部屋で布団にくるまり、泣いた。

・「私何やってるんだろ?」って思った。

・数分後、少し笑けて来た。

・ひたすら布団の中で寝た。

・ぐーぐー寝た。

・起きたら、翌日の9時だった。

・仕事を休んだ。

・そして、また寝た。

・起きたら、翌日の8時だった。

・また仕事を休んだ。

・そしたら会社をクビになった。

・職を失った。

・すごい不安になった。

・足に感覚が無くなっていた。

・病院に行った。

・足が壊死してると言われた。

・病院から入院を勧められた。

・断った。
 →お金が無いから。

・アパートを解約した。

・実家に戻った。

・親にびっくりされた。
 →主に足の状態について

・親のお金で病院に入院した。

・手術をした。

・足を切断した。

・絶望した。

・一寸先が見えなくなった。

・生きてる意味が分からなくなった。

・3ヶ月入院した。

・恋をした。
 →毎日見舞いに来てくれた、同級生の勇次君に。

・勇次君に優しくされた。

・3ヶ月、ずっと。

・胸が張り裂けそうな程、彼が愛おしくなった。

・思いが、抑えきれなくなった。

・でも、嫌われたくなかった。

・でも、告白してみた。

・「ごめん」って言われた。

・泣いた。

・結局、恋は実らなかった。

・死のうと思った。

・でも、そんな勇気は無かった。

・もう、どうしていいか分からなくなった。

・ひたすら布団の中にもぐり、眠った。

・ぐーぐー眠った。

・ふと、右足が疼いた。

・膝から下がないはずの右足に、感覚があった。

・無いはずの右足があった。

・がばっと、布団から起き上がった。

・時計を見た。

・ちょうど、足を痛めた、3ヶ月前に戻っていた。

・全部夢だった。
 →小石を蹴る所から。

・外に出た。

・日の光が暖かかった。

・小石があった。

・今度は蹴らなかった。

・そのまま会社に行った。

・同僚に夢の話を全て話した。

・笑われた。

・でもうれしかった。

・今までの話が全て夢だったから。

・でも少し寂しかった。

・夢だけど、勇次君にふられたから。

・新しい恋を探そうと思った。

・色んな男の人と付き合った。

・でも、勇次君以上の人とは出会えなかった。

・もどかしかった。

・日常に意味を見出せなかった。

・ぼーっとしていた。

・布団にもぐり寝た。

・ぐーぐー寝た。

・起きて、外に出た。

・ふと地面を見た。

・小石があった。

・思い切り、蹴飛ばしてやった。



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