第125期 #3

それは、48歳年女の朝だった。その日、寝坊した私は息子の弁当のことしか考えず、自分の左手左足が動かないのをなんとも思わなかった。思うように動けず階段を下りることが出来なかった。で、半分ぐらいは転げ落ちた。脳梗塞だった。後で聞くと手術出来ない海馬というところだったそうだ。それは入院して一週間もたたないうちに二回目の発作がきて、話せなくなり、一か月近く意識不明だった。おかげで筋肉がなくなり歩くことができない。手も上げられず、今は老人福祉施設に行っている。もうすぐ一年になろうとしている。この一年で変わったことは、何も出来なかった娘がお嫁に行くことだ。母の姿を見て色々考えたらしい。夫は献身的に看病してくれた。それに答えるには頑張ってリハビリすることだ。前の自分に近づくことだ。それは物凄く大変でも、やるしかない。目下の目標は一人でトイレに行くこと。言葉の方は少しでも話せるから、それしかない。しかし50を前に大変な作業をやるとは思わなかった。これからだ、頑張らねば1



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