第125期 #4
昔、近所にみんなのおもちゃを取り上げるガキ大将がいた。とにかく何でもかんでも奪い取ってしまうので、一度おもちゃを取り返そうと、彼の家に忍び込んだことがある。
その時彼の家族はみな留守で、家の中は静まり返っていた。一つ一つ部屋を覗いてみたが、おもちゃはどこにもない。諦めかけたその時、庭から動物の鳴き声がした。
庭に行くと、古い物置が建っていて、鳴き声はその中から聞こえてくる。扉を開けると、私の物も含めた大量のおもちゃが山積みされており、その奥に豚が鎖でつながれていた。豚の足元には私の電車の模型が落ちていた。拾い上げると、車両が一つ足りなかった。
豚に目をやると、口元にパンタグラフの欠片がくっついており、歯には血が付いていた。突然恐ろしくなり、慌てて山の中から自分のおもちゃを掴み取り、物置を飛び出した。扉を閉めたとき、扉にマジックで「妹?」と書かれていることに気づいた。