第41期予選時の、#21あの男は死んだが、我々は生きている(私も生きている)。驚異的である。(るるるぶ☆どっぐちゃん)への投票です(3票)。
とてもおもしろい。いわば思考停止を美徳する世界はブラッドベリ的だが、主人公は愛する娘によってその世界への反逆をくわだてない。たとえパンクの本が見つかったとしても、彼は体制に反抗しないだろう。それよりも娘との夕食の準備のほうが大切だ。と書くと、たんなるマイホーム・パパの話だが、この作品はもっと示唆に富んでおり、人物も世界も魅力的だ。
参照用リンク: #date20060114-013307
「ただいま」
娘は暮れかけた明かりの中、螺旋階段に座って本を読む父を見上げた。
「ああ。おかえり」
「最近は信号の青色が綺麗なのね。街中できらきら光ってた」
うまく言えないけど、ここが好きだ。これが、るるるぶ☆どっぐちゃんさん(以下敬称略)の原点だ、みつけたぞ。と思う。この部分があるから、るるるぶ作品をやや拒絶しながらも大好きなんだなあ。1000字の中に父娘の意見の対立をもってくるのもさすがだ、と思って、そういえば「短編」の作品群に<異なる考えをひとつの作品の中でぶつけあっている作品>というのは少ない気がする。
参照用リンク: #date20060103-045614