第41期決勝時の、#7ポケット(真央りりこ)への投票です(6票)。
紺さんとヒモロギさんの作品はともに無理矢理千字に切り詰まられた印象を受ける。千字までという制限が足かせになっていて、一見軽やかな風なのに、嫌な息苦しさを感じる。普段サイトの文章を拝見しているせいかもしれない。
真央りりこさんの『ポケット』は読み手の想像に任された誤読の余地とでもいうべきものが心地好かった。単純に好みか好みかでないでいうとそう好みでもないのだけど、決勝の三作品の中では『ポケット』を推したい。
参照用リンク: #date20060122-220916
今回の決勝作品を<「男の子」と、「女」と、「おっさん」に、おもえました>と書いた方に同感!
どの作品もおもしろく読ませてもらいましたが、まさに上記のとおり。「馬の肛門」のノリ、意味不明なトーテムポール、にはついていけなかった私は「ポケットのペーパーナイフ」のりりこさんに思わず投票してしまいます。
「ポケット」を「エロ」と称した意見もありましたが、色気とエログロの混同では? あと「優勝してほしくありません」という意見もありましたが、それは「絶対優勝してください」の裏返しに思えて、なんだか好きな子に「おまえなんか嫌い」っていう男の子みたいに思えました。その方に負けないように「ポケットに絶対優勝してほしいです」と私は書いておくことにしましょう!
参照用リンク: #date20060122-181946
どんな小説に惹かれるかというのは難しいもので、年を重ねるからといって読み方が成熟するかというと必ずしもそうではない気がしますが、それもまた良しとしながら。
「ポケット」真央りりこさん
何よりもまず、語りかけてくる冒頭の少女の言葉にやられました。一言も書かれないのにセクシャルなイメージを読み取れるというのも面白いのですが、作品自体はエロと読むよりは寧ろ、ポケット=女性の胎内あるいは記憶の迷宮、と象徴化し、少女がその中身を語る濃密な描写の中で、人間の中身や営みを描こうとしている作品だと思い、そのことに強く惹かれました。人間を描く、についてはもっと他の方法もあるのでしょうし、この描き方が自分の好みかと言われるとそうでもないというのが実情ですけれど。
また、「ペーパーナイフで切る」については意味を読み取ることができず、そこで大きなズレを感じてしまいました。
読みづらさもありましたが、今期決勝の三つの作品の中で、最も「惹かれた」作品です。現在の私の感性(気分、という言葉がもっと近いようですが)で、この作品に投票します。(とむ)
参照用リンク: #date20060118-004557
決勝にのこった3作を読みなおしました。どれがいちばんきれいなのだろうかと、読みなおしました。いやな私です。
やめようと思ったけれど、いろんなこと、わかっているけれど、わかりきってるけれど、読みなおしました。
「男の子」と、「女」と、「おっさん」に、おもえました。
ヒモロギさんの作品って、明解で、即物的で、おもしろいのね。カッコいいのね。こういうの、なんて言うの? 浮世絵みたいね。明解で、即物的で、おもしろくて。あいつはほんとうに、こういう「男の子」好きね。あいつ、私よりもコロコロなの。コロコロよりもボンボンなの。ボンボンよりもわんぱっくコミックなの。私、あいつのこと、よく知っているもの。
バカだね、私。愛してもらえるつもりでいたなんて。バカだね。バカのくせに私、愛されるとおもっていたなんて。
「男の子」はじぶんの遊びに夢中なだけで、あいつのことなんか構ってくれないのにね。
あいつに幸せかとききました。わかっているのに、わかっているのに。遠回しに探りをいれてる私。皮肉のつもり。嫌がらせのつもり。いやな私……。
エーシさんって、じょうずなのね。てなれてるのね。エーシさんの話には濁りがなくて、きっとあいつをたのしませてくれる。てぎわがいいのね。だから年をとった「おっさん」におもえるのね。
でも私、きづいたんです。犬のラッキーが人間の身勝手から解放されたあとにおとずれる安心を。生理現象に対する抑圧を解放すると、「おしっこカタルシス」が得られることを。そしてそれら気持ちのよさにひたっていたあいつに、「おっさん」がそっと「祖先のおみちびきなのだろう」とささやいて納得させようとしたのを。男はいつも、嘘がうまいね。
あいつは十四や十五の娘でもあるまいに、くり返す嘘が何故みぬけないの? きっと「おっさん」は愁いを身につけて、うかれ街あたりで名をあげる。
……そうね。「おっさん」はそんな男じゃない。わかってる。「おっさん」をうるさく追いかける私。……何を望んでるの、私。
……私、3作を読みなおしました。
「りりこさん、あのね、あいつがやけにあなたの作品をほめるのよ。それからあなたの作品のモデル、ひょっとして、私じゃないかしら?」
……ウソ、ばっかり……
わかってるのよ、私。わかってるのよ、私。りりこさんの作品は、「女」ね。
男なんてなにさ。母になれの、恋人になれの、花になれの、港になれの、メイドになれの、妹になれの、メーテルになれの。注文ばかりを人に出しておいて、自分だけは広く浅く博愛主義者。
でも男心はみんな「女」のマリオネット。「女」は男の弱み全て知ってる。よりどりみどり気まぐれ次第、男にあわせて姿を変える。誘いかけない男なんてありえない。「女」が最後までしらを切ったのは、「女」の最大限の思いやり。ねえ、あいつをとらないで。
わかってる、私。わかってる、「女」。わかってるのに、わかっているのに。うらやましくて、うらやましくて。
……付き合ってくれてありがとう。
でも今夜は私、泣くと思います。うらやましくて。やっぱり、うらやましくて。うらやましくて、うらやましくて。今夜は泣くと、……思います。
参照用リンク: #date20060117-233948
『面白さ』と『好き』が両立しない作品はあまり楽しめない性質なのですが、今期は色々な方のご意見を参考にしつつ悩んで一票。後の二作品は収まるべき結末に落ち着いているのが上手いと思うと同時に少し物足りませんでした。
……しかし作品中でそういった説明的描写は一切ないにも関わらず、他の方の解釈にエロティックな見方が多いのは単純に興味深かったです。
参照用リンク: #date20060117-175233