第26期決勝時の、#12ありくいさん(巻)への投票です(4票)。
予選通過作の中ではいちばん抵抗すくなく読める文章である。描かれている情景が過不足なくこちらの頭にも映ってくるようで、文章を読む快感というものを感じさせてくれた。アリクイがこうして人家の縁先にやって来るということは現実にはあり得ないが、読む方では何の不思議もなく受け容れてしまうというのは、作者の実感がこめられているからであろう。蟻の悲鳴も「聞こえた」と言い切っている所に注意すべきで、この世界では「…ような気がした」では断じてないのである。要するに、あっさりと書き流されたように見えて、一つの別乾坤をたしかに構築している作品である。(海)
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