第21期予選時の、#2さらば日本(三浦)への投票です(1票)。
言葉は無惨に堆積していくが、しかしこのようにしてしか表現できない無惨さがあるだろう。流麗とも洗練ともほど遠い、むしろ、残骸のような、と呼びたい文体。でもこのような文体によって初めて、「でろん、と飛び出した」、朝靄色の頭の禍々しさはとらえられるのではないか。「味よりも量を選び観測所へ凱旋する。」「訳は強面の二人が持参していた。」外国語のように扱われた日本語はぎこちなく、句点を打つごとにきしむようだ。辛苦の末に獲得されたこの違和感は貴重だ。なんとなくこなれた文章によって綴られ、ほどよい湯加減のオチに着地できていた前作「ぽん!ぽん!ぽん!」とは、志の高さにおいて比較にならない。この小説を僕は買う。
参照用リンク: #date20040507-190725