第191期決勝時の投票状況です。3票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
5 | 電車にて | ハギワラシンジ | 2 |
2 | 若人は我が物顔で森の中を練り歩く | 霧野楢人 | 1 |
文章の雰囲気が内容と合っているため、ぶつ切りの文などがあっても全体としての完成度が高いように思えた。硬質で鬱屈した感じが強く印象に残る。以上、良かったので一票。
改めて読むと、仮想現実の会話は普通のかぎ括弧で、現実のやりとりは二重かぎ括弧になっている。倒錯を象徴するようで面白い。(この票の参照用リンク)
人間が使うさまざまな道具というのは拡張された身体だ、といったことを何かの本で読んだことがある。例えば、斧は腕を拡張したものだと言えるし、現代的なものだと、コンピュータは脳の拡張だと言えるだろう。この作品の場合は、身体の拡張というより、日常をインターネット空間に拡張させた風景を描いたものと言うべきだと思うが、とにかくその〈拡張〉という感覚が、自分の中でピッタリくる作品だと感じた。
この〈拡張〉という感覚は、別の言い方をすればハッキリとした境界が無いということであり、この作品においても日常(現実)とネット空間の境界が無く、二つの世界がごちゃ混ぜになったような描き方がなされている。そして単にごちゃ混ぜになっているだけでなく、人が彫像になっていたり、「部屋で寝ない」などの奇妙なルールのようなものが生まれているのがとても独特で、理解不能であるがゆえの魅力があると思う。
いずれにしても、感想を書くのが難しい作品である。(euReka)(この票の参照用リンク)
作者よがりな感じがなくて、登場人物が実像を持っているところ。分かりやす過ぎず、分かりにく過ぎないところ。(この票の参照用リンク)