仮掲示板

Re:65期は多いからふたつずつ感想13,14,15,16

お返事をしなかった五ヶ月間、しかしすべてのご感想を拝読しておりました。その中で一番効いたのは、失礼を承知で一番勉強になったことと同じではないと付け加えますが、先月と今月のqbc氏の感想だったりします。
それでも、間違いなく読んでいただいておりまして、そのことにお礼申し上げます。
どうする? 続けるのか? 黒田皐月。

Re*2:65期は多いからふたつずつ感想13,14,15,16

こんばんわ! このあいだ自分史上はじめて女の子のパンツを穿いてみたqbcです、流行にのって俺もやってみました。でも原型を破壊してしまいましたごめんなさい。エプロン、女装、恵方巻で三題噺をやったみたいです。

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 節分の鬼

 二月三日のこと。十四時。日曜日。家族は寝坊した俺を置いて郊外のアウトレットモールへ。中学入学を経てさらに時めきはじめた妹閣下の買物の護衛官というわけだ両親と兄は。
 節分だから豆がダイニングにあった。年齢の十六粒を食べようとしたら佐倉から着信。いくつまで数えたか忘れる。
 佐倉が言った。
「暇?」
「多忙だ」
「嘘だ」
 佐倉の声ははずんでいた。暇だろ暇だよなそして腹が空いてるだろ空いてるなじゃあうち来いよ来るよな幼馴染だろ。
「ああ」

 自転車で三分の距離をあるく。小春日和。ひとりで過ごすにはもったいない。佐倉家の呼鈴おす。佐倉のはしゃいだ返事スピーカ越しに。家族外出中ゆえ勝手にあがってくれ。
「お邪魔します」
 他人の家にはいる。すこし背徳感。あとなぜかほのかに酢の香。二階の佐倉の部屋に向かう。
 途中に佐倉の姉の部屋があってそこを覗きたいと思った。佐倉の父母もいない。姉本人も昨年末に結婚していない。
 俺の兄と同級生だった佐倉の姉はしたたかだった。一緒に遊んだ。女は特別だと俺の妹を閣下と呼ばせた。彼女自身のことは女帝と呼ばされた。彼女が十三歳くらい迄だったろうか。
 彼女の高校生活やその後を俺はよく知らない。関係が大人と子供に変わったんだ。でもだから部屋を見たい。
 階下から佐倉の声。
「キッチンだ」
 そういえば佐倉は俺に空腹か否かを問うていた。

 階段を降りてキッチンへ。
 キッチンにはペイズリー柄のワンピースを着た女の背中があった。俺の接近に気づいて女はふりむく。鬼だった。女は紙製の鬼の面をつけて。些少の緊張。
「誰だ」
 直後に俺は佐倉の姉かと訊ねた。女帝お気に入りのワンピースだったから。しかし女帝はいま孕んで腹をふくらませている筈だしそもそも俺を呼んだのは佐倉弟だ。
「はずれ」
 姉の服を着た佐倉は紙の面を額へおしあげて顔を見せた。
 俺は言った。
「なにやってんだ」
「エプロンが女物だから姉さんのドレッサー漁って合わせてみた」

 証人が必要だったらしい。女帝が旦那にせがまれて恵方巻を作った。それを聞いた佐倉も恵方巻を作る。うまいのができたと話す弟を姉は疑った。それにしても女装の理由にはならないが。
 俺がその恵方巻に手を伸ばすと佐倉にとめられた。
「外で縁起のいい方の空を向いて喰うんだ」
「女の恰好で外か」
 佐倉はふたたび鬼の面を顔におろす。
「口の所に穴あけてお面つけるから」
 そして鬼は外だとわらった。
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こんかいチャレンジしてみて気づいたことは俺と黒田さんの違いでした。
・黒田さんは服装の描写に字数を割く。
・俺は人間関係の描写に字数を割く。
黒田さんの小説を読んでいて俺は俺もこってり服装描写やってみたいなあという気持ちがあったのだけど、やっぱりどうしても自分のより興味ある方向に流れていってしまったようです。

また、服装描写に字数を割くということは、単純に展開や他の部分を削ることになり、最低限の動きしか描けないというジレンマも生まれてくることと思います。その点をクリアした成功例として、
http://tanpen.jp/54/16.html
があると思います。
服装描写とともに心理も描いていくという方法。なぜ女装するのか、ということについて読者として俺は常に興味をもって読んでおります。このあたりの回答が9にはあった。他の多くは女装している人のいる風景という印象です。

それから女装している人を描くのは楽しかったです。あやしくていい。こんかいはそこの描写にあてる字数があまりなかったのですが。とまれいち意見としてお読みいただければ幸いです。

Re*3:65期は多いからふたつずつ感想13,14,15,16

「エプロン、女装、恵方巻で三題噺」に私も乗っかってみました。
でも私の最も苦手とする形になってしまいましたよ、難しい。
やっぱり女装は難しいですね。


チョコレートの急襲


 バレンタインデーも近い昼休み、俺は女子に囲まれていた。それは大本命友人佐倉の情報を聞きだそうとする群れだ。
「佐倉君のことなんだけど」
ほらきたぜ、今度は何だ?メールアドレスか靴のサイズか?言っておくが俺は個人情報を漏らさない。
「ちょっと噂があってね、佐倉君、三橋君と付き合ってるんじゃないかって」
「ほら、佐倉君ってもてるのに誰とも付き合わないし、その分三橋君と仲良いし」
畳み掛けてくる女子どもに俺の思考がショートした。
「はあ?」馬鹿か?こいつらは。そう思ったことが口に出た。
「はああ?なに?三橋、ばかしね!」と散々なセリフが俺の背中に叩きつけられた。
 教室に戻ると、佐倉がまた別の取り巻き(女子)と楽しげに話している。佐倉のもてる要因は顔だ。それくらい俺にもわかる。大きな二重の目に淡い色の瞳、今時誰もそんな髪形はしない、あごまで伸ばした髪そのままのおかっぱ頭なのに、なぜか似合う。色も染めてやしないのに茶色くて、36分の1ロシア人なんだと嘯く肌の色も、色白日本人と少し違う白。不意に佐倉の視線が俺に移る。髪をかきあげながら流し目をくれた、様な気がした。「やっぱりトリュフだね」という佐倉の声が聞こえた。

 二月三日日曜午後三時。妹が悪戦苦闘する試作チョコレートの匂いに辟易していた頃、佐倉から呼び出し電話が来た。俺はいつものように佐倉の家へ向かう。しかし頭の中は先日の女子の言葉が回転していた。そういえば佐倉の部活の無い放課後や休みはいつも一緒だ。そして日曜といえば今時のラブな夫婦である佐倉の両親はデートで家にいない、ということは今は等と巡らす考えがまとまる前に佐倉家へ到着した。
 インターホンを鳴らすとドアが開かれ、そこには白いワンピースにフリルのエプロンをした佐倉が笑顔で俺を迎えたのだ。一瞬気が遠くなった。だって異様に似合っている。今時白いワンピースが似合う女なんていただろうか。立ちつくす俺を、佐倉がスカートを翻し手招きする。「こっちこっち」。桜色の唇が俺を呼ぶ。こっちこっち。今日の妹の姿と佐倉がオーバーラップする。キッチンに招かれる俺。いやまさか。
「な、なにこれ」
「恵方巻き、しらねえの?今日節分じゃん、お袋作ってさ、おまえんとこ持ってけ言うんだけど、軽音部のライブの衣装合わせで忙しいから、持ってけなくってさ。すげえだろ、この服、今時ビジュアル系ってどうよ?」




字数が苦しい。
字数制限無かったら、もうちょっと違うラストに出来たのに。
でも楽しかったです。
ありがとうございました。

Re*3:65期は多いからふたつずつ感想13,14,15,16


 「エプロン・女装・恵方巻で三題噺」に参加です。
 オリジナルとはほぼ関係のない極端なものを書いてみました。



「佐倉くんヤメテ!」(文字数・998)


 恵方巻作ってるから食いに来い、と佐倉からメールが来た。簡素な一文。なるほど、今日は二月三日だ。だがしかし、佐倉の魂胆は分かっている。あいつ、俺をどうにかするつもりだ。

 俺は物心付いた時から「美少年」と呼ばれ可愛がられて来た。幼少時から母、三人の姉、従姉妹、伯母と叔母、等々、女達に猫可愛がりされ、小学校、中学校でもそれは変わらず、女子達は常に俺の味方であり続けた。
 中二のある日、ふと思った。女子に溺愛される男子を他の男子は許せるものなのか? だが俺の周囲でそんな反応は無い。そこでハッとした。プリントを回す時、俺の右手を掴んで手渡す石田。俺がバケツを持って来た時、両側から俺を挟み込むように雑巾を絞りに来る富山と黒木。クラス全員、部活全員の男子にそういった疑問を投げ掛ける事が出来る。俺は恐怖した。このままではやられる。俺は一番好みだった女子に告白し、さっさと「男」になる事に決めた。だが失敗した!
「三橋くんはそういうのとは違うんだ」

 何とか貞操の一つは守り、しかしもう一つは捨てられないまま進学した。高校でも状況は変わらなかったが、女子は色付き始める訳だし、男子の方も中学の時のようにかわせるだろうと楽観視していた。
 そこに佐倉が現れたのだ。こいつは危険だった。俺に対するアクションが他の男共と比べて段違いに過激であり、厄介な事に柔道の有段者だった。しかし俺だって護身の為に空手を身に付けている。だからこそ今日までは凌いで来れたのだし、しかし力で捩じ伏せる事も出来ないでいた。
 その佐倉が張ったこの罠。虎穴に入らずんば虎子を得ず。罠に掛かった振りをし、今度こそあいつを捩じ伏せる!

 捕まった。まさか催眠ガスが出て来るとは考えなかった。俺の体は佐倉の部屋のベッドに固定されている。天井に鏡があり、俺は自分がひらひらエプロンに白いワンピース姿である事を知った。佐倉がやって来た。持っていた皿から巻寿司の端が覗けた。佐倉は俺が何を叫んでも無言のままで、ずっとハーハー言っている。佐倉が恵方巻を手にする。それが俺の口元に近づけられる。……嗚呼、これが前戯って奴なのか。さようなら、親父、お袋、姉貴達。俺、頑張って強く生きて行くよ……。

 解放された。恵方巻を食わされただけだった。
「もう乱暴な事しないから、たまに俺ん家来て姉ちゃんの服着てくれよ」
 帰り際、そう言われた。
 何故だかすごくドキドキした。



 というのを書いてみて、黒田さんはこういった話にさせないように気を使いながら一連の話を書いているのだろうなと改めて思いました。

Re*4:65期は多いからふたつずつ感想13,14,15,16

短編に5年間ほど参加してますが、今日三浦さんの「佐倉くんヤメテ!」を読んで、初めて噴出しました。
人によってこうも話が変わるんですね。

またしても、ファイズゲット!

以前の第二掲示板でも同じことを言ったなと思い出して。

エプロン、女装、恵方巻の三題噺に、私も参加します。
何度書いても上手くいかない。題名の半端な数字「22.4」は、三回失敗したことを意味していたりします。ここ三日こればかり考えていて、さて来期はどうしよう。

−−−

擬装☆少女 千字一時物語22.4

 二月三日、午後三時。突如佐倉から救助連絡が飛び込んできた。助けてくれ三橋、とにかく早くオレん家まで来い。これでは何のことかわからない。だからといって何の準備もせず佐倉宅へ向かった俺も俺なのかもしれない。
 佐倉宅に到着して呼び鈴を押すと、インターホンから台所に来るよう指示された。そして玄関の扉を開けた瞬間、俺はたじろいだ。チョコレートの匂いが漂ってくるのだ。嫌な予感に俺は回れ右して帰ろうとしたが、台所からの声に呼び止められてしまった。
 その子供っぽい快活さと愛らしさから、男女区別なく好かれている佐倉。しかしその佐倉が好きなのは誰か、それはまったくの謎である。その佐倉が、最近チョコレートに興味を示していた。もらう話だと俺は思っていたのだが、まさか逆だったのだろうか。台所からは佐倉の声の他に佐倉姉の声が聞こえてくる。いったい何なのだろうか。
「あ、やっと来た」
 振り返った佐倉の格好に俺は噴き出してしまい、食べ物を作っているのだからと佐倉姉に注意された。何と佐倉は、佐倉姉が以前着ていたのペーズリー柄のワンピースの上に白いエプロンを重ねているのだ。その姿でキュウリを細切りにしている。テーブルの上には酢飯の釜とチョコレートのボウルがあって、やはりエプロン姿の佐倉姉がその脇に広げた本とにらめっこをしている。
「姉貴ったら酷いんだよ。自分はチョコ作るからって今日の恵方巻をオレに押し付けて、しかもこんな格好までさせやがるんだ」
「アタシは忙しいの。それから台所は女性の聖域だからね、それなりにちゃんとしてもらわないと」
 ほら三橋君も、と佐倉姉は椅子に掛けられた服を指した。広げてみると、これもまた佐倉が着ているものと似たワンピースとエプロンだった。
「オレこういうの苦手だし。頼む、助けてくれ」
 ここまで来て断る術はなかった。隣室で着替えて台所に戻った俺は、出会い頭、姉弟に大口開けて笑われた。腹が立った俺は、先ほど佐倉姉から受けた注意をそのまま返してやった。
「絶対誰にも言うなよ」
「わかってる。恩にきるよ」
 俺たちは固い約束を交わしたが、その背後から怪しげな声がかけられた。振り向いた瞬間、携帯電話のカメラの電子音が台所に響いた。
「二人とも可愛いよ。じゃ、恵方巻作りがんばってね」
 この写真と今日の試作チョコと恵方巻と当日の義理チョコでという報酬で、俺もまた佐倉姉に強制的に買収されてしまったのだった。

−−−

お三方のお礼などは、済みませんが後にさせてください。
それから、掲示板汚しで済みません。

Re:またしても、ファイズゲット!

黒田さんこれ投稿バージョンよりも確実に面白いじゃないですか、
と私は思いました。

女装している理由も佐倉姉の遊び心によって自然だし、
なんか肩の力が抜けてすなおに楽しい話という感じになってますよ。

Re*2:またしても、ファイズゲット!

本当だ、こっちの方が面白いですね。
女装が自然でいいです。
いつもの女装の方向とはまた違っていいですね。

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