9
こういう作品はもっと自分に引き寄せて書いたほうが味が出ると思う。
作者と作品の距離がゼロだと息が詰まるけど、もう少し近づいたほうがいいだろうなあ。透明になることに溺れてみて欲しいなあ。
10
日本語の使い方がやっぱり少し変なところがあって、そういうところにいちいち躓くから、なかなかリズムに乗り切れない。惜しいなあと思った。
その点、最後の三行がすごく良かったと思いました。無理が無くて。
11
前期より面白かったですよ。
肩の力が抜けた感じで、純粋に楽しめました。
時間が無いので、ここまで。
また次号。
12
短い小説の手段として選んだ形だと思うけれど、この形にしない方法を考えてもよかったかもなあと思いました。もう少し演出するなりしないと色気が足んないかなと。ストレートなのもいいけどストレートすぎちゃうのもどうかと。短い小説なら「夜のくもざる」が好きです。
13
面白かった。前回のように奇をてらわないで、今回のように正面から書けるなら最初からそうしてくれればいいのに。
作者と作品の距離がちょうどよかった。近すぎずも遠すぎずも無く、読者を楽しませようという気持ちを感じました。そういうのが面白いんだよねやっぱりね。
14
この作品ももう少し別の書きようがあったんじゃないかと思う。
題材としてはほんわかしているので、その題材を生かすためにももう少し伝えやすい方向を考えてもいいかなあという気はする。そこが書く面白みというか。
話は変わるけどこの二人が恋人同士だったのは中学か高校とかかなあ。
付き合ってもまだこの口調でいるような初々しさは中学くらいまでのような気がするなと思いました。
我々夫婦の場合は小学生だったのでそこまで戻るのは無理だな。付き合っちゃいなかったけど。
時間切れなので以上。
またまた次号へ。
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短編では、作者の中のある一部の自分をのそりと取り出して、それに幻影を見せるようなつくりの作品が結構多い。そして火に関する話も多い。なので、これらを使って話を作るのは難しいなあと思う。作者と作品の距離感がこういう場合私には重要に見える。この作品もなかなか面白かったけど、「仄あかり」の方がいろいろと絶妙だったかなと思う。この作品では、ちょっと作者と作品の距離が近いかなという気がしました。
また、短編では、やはり作者の一部分の分身に、現実的な現象を見せて心象を語らせる作品も多い。現実的か幻想的かは作者の好みもあると思うけど、現実的なラインでいくタイプで好きだったのは市川さんで「マルコビッチの穴」のように、市川さんの書く女の子(私は19か20くらいと読んだ)の目から景色を見るような面白い錯覚を読んでて感じた。そういうところが好きでした。
16
仮に狙ったとしても日本語のミスが目立つので、この作品にそういう躓きはいらないと思いました。前期の(http://tanpen.jp/66/5.html)と語りの言葉の選び方が似ているのだけど、似ている分落差というかアラが目立ちました。
17
よわったな、結局何も起こらない。その上、やっぱり日本語の使い方が怪しい。どこかで間違って覚えた用法を繋ぎ合わせてみせられているような、作者の言葉として受け取ることが出来ない文章だと思いました。
結局嘘を書いているので、嘘だと思わせてはダメだと思います。これは私が役者だった時に演出家だった流山児さんに言われた極めて印象的な言葉。
また次号。
今期はさくさくと感想が進む。
これはと思える作品があるからだと思う。
前期はいまひとつだったからねー。
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「恋」を書いたときに回りくどいような書き方を止めたほうがいいのではと指摘してもらったので、それもそうかもと思い、なるべくシンプルな飾り気の無い実際的な表現で書く練習をしていたわけなんですが、なんだか急にジレンマに陥って、5年前の作品をひっぱり出し手を加えて書きたいように書きました。
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認知症については、祖母の件で15年くらい介護に参加しているから容易に想像つくので、家族の心労を思ったらこの家族が特別冷たいとも思えない。作品中のおじいさんの症状はそれほど扱いにくいタイプではなさそうだけど、それでも家族という血族の中にあってはいろんな問題があるんだろうと思うと大変気持ちの重くなる作品でした。このおじいさんもいったいいつまで入院できるのか家族も気をもんでいることだろうとか、背景の様子がね。
ところで、私の友人の看護師(私の友人はほぼ全員看護師)が夜勤の時に認知症のおじいさんが暴れだし、上から馬乗りになって押さえつけ、その際に顔を殴られたためナース服も顔も血まみれになり、それでも押さえつけて鎮静剤を打ったことがあるそうで、深夜の血染めのナースは語り草になったそうだ。祖母の場合はすぐ自殺未遂するので(首つったり手首切ったり)対応が大変だった。それからどういうわけか力が強くなるので、カーテンレールを(カーテンじゃない所がミソ)引き剥がして向かってこられたときには殺されるかと思いました。毎日肉弾戦だったので、かなり消耗したのを思い出します。三味線折ったりね!唐紙破ったりね!
20
>「プライドってどんな味だろね」
うまいこと言うなあと思って、私も「ははは」と笑いました。特に今は心に残る。印象的なセリフが多いのが宇加谷さんの特徴ですよね。イメージとしてはどうしても浅草が抜けなくて銀座というよりは浅草で読んでしまいました。
>「まずいんだ。ホコリだもん」
続く。
21
セリフがいちいち漫画のふきだしのようで面白かったです。あれ!とかやべ!とかね。その辺が妙にコミカルでした。なんか、サザエさんみたいで。マスオさんの「でえ!」みたいで。
語られようとする内容とセリフのギャップというか。まとまろうとするたびに、効果的にセリフが入って、真面目に語ろうとするのを拒む、語り手と登場人物の小競り合いっぽいそういう小劇場的なものを感じました。
続く。
22
「ゴドーを待ちながら」は、知人が芝居をうったような気がするんだけど、気がするというのは最近DMもらっても観にいく機会がなく、不義理をしているからでした。
私は以前、「冷やし中華」という詩を書いたときに、形而下の「冷やし中華」と形而上の「ウォータースライダーをすべる彼女の白い足」をリンクさせたことがあるのですが、形而下と形而上の話はこういう風に書くべきなのだと、思い知らされました。
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1000字はこう書くべきだというお手本というか、面白かったです。こなれていて、気負わず純粋に楽しめました。読者を楽しませてくれる作品だと思いました。こういう力の抜き方はなかなか出来ないものですよね。それでいて隙が無いというか。
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正統ですね。起承転結がはっきりしていて、(ストレートに過ぎるくらい)今までのどの作品よりも、読者に対して親切だなと思いました。話の骨がしっかりしている分、あとからつけたであろう枝葉の部分の選択がちょっと甘いのか、過剰に設定を盛り込みすぎていると思うので、もう少し減らした方が骨組みがすっきりしたかと思います。
独りよがりな演技は確かに共演したらすごく困りますが、役者には「役に飛び込む」(マット・デイモンとか)でタイプと「役を自分に引き寄せる」(ジョニーデップとか)タイプに大きく分けることができると思うので、その辺を考慮すると彼は演劇部にはいるべきなのになと思いました。
続く。
25
なんか、ちょっと作者のテレを感じるのは私だけでしょうか。そういう違和感がありました。ぶつ切りと思われる文章の中に、テレがにじみ出ているような。ぶつ切りが照れ隠しのような。
26
「静かな木」を読んだことの無い人は、一度読んだ方がいいと思う。優勝しなかったのが残念でならない。相手が「地下鉄」であったことも残念でならない。
以上になります。5年という長きにわたりお付き合いいただきましてありがとうございました。今期限りで短編における全ての活動をやめることにいたしました。不本意とはいえ、個人的なことでこの場を騒がせ、短編参加の皆さまの安心して創作できる環境をおびやかしたのは事実です。私も思いがけず深く傷ついたようで少しつかれました。
皆さまにはこれからもお体大切に、より一層のご活躍を。何か受賞されたり、出版された折にはご連絡頂けると幸いです。影ながら応援させていただきたいと思います。では。