第120期 #3 彩りは窓辺に
あ、そういう話しなのか、と最後まで読んでそう思った。ここどこなんだろう、なんなんだこの話、と思いながら読んでいたので、なかなか話の内容が頭の中に入ってこなかった。
「何かを楽しめるかどうかは、それぞれの置かれた状況によるのだ。」というところが一番書きたかったのかなあと思った。別に書きたいところがどこか、なんていうのはあんまり必要のないことなんだと思うけど、#2の小説も私が違う気分の時に読んだらもうちょっと意味が分かったんだろうか、とか思ったので気になった。続けて感想を書いていたので。
ちょっと文章がまどろっこしいんだけど、それが味になっているからどうしようもないなとか思う。でも、足取りが一辺倒なので、もうちょっと強弱があってもいいんじゃないのかなって思った。
あと、「長く続く廊下」とか、「図書館」とか、そういう設定を例えば「何かを楽しめるかどうかは、それぞれの置かれた状況によるのだ。」に紐付けて表現したりもできるし、いろいろ手を加えたいところがあるなあと思った。
いろいろ手を加えた作品が最高だぜって訳でもないんだけど、手を加えて良くなることもあるし。好きじゃないけどカート・ヴォネガットの要点まとめが、
1、時間の無駄を感じさせないように、時間を使う。
2、登場人物のうち一人は、読者が応援したくなるような人物を入れておく。
3、登場人物には、たとえ水一杯でも、何かを求めさせる。
4、各センテンスは、登場人物を明かす、もしくは、アクションを前進させるの、いずれかにする。
5、可能な限り、最初と最後を近づける。
6、サディストになる。どんなにかわいらしく、無垢な登場人物であっても、何か恐ろしい出来事を起こすこと。
7、ただ一人に向けて書く。広く世界に向けてたら最後、ストーリーは「肺炎」になってしまう。
8、読者にできるだけ情報を与える。このストーリーの中で、何がどこで起こり、その理由は何なのか? 読者が完全に理解できるようにして、読者自身でストーリーを完結できるようにする。
というのだけれど、この8っていうのは結構大事だと思う。分かんない部分たくさんあってもいいけど、ここだけは分かった! みたいなものがないと、なんだかな、ってなっちゃう。なんだかな、ってことも大事だけど、問題は、書いている人が意図的に、分かりやすさと分かりにくさをコントロール出来ているかどうか、というところだと思う。
でもまあ、お作法もお作法で、単純に楽しくて面白い小説にそういうのが必ずしも必要か、とも思うんだけど。難しいですね面白さに理屈をつけるのって。