仮掲示板

65期は多いからふたつずつ感想

1 ホームルームの時間 かんもり 997

夏目漱石「永日小品」<紀元節>を思い出しました。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/758_14936.html
※<紀元節>という小見出しを探すと見つかるかと思います。

これを下敷きにして考えると、
「なぜ何十年経過したあとに回想したか」という理由があったほうが、
より面白くなったかと思います。
<紀元節>は大昔の後悔がするどくよみがえる感じがあって
私はとても好きです。

そして個人的な感覚なのかもしれませんが、
近親の死を語りだす先生は非常識な気がしました。
空気読めてない感じの先生なんではないのかなと。
このあたりを深めて先生の人物を浮き彫りにしても良いのかなと
思った次第です。


2 思慮深い人 Et.was 842

「まさかそれが本当になるとなんて思っていなかったから」という
部分があるので実際に世界の終わりがきているのかと思ったけど、
最後の一行を読むと冷めた感じなのでそうでもないのでしょうか。

世界の終わり方はどんなふうに迎えるのだろうと思っていたら、
肩透かしをされたようなオチで、典型的なショートショートのように感じました。

「もしも明日が地球最後の日だったら」トピックは私もしたことがありますが、
友人Aはお墓参りに行くと答えておりました、
(彼は偽善者と呼ばれていました)
友人Bは恐怖を誤魔化すためにテレビゲームに没頭、
(臆病だけど彼は正直者でした)
友人Cは元彼女に謝罪しに行く、と答えておりました。
(彼は浮気が原因で先日別れたものですから)
そして私は彼らの考えを反芻しているうちに最後の瞬間を
迎えてしまいました。

という感じで複数の人の考えを列挙してみても面白い構成になったかと
思いました。きらきら光が乱反射するみたいできれい。
ひとりの頭の中ではどうしても狭苦しいので。

Re:65期は多いからふたつずつ感想3,4

3 空のボク、大地のボク、海のボク ハコ 782

「2学期、秋。今は三学期」とか「放課後が始まった。/海のボクは」、
「松本はるなはとても美人で、美人というよりとても可憐で」など、
無軌道な文脈がなんだか文の呼吸とあいまって心地良くもあった。

ただ「ボク」や「ナーバスになると、無性にピストルが欲しくなる」、
冒頭の知っている地名を並べ挙げたような部分に稚拙さを感じるので、
そこがたいへんなボトルネックになっているように思う。
これで語彙に個性があったら良くなったのではと思います。

またさらに「空のボク」といった空、大地、海が何を示しているのか
意味不明なので、この文章はこちらに何か訴える気があるんだろうかという
ことを疑いました。「ボクはきっと飲むと美味しい」と書かれた部分には、
勝手にしやがれと思ったりもしました。
友人の家でジャニーズのDVDを見せられて延々とその魅力を語られた時の
思い出がよみがえります。


4 キーボードの上の羽 水曜日 650

ネットサーフィンという言葉をなぜみんな使わなくなったのか、
ということをつい考えてしまいました。
同時に羽の生えた彼女は一体何者かということも考えました。
さいしょこれは飼っているペットの鳥を擬人化して書いたショートショート
なのかと思ったのですが、「黒髪ロングヘア」「後ろから抱き付いてきて」
などは、擬人化にしてもやりすぎな感じがします。
なので、この白い羽の彼女の正体がとても不明です。

また、
「部屋とキーボードの上に落ちた羽が悲しくて、窓からそっと彼女を逃がすことにした。」
このあたり、どうして悲しいのか、またどうして逃がすのか、
という部分が曖昧な気もしました。

しかし「中国人の友人」といったい何語でどんな話をしているのかといった
あたりは興味しんしんまるだったので、ここを掘り下げていただけたらチリバツ
だったかと思いました。

Re*2:65期は多いからふたつずつ感想5,6

5 瀬戸際の主 柊葉一 1000
なんかちょっと文章が読みづらかった。
ばあちゃんが異世界の主だったら、ひきこもりとかもそうだよね。
そしてばあちゃんから見たらふつうの会社員も異世界で、
赤ちゃんとかもそうで、たぶん世の中は異世界だらけなんだろうな。
けど、そんな異世界どうしが仲良くなっちゃったりするときもあるわけで、
そういうときって、楽しいよね。
誘拐ものが面白いとか言われるのは、金持ちと犯罪者っていうふたつの異世界に
属する人間が接触するかららしいですよ。

古臭い木目の扉を開けると、廊下まで漏れていたテレビの音が一層大きくなる。

こういうところが読みにくい。
一文の中に、扉の形状、開けるというアクション、廊下にいるという状況、
廊下にテレビの音が漏れてきているという前提、扉を開けるとテレビの音が
大きくなったという変化。
詰め込みすぎているから読みにくかったんだと思う。


6 秩序を想う 森 綾乃 997
ちょっと文章が変に思った。
「高い早春の空」とか、空が高いのは一般的に秋だから、
彼にとっては春の空は高く見えるとか注釈が必要なんじゃないかな。
そのほかにも数箇所。

なんか高級そうなホテルとか車とかの中身を見てみたいぜ、っていう
欲望はなんかありますよね。まあどこでも覗いてみたいという気持ちは
あるけど。横浜のインターコンチネンタルに泊まった時になんかいい部屋
泊まったんだよね。朝食食べるとこがすごくてさ、あからさまなアラブ人が
外国語の新聞読んでたりとか、フランス人がカフェオレはここはないのかとか
ホテルの人に言ってきてて、ホテルの人は英語しか喋れないらしく、
なんかもめてたりとか。
旅客機の中の描写にもうちょっといろどりがほしかったです。
もっと妄想たくましくしてくれたら良かったのにな。

Re*3:65期は多いからふたつずつ感想7,8

7 おおきいもの 辛 420
こういうの読むと泣けてきちゃうんだよね年のせいかな。
あいだみつを読むと腹立つんだけど、ネットで不意にこういうの読むと
心が安らぐ。みつをは金が絡んでくるからさ。

民話っぽいんだよねこういうの。こういう小話がネットで漂ってて
みんながこれいいよね、とか言い合って生まれる作品はいとおしい。

でも、もしも地球が100人のなんたらとかは偽善くさくてやだな。
話がおおげさなんだよ。

ただ文学って差別社会なので、こういう素朴なものはけなされるんだよね。
分からない馬鹿はついてくんな、分かる奴だけついてこい、という。
積み重ねの上に積み重ねたものを楽しむ趣味だから。

けど小説は人に読ませるものなのだから、こういう感覚を持ってないと
だめだと俺は思っていて、だからこれも好きだ。
そのまま書けばいいってもんでもないけどね。


8 早春賦 さいたま わたる 1000
おでんにはしゃぐ子供は昭和っぽくていいな。
というか子供ってほんとに馬鹿だよな。かわいいよ。

これはこれでこういう話はたぶん1000年は前からあるのでなんか
なにも言うことはなく、結構だと思うのですが、もっとなんか
足したらいいのにと思いました。
じつはそのカエル以外のカエルはみんなおでんの具になってたとか。
俺の発想もたいがいふるくさいな。

Re*4:65期は多いからふたつずつ感想9,10

9 時代遅れ?なアタシ ルーン 450
面白いかどうかってむつかしいですよね。
俺は正直これ面白いと思うんだよね。
馬鹿な日記だなと。

小説を読んでいない人は小説を書けないというか、
まずは「短編」の優勝作品から読んでいけばいいのに
と思います。

結局過去の作品があって、それとは違うものを、
それとは違った味わいのあるものを、て感じで
物事って変化するわけで、だから昔の作品読んで来いというのはふつうだよね。

お母さんが毎日カレーばっかりつくってカレーしか
食べれないのも嫌でしょう。むしろ怒るぜ。
遊んでんだからもっと楽しく遊ぼうぜと。


10 仙丹 八海宵一 1000
漢字が多くて読みづらい感じでした。なんか窮屈な感じ。
「我々は、死ぬことを忘れているわけではない」
という言葉は、ああそうだったのか、と思ったのですが、
これを言うためだけの鎧だったのか他の部分は、と愕然となり
私はおろおろしました。

なにが小説で小説でないんだろうとか思います。
これはたぶん小説ではなくて物語なんだと思います。
「それから」で進むのが物語。
「どうして」で進むのが小説。というふうに習ったのですが、
物語「王子が死んだ。王女は泣いた」
小説「王子が死んだ。哀しんで王女は泣いた」
で、物語は時系列的、小説は因果律的。
実際おもしろけりゃどうでもいいんですが、
ただ色んなもの混ぜたほうが面白いと思うんですよね。
カレーみたい。

Re*5:65期は多いからふたつずつ感想11,12

11 チョコっとした小説 中木寸 240
心の中は「許さない!」状態だ。
ってこんど使わせてもらいますね。

和明が嫌いな理由がとてもよく分かりました。

筋が面白いものは文章がつまらない、
文章がつまらないものは筋が面白い、
という題目が最近思い浮かんでいます。


12 掌 ヨクサル 622
いい話だなあ。
なにを読んでも楽しめる俺は幸せものなんだと思う。

なんで妻は帰り時間分かったんだろう。
この人はなんでこんなシンプルでどこにでもありふれたもの
を書こうと思ったのかと思うと不思議でならない。
なんだかんだ言っていちおう内容のあるものを書くって
ことは動機があるんだろうけど。
それはいったいなんなんだろうか。

Re*6:65期は多いからふたつずつ感想13,14,15,16

13 ゴーレムを創る makieba 1000
書いてあるワードに分かんないのがある〜。
とか思ってよく意味分からなかったんだけど、
梅田さんの注釈でなんとなく分かりましたありがとうございます。

さいご投げ遣りな感じがしました。
さいしょの本のあたりはなんか硬い言葉が弾んでて
面白そうな感じだったのですが、
さいごはその冒頭の勢いの惰性で終わってしまった感じ。


14 擬装☆少女 千字一時物語22 黒田皐月 1000
バレンタインじゃなくて恵方巻か。
友達のうちに行ったら友達が女装してたパターンが
多くて飽きてきました。
次回は女装対決とかしてほしいです。
ただ何回読んでも女装っていうのは興味深いです。


15 マイソフィスト 壱倉柊 1000
なんかかわいらしい話だ。

これこそ、
筋が面白いものは文章がつまらない、
文章がつまらないものは筋が面白い、
の、筋は面白いけど文章が、という感じ。

>インフルエンザ明けの私の頭は余計に白みがかり、ぐらりぐらりと意識が揺れた。
とか、すっきりした文章でいいと思うんだけど、面白みがあんまり感じられない。
これで筋に合う文体ができたらもっと良いのになあと残念でした。


16 僕の天秤 櫻 愛美 875
ああ、なるほど、という感想。

これも
筋が面白いものは文章がつまらない、
文章がつまらないものは筋が面白い、
の、筋は面白いけど文章が、という感じ。
筋もそこまで優れた感じではないけど、構成と文体の力で面白いものには
なると思うんだけど。
なんかもっと面白がらせる工夫してほしい。

Re*7:65期は多いからふたつずつ感想13,14,15,16

こんにちは。
ひとり短編に投票しようと思ったのですが、いつの間にかはるか昔のログに追いやられていますね。すごい、掲示板が活発!

それはそうと、
〉筋が面白いものは文章がつまらない、
〉文章がつまらないものは筋が面白い、
これって、ふたつとも同じことを言っているように思うのですが、
「筋の面白さ」か「文章のつまらなさ」のどちらが目立つかの違いってことでしょうか。
それとも、下のほうは「文章が面白いものは筋がつまらない」の書き間違いでしょうか。
なんだか、気になってしまったので。

俺はどちらかといえば「文章さえ面白ければ筋はどうでもいい」派です。

Re*8:65期は多いからふたつずつ感想13,14,15,16

こんにちわ!

すごくごめんなさい、
もぐらさんの指摘の通り、
「文章が面白いものは筋がつまらない」
でした。
みなさんに対してもごめんなさい。

したがいまして、
筋が面白いものは文章がつまらない、
文章が面白いものは筋がつまらない、
です。

〉俺はどちらかといえば「文章さえ面白ければ筋はどうでもいい」派です。
俺は正直なところ、文章が面白くないとまず読む気が起きないです。
なので「文章さえ面白ければ筋はどうでもいい」という気持ちもありますが、
しかし両方の面で成功しているものもあって、
それを考えると、片方の面白さでは物足りない。

ただ、文章だけが面白いものは筋がないゆえの淡さみたいなのが
あって、味わい深いものですけれど。

訂正ありがとうございました。
ひとり短編の投票も楽しみにしています。

Re:65期は多いからふたつずつ感想13,14,15,16

お返事をしなかった五ヶ月間、しかしすべてのご感想を拝読しておりました。その中で一番効いたのは、失礼を承知で一番勉強になったことと同じではないと付け加えますが、先月と今月のqbc氏の感想だったりします。
それでも、間違いなく読んでいただいておりまして、そのことにお礼申し上げます。
どうする? 続けるのか? 黒田皐月。

Re*7:65期は多いからふたつずつ感想17,18,19,20

17 タイム・ワープ fengshuang 962
なにも起きなかったのか。

さいきんイギリス民話集というのを読んでいるんですけど、
この本わりと面白いですが、ここに収録されているような感じです。
民話には素朴な感じがあるし、なによりも、こういうのが人に愛されてきた
話なんだって部分で、物語の基礎って感じです。余計なものがあまりないし。

ただ、これをそのまま現代にもちこむと、現代の人はもう娯楽に満ち溢れている
世界で暮らしているので、ちょっと物足りないものです。


18 横断者 笹帽子 1000
ふしぎと魅力的なのはなんでなんだろうな。
文章がすなおで丁寧な感じがするからかな。
都市伝説聞いているときみたいに、なんだか無意識のそこで、
こういうことあるかも、と思えるちりちりした感じがある。
なんで俺と横断者はまわりから見えないのか疑問。
ただもう一味欲しいな、と思うところがあって、
それは毒なのか、かわいらしさなのか分からないけど。
さいごにコショウ入れ忘れた系。

19 桜の樹の上には 三浦 992
面白かったです。
「せかい」とか「鳴動」とか意味は把握しづらいんですが、
構成は単純にきれいだと思います。むだなダイアログがあるから、
「曾祖父、かんかんのうを踊る。」っていう主語動詞が生きてくる。
暗闇の中の鳴動、と目が潰れたから踊るってのが呼応してんですよね。

最初の塊は感覚的で、きれいな導入、
次の塊は状況説明的なところで、ひきこまれるよう、
無意味なダイアログで、このダイアログが二人の関係性を
ちょっとにじませてるのもいいのかもしれない、
で、最後にかんかんのうと。

闇の世界でもだえてる感じがするんですよね。
でもそれが暗い感じじゃなくて、気持ちよい感じ。
瞑想してるとこんな感じになるのかなと思いました。
かなりすごい出色の出来かと思うんですが。
かんかんのうについての俺の知識がすくないので、
そこをしっかりと味わうことができず、自分が残念でした。


20 猿の証明「2+2=5」 宇加谷 研一郎 1000
面白いよ〜。
段落間の反発がいい具合に働いてるのかな。

>彼は本物の猿だった。
>誰も不思議に思わなかったのか?
>思ったに違いない。
とか。

>2+2=5。
>「待って。5? 1多いじゃない」
とか。

あと証明できてない証明の後に天才ゼミの話とか。
冷蔵庫とかの言葉も意味が完全に感じられないし。
あと「黒い噂」とか「NASAの秘密計画に加わって」とかの
社会って訳分からないよねって感じの言葉もいいなあ。

ちょっとずれるんだが、
筋が面白いものは文章がつまらない、
文章が面白いもの筋がつまらない、
という話の中で、
筋が面白くて文章も面白いものは不条理なのが多い、
っていう印象が短編にはあるんだよね。
短いとやりやすいのか、というより、
不条理の長編は長いと読むのきついのかな。

「知性を内側に隠す淑女」は俺も気になりました。
「才気煥発なオテンバ娘」はいいかなと思います。

Re*8:65期は多いからふたつずつ感想21,23,24,25,26

21 子犬のワルツ 長月夕子 997
素材感はあるんだけど、なんだか味がはっきりしなくて
もったいなあという感じでした。

素行わるいけど実はできる子っていうのを強調したいのか、
先生と生徒の恋が始まるのよ、みたいな展開を考えていられるのか。


23 餅を焼く わたなべ かおる 734
ものすごく散漫でこれはこれで散漫すぎてすごいくらいだ。
冒頭の「昔は、炭をおこして餅を焼いたものだ」というのが、
なんだか大仰で構えてしまいました。
どうして友達がいないんだろうかとか、
言いたいことぜんぶ言ったらどうなるとか、
そういうのばんばん小説上でやってしまったらいいのに。

あと個人的にもっと料理の、食物の、おいしい物の描写を
やってくれたら嬉しかったです。


24 未来の乗りかた わらがや たかひろ 1000
それからどうなるんだろう? という興味で読者を引っ張るのが
物語。三匹の子豚とか、どうも昔話には三人でてきて、
一人目二人目は失敗するんだけど三人目は成功する、という形式が
多いですが、これは、それからそれから、という興味を引っ張る
手法なんだろうなと思います。正直なところ、一人目二人目は、
たんに時間を延ばすためだけにある。

一方、どうしてだろうか? という興味で読者をひっぱるのが
小説。というか、この話は前にどこかで書いた気がする。

これはそういう意味では物語。どうして? という要求が読者側に
起こってくるはずなんだけど、それに答えてくれていないのん。

でも物語としては面白い部分があるし、もったいないなあ。


25 幸福を促進できる? 崎村 999
わあ、ぼくは恥かしがり屋なのでキスで赤面してしまいました。
構成がちょっと悪いかなと思います。
幽霊と会うってめずらしい話じゃないけど、基本を馬鹿にしてはいかん。
ただそれだけに、もうちょっと構成をこだわった
つくりにしないと陳腐になるんだと思う。
どうすればいいのかな。
うーん、いっそのこと、消えずにまだ幽霊がその部屋に
自縛霊しているっていうのも、ありがちかなあ。
むつかしい。

文章自体はすごく良くもないけど悪くもないという印象。

ずいぶん甘ったるい会話だけど、今の20代ってなんかこう、
わりとこんな感じなんだよなあ、と思いました。妙に甘いの。

あと、「……」の連発が気になりました。
記号は連発するとなんでも安っぽくなるから。


26 泥鰌 川野佑己 1000
タイトルが泥鰌じゃなくてどう考えてもウドンじゃないのか。
泥鰌がウドンとごっちゃになるという展開を期待したりした。

ウドンとか揺れる稲穂とか泥鰌とか川とかそういった類似が
言葉の中でたうちまわって生産に向かえば良かったのに。
しかしそもそも生産的っていうのが自分語すぎてよく分からない。

ただ俺の中では「うどん」っていっつも平仮名だったものが
この文章によってすっかり「ウドン」化されてしまい、
正直カタカナで「ウドン」は嫌なのだが、どうしようもなく、
その圧力は相変わらず。

Re*2:65期は多いからふたつずつ感想13,14,15,16

こんばんわ! このあいだ自分史上はじめて女の子のパンツを穿いてみたqbcです、流行にのって俺もやってみました。でも原型を破壊してしまいましたごめんなさい。エプロン、女装、恵方巻で三題噺をやったみたいです。

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 節分の鬼

 二月三日のこと。十四時。日曜日。家族は寝坊した俺を置いて郊外のアウトレットモールへ。中学入学を経てさらに時めきはじめた妹閣下の買物の護衛官というわけだ両親と兄は。
 節分だから豆がダイニングにあった。年齢の十六粒を食べようとしたら佐倉から着信。いくつまで数えたか忘れる。
 佐倉が言った。
「暇?」
「多忙だ」
「嘘だ」
 佐倉の声ははずんでいた。暇だろ暇だよなそして腹が空いてるだろ空いてるなじゃあうち来いよ来るよな幼馴染だろ。
「ああ」

 自転車で三分の距離をあるく。小春日和。ひとりで過ごすにはもったいない。佐倉家の呼鈴おす。佐倉のはしゃいだ返事スピーカ越しに。家族外出中ゆえ勝手にあがってくれ。
「お邪魔します」
 他人の家にはいる。すこし背徳感。あとなぜかほのかに酢の香。二階の佐倉の部屋に向かう。
 途中に佐倉の姉の部屋があってそこを覗きたいと思った。佐倉の父母もいない。姉本人も昨年末に結婚していない。
 俺の兄と同級生だった佐倉の姉はしたたかだった。一緒に遊んだ。女は特別だと俺の妹を閣下と呼ばせた。彼女自身のことは女帝と呼ばされた。彼女が十三歳くらい迄だったろうか。
 彼女の高校生活やその後を俺はよく知らない。関係が大人と子供に変わったんだ。でもだから部屋を見たい。
 階下から佐倉の声。
「キッチンだ」
 そういえば佐倉は俺に空腹か否かを問うていた。

 階段を降りてキッチンへ。
 キッチンにはペイズリー柄のワンピースを着た女の背中があった。俺の接近に気づいて女はふりむく。鬼だった。女は紙製の鬼の面をつけて。些少の緊張。
「誰だ」
 直後に俺は佐倉の姉かと訊ねた。女帝お気に入りのワンピースだったから。しかし女帝はいま孕んで腹をふくらませている筈だしそもそも俺を呼んだのは佐倉弟だ。
「はずれ」
 姉の服を着た佐倉は紙の面を額へおしあげて顔を見せた。
 俺は言った。
「なにやってんだ」
「エプロンが女物だから姉さんのドレッサー漁って合わせてみた」

 証人が必要だったらしい。女帝が旦那にせがまれて恵方巻を作った。それを聞いた佐倉も恵方巻を作る。うまいのができたと話す弟を姉は疑った。それにしても女装の理由にはならないが。
 俺がその恵方巻に手を伸ばすと佐倉にとめられた。
「外で縁起のいい方の空を向いて喰うんだ」
「女の恰好で外か」
 佐倉はふたたび鬼の面を顔におろす。
「口の所に穴あけてお面つけるから」
 そして鬼は外だとわらった。
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こんかいチャレンジしてみて気づいたことは俺と黒田さんの違いでした。
・黒田さんは服装の描写に字数を割く。
・俺は人間関係の描写に字数を割く。
黒田さんの小説を読んでいて俺は俺もこってり服装描写やってみたいなあという気持ちがあったのだけど、やっぱりどうしても自分のより興味ある方向に流れていってしまったようです。

また、服装描写に字数を割くということは、単純に展開や他の部分を削ることになり、最低限の動きしか描けないというジレンマも生まれてくることと思います。その点をクリアした成功例として、
http://tanpen.jp/54/16.html
があると思います。
服装描写とともに心理も描いていくという方法。なぜ女装するのか、ということについて読者として俺は常に興味をもって読んでおります。このあたりの回答が9にはあった。他の多くは女装している人のいる風景という印象です。

それから女装している人を描くのは楽しかったです。あやしくていい。こんかいはそこの描写にあてる字数があまりなかったのですが。とまれいち意見としてお読みいただければ幸いです。

Re*3:65期は多いからふたつずつ感想13,14,15,16

「エプロン、女装、恵方巻で三題噺」に私も乗っかってみました。
でも私の最も苦手とする形になってしまいましたよ、難しい。
やっぱり女装は難しいですね。


チョコレートの急襲


 バレンタインデーも近い昼休み、俺は女子に囲まれていた。それは大本命友人佐倉の情報を聞きだそうとする群れだ。
「佐倉君のことなんだけど」
ほらきたぜ、今度は何だ?メールアドレスか靴のサイズか?言っておくが俺は個人情報を漏らさない。
「ちょっと噂があってね、佐倉君、三橋君と付き合ってるんじゃないかって」
「ほら、佐倉君ってもてるのに誰とも付き合わないし、その分三橋君と仲良いし」
畳み掛けてくる女子どもに俺の思考がショートした。
「はあ?」馬鹿か?こいつらは。そう思ったことが口に出た。
「はああ?なに?三橋、ばかしね!」と散々なセリフが俺の背中に叩きつけられた。
 教室に戻ると、佐倉がまた別の取り巻き(女子)と楽しげに話している。佐倉のもてる要因は顔だ。それくらい俺にもわかる。大きな二重の目に淡い色の瞳、今時誰もそんな髪形はしない、あごまで伸ばした髪そのままのおかっぱ頭なのに、なぜか似合う。色も染めてやしないのに茶色くて、36分の1ロシア人なんだと嘯く肌の色も、色白日本人と少し違う白。不意に佐倉の視線が俺に移る。髪をかきあげながら流し目をくれた、様な気がした。「やっぱりトリュフだね」という佐倉の声が聞こえた。

 二月三日日曜午後三時。妹が悪戦苦闘する試作チョコレートの匂いに辟易していた頃、佐倉から呼び出し電話が来た。俺はいつものように佐倉の家へ向かう。しかし頭の中は先日の女子の言葉が回転していた。そういえば佐倉の部活の無い放課後や休みはいつも一緒だ。そして日曜といえば今時のラブな夫婦である佐倉の両親はデートで家にいない、ということは今は等と巡らす考えがまとまる前に佐倉家へ到着した。
 インターホンを鳴らすとドアが開かれ、そこには白いワンピースにフリルのエプロンをした佐倉が笑顔で俺を迎えたのだ。一瞬気が遠くなった。だって異様に似合っている。今時白いワンピースが似合う女なんていただろうか。立ちつくす俺を、佐倉がスカートを翻し手招きする。「こっちこっち」。桜色の唇が俺を呼ぶ。こっちこっち。今日の妹の姿と佐倉がオーバーラップする。キッチンに招かれる俺。いやまさか。
「な、なにこれ」
「恵方巻き、しらねえの?今日節分じゃん、お袋作ってさ、おまえんとこ持ってけ言うんだけど、軽音部のライブの衣装合わせで忙しいから、持ってけなくってさ。すげえだろ、この服、今時ビジュアル系ってどうよ?」




字数が苦しい。
字数制限無かったら、もうちょっと違うラストに出来たのに。
でも楽しかったです。
ありがとうございました。

Re*3:65期は多いからふたつずつ感想13,14,15,16


 「エプロン・女装・恵方巻で三題噺」に参加です。
 オリジナルとはほぼ関係のない極端なものを書いてみました。



「佐倉くんヤメテ!」(文字数・998)


 恵方巻作ってるから食いに来い、と佐倉からメールが来た。簡素な一文。なるほど、今日は二月三日だ。だがしかし、佐倉の魂胆は分かっている。あいつ、俺をどうにかするつもりだ。

 俺は物心付いた時から「美少年」と呼ばれ可愛がられて来た。幼少時から母、三人の姉、従姉妹、伯母と叔母、等々、女達に猫可愛がりされ、小学校、中学校でもそれは変わらず、女子達は常に俺の味方であり続けた。
 中二のある日、ふと思った。女子に溺愛される男子を他の男子は許せるものなのか? だが俺の周囲でそんな反応は無い。そこでハッとした。プリントを回す時、俺の右手を掴んで手渡す石田。俺がバケツを持って来た時、両側から俺を挟み込むように雑巾を絞りに来る富山と黒木。クラス全員、部活全員の男子にそういった疑問を投げ掛ける事が出来る。俺は恐怖した。このままではやられる。俺は一番好みだった女子に告白し、さっさと「男」になる事に決めた。だが失敗した!
「三橋くんはそういうのとは違うんだ」

 何とか貞操の一つは守り、しかしもう一つは捨てられないまま進学した。高校でも状況は変わらなかったが、女子は色付き始める訳だし、男子の方も中学の時のようにかわせるだろうと楽観視していた。
 そこに佐倉が現れたのだ。こいつは危険だった。俺に対するアクションが他の男共と比べて段違いに過激であり、厄介な事に柔道の有段者だった。しかし俺だって護身の為に空手を身に付けている。だからこそ今日までは凌いで来れたのだし、しかし力で捩じ伏せる事も出来ないでいた。
 その佐倉が張ったこの罠。虎穴に入らずんば虎子を得ず。罠に掛かった振りをし、今度こそあいつを捩じ伏せる!

 捕まった。まさか催眠ガスが出て来るとは考えなかった。俺の体は佐倉の部屋のベッドに固定されている。天井に鏡があり、俺は自分がひらひらエプロンに白いワンピース姿である事を知った。佐倉がやって来た。持っていた皿から巻寿司の端が覗けた。佐倉は俺が何を叫んでも無言のままで、ずっとハーハー言っている。佐倉が恵方巻を手にする。それが俺の口元に近づけられる。……嗚呼、これが前戯って奴なのか。さようなら、親父、お袋、姉貴達。俺、頑張って強く生きて行くよ……。

 解放された。恵方巻を食わされただけだった。
「もう乱暴な事しないから、たまに俺ん家来て姉ちゃんの服着てくれよ」
 帰り際、そう言われた。
 何故だかすごくドキドキした。



 というのを書いてみて、黒田さんはこういった話にさせないように気を使いながら一連の話を書いているのだろうなと改めて思いました。

Re*4:65期は多いからふたつずつ感想13,14,15,16

短編に5年間ほど参加してますが、今日三浦さんの「佐倉くんヤメテ!」を読んで、初めて噴出しました。
人によってこうも話が変わるんですね。

またしても、ファイズゲット!

以前の第二掲示板でも同じことを言ったなと思い出して。

エプロン、女装、恵方巻の三題噺に、私も参加します。
何度書いても上手くいかない。題名の半端な数字「22.4」は、三回失敗したことを意味していたりします。ここ三日こればかり考えていて、さて来期はどうしよう。

−−−

擬装☆少女 千字一時物語22.4

 二月三日、午後三時。突如佐倉から救助連絡が飛び込んできた。助けてくれ三橋、とにかく早くオレん家まで来い。これでは何のことかわからない。だからといって何の準備もせず佐倉宅へ向かった俺も俺なのかもしれない。
 佐倉宅に到着して呼び鈴を押すと、インターホンから台所に来るよう指示された。そして玄関の扉を開けた瞬間、俺はたじろいだ。チョコレートの匂いが漂ってくるのだ。嫌な予感に俺は回れ右して帰ろうとしたが、台所からの声に呼び止められてしまった。
 その子供っぽい快活さと愛らしさから、男女区別なく好かれている佐倉。しかしその佐倉が好きなのは誰か、それはまったくの謎である。その佐倉が、最近チョコレートに興味を示していた。もらう話だと俺は思っていたのだが、まさか逆だったのだろうか。台所からは佐倉の声の他に佐倉姉の声が聞こえてくる。いったい何なのだろうか。
「あ、やっと来た」
 振り返った佐倉の格好に俺は噴き出してしまい、食べ物を作っているのだからと佐倉姉に注意された。何と佐倉は、佐倉姉が以前着ていたのペーズリー柄のワンピースの上に白いエプロンを重ねているのだ。その姿でキュウリを細切りにしている。テーブルの上には酢飯の釜とチョコレートのボウルがあって、やはりエプロン姿の佐倉姉がその脇に広げた本とにらめっこをしている。
「姉貴ったら酷いんだよ。自分はチョコ作るからって今日の恵方巻をオレに押し付けて、しかもこんな格好までさせやがるんだ」
「アタシは忙しいの。それから台所は女性の聖域だからね、それなりにちゃんとしてもらわないと」
 ほら三橋君も、と佐倉姉は椅子に掛けられた服を指した。広げてみると、これもまた佐倉が着ているものと似たワンピースとエプロンだった。
「オレこういうの苦手だし。頼む、助けてくれ」
 ここまで来て断る術はなかった。隣室で着替えて台所に戻った俺は、出会い頭、姉弟に大口開けて笑われた。腹が立った俺は、先ほど佐倉姉から受けた注意をそのまま返してやった。
「絶対誰にも言うなよ」
「わかってる。恩にきるよ」
 俺たちは固い約束を交わしたが、その背後から怪しげな声がかけられた。振り向いた瞬間、携帯電話のカメラの電子音が台所に響いた。
「二人とも可愛いよ。じゃ、恵方巻作りがんばってね」
 この写真と今日の試作チョコと恵方巻と当日の義理チョコでという報酬で、俺もまた佐倉姉に強制的に買収されてしまったのだった。

−−−

お三方のお礼などは、済みませんが後にさせてください。
それから、掲示板汚しで済みません。

Re:またしても、ファイズゲット!

黒田さんこれ投稿バージョンよりも確実に面白いじゃないですか、
と私は思いました。

女装している理由も佐倉姉の遊び心によって自然だし、
なんか肩の力が抜けてすなおに楽しい話という感じになってますよ。

Re*2:またしても、ファイズゲット!

本当だ、こっちの方が面白いですね。
女装が自然でいいです。
いつもの女装の方向とはまた違っていいですね。

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