#1 白い部屋。 成多屋さとし
一言しゃべってブッ、と途切れるシーンがかっこ良いと思いました。
「無理です。」のところが渋くてドキドキしました。
おもしろかったです。
”ブッ”をやるためにインターホンが備え付けられているような
もんだと思いますが、舞台が真っ白でなにもない、というのはあまり
魅力を感じませんでした。どこかで見たような気もするし。
何もない部屋よりも怖い部屋はあると思います。
それに、特徴がある部屋のほうが、主人公の才能についても勝手にいろいろ解釈できて、
誰かがあーだこーだ言ってくれると思います。
”白い部屋”としてはそんなによくなかったです。
でもかなりおもしろかったです。
#2 硝子の虫 森 綾乃
けっこう主人公の気持ちがわかりました。
子どもの頃こういうこと思ってたかも、と思いました。
自分の世界に完全に入り込んでると、
何を見ても変なふうに解釈しちゃって普通に見えてないですよね。
そんなときに自分の問題が誰か大人の手ですいすい解決されていっていると、
なんだかわけがわからなくなってきて、自分に関わる大人が敵に見えたりする
みたいなことってあったな、と思いました。
僕はそういう感じで解釈しました。どうでも良いですね。
僕は特におもしろい、と感じた箇所はなかったし、全体的にはまあまあでした。
#3 ビーアグッドサン バターウルフ
ギターウルフと比べると、バターウルフのほうが
ひとひねりあってやや良いと思います。
「ごめんな健史。父さんなのにムスコに宿っちゃって」
ここをまず思いついたのでは、と邪推しました。
ここが一番おもしろかったからです。
おいおい勘弁してくれよ。と思ってやや笑いました。
でもオチまでいくとグロすぎて笑えませんでした。
ホラーでもないだろうし。
オチは心を打たれず、好奇心も刺激されず、
意図がよく伝わってこなかった、といった感じです。
どうせならチンコをもっと全面におしだしていくとか、おもっくそギャグにした
ほうが絶対良かったと思う。
#4 忘れられた昼食 公文力
記憶にない犯罪について迫られるというのは、よく考えるとおもしろい話
だと思いますが、怖さとかがちょっとよく伝わってきませんでした。
なので、どういう風に読めばいいのか途中で見失いました。
第一ボタン外してる警官は、ちょうしこいてるから第一ボタンはずしていて、
本性は暴力性あふれる奴ってことかな、とこっちは期待しますが、
”まあいいでしょう。”
とか言うキャラなので、後半へいくほどどんどん怖さがしぼんだし、
警官をどう解釈していいのかわかりませんでした。
あと、ハル子出てこねえのかよ。と思いました。
ハル子が真犯人だと解釈すべしだと僕は思ったのですが、
ハル子の出番が少なすぎて、匂わせてくれないので結局そうでもないっぽいです。
真犯人どうでも良いならハル子いらないと僕は思うんですが。
字数が足りなかったのでは? とちょっと予想しました。
小説の最後の最後に読む一行はタイトルなので、ラストのセリフのフリが
タイトルのなかにしかない。という遊び心はおもしろいと思います。
ほんとは最後のセリフを一番おもしろがってほしいのかもしれないけど、それにしてはちょっと
いろいろな方向に枝を広げすぎていると感じました。
おおまかなストーリーだけおもしろかった、という感じです。
#5 吉右衛門と六甲おろしのおはようサンデー 宇加谷 研一郎
うまいと思いますが、出だしの会話についてなんですが、
僕はちょっと適当すぎると思います。
こんな簡単な演出しちゃったよ、というおもしろ味はありますが、
それ以上は別に何も感じなかったので気になりました。
歌をうたって日が昇るシーンはステキだと思います。
歌詞は僕はそれほど良いとは思えませんでした。
”おはようサンデー”はとてもおもしろい言葉
なので、借りてくるのはちょっとずるいと思ってしまいました。
方言は、魅力があるセリフがなかったかな、という感じです。
僕にこういうのがわかるセンスーがないだけかもしれないですけど、
そう思いました。
#6 八丁林の探索は
とりあえずうまくまとまっていると思いました。
でも感想としては、なんか物足りなかったなといった感じです。
子どもたちが素直すぎて、夕日の演出も素直すぎて
ちょっと心が動くポイントがなかったです。
あと、どうでも良いことかもしれないですけど、勇太と俊太の名前が似ていて
漢字の画数も似ていて、少しややこしいと思いました。
最後で仲良くなる、というのは、
攻撃性がなくて、こういう感じはあんまり見たことないです。
とは言っても、そこに行くまでに良いと思うところは僕はありませんでした。
#7 逢魔が時 TM
作者独自の論理をみせつける小説は、僕はめっちゃ好きです。
この話も、論理がけっこうおもしろかったです。
ただ、セリフとセリフがうまくつながってないな、という箇所があって
全体的に無理矢理話を進めてる感を感じてしまいました。
特に、”「悪がどんなものか、知りたいのかね?」”と言い出して
はじまっているのに、次のセリフでそれを教えるのを嫌がるのは
ちょっと、なにかが足りないという感じがして、違和感がありまくりです。
こういうのがあると世界に入っていけないってもんだと思います。
最初は怪しい老人の話がおもしろ味で、そこを期待して読み進めて
いたのに、立場が逆転して老人が弱者になると、急激に老人の魅力が
なくなったので僕はちょっと冷めました。
僕としては、”なぜなら、おまえさんはまだ悪ではないからだ”のノリで
ビシバシ最後までいってほしかった、という感じです。
最初の部分がおもしろかったです。
別に論理にはそれほど重みを置いてないのでしょうか。
#8 医者と死神の微妙な関係 佐々原 海
”この灰色が青色に変わるわ”は良かったです。
ちょっとした恋みてえな話だったのか?
手術のシーンとか、書く必要はないと思いました。
書きたいシーンだけ書いて、言わせたいセリフだけ言わせたほうが
魅力がわかりやすいと思うんですが。
というのも、”この灰色が青色に変わるわ” が良かったからです。
こういうのをもっと見せてほしかったからです。
ストーリー的には、なんでもかんでもうまく行きすぎてちょっと
臭いかな、と思いました。こども死んだほうがクールにキマったと思います。
その方が死神さんも最後いいセリフ言えたと思うし。
僕はそう思いました。僕はあんまり好きな話ではなかったです。
#9 シバタ坂のデンジャーゾーン かんもり
デンジャーゾーンはたしかに良い言葉ですけど、意味教えてくれないんですか。
会話文がかなり流していて、ちょっと適当にやってんな、と思ってしました。
ANUの説明をやっているだけだと思いました。説明といっても活動内容は
教えてくれないし。
もっといろいろフリをつくっとけば、下品なチーム名がもっとおもしろくなる
んじゃないでしょうか。
別に笑わせることが目的じゃないとしても、ちょっと薄いと思います。
#10 月はただ静かに 黒田皐月
これはまじですごいと思いました。
100点満点を差し上げたい気持ちでいっぱいです。
はっきり言って、僕は初期の頃から黒田皐月さんを応援しておりました。
どうもこんにちは。
僕が掲示板を盗み見ていたところ、黒田皐月さんは、
書き込みの最後には必ず、
”〜な黒田皐月でした。”
で締めるという作業をしていました。
失礼な話ですが正直言って、あんまりおもしろくないぞ。
と僕は思っていました。でも、これをやる、と決めて、
やり続けていることに対して、ずっとすごいと思っていました。
まじです。
これは本当にすごいことです。この心の才能は、のどから手が出るほど欲しいです。
意味わかんない褒め方ですいません。以上です。
作品の感想を書きます。
花火大会がはじまってから終わるまでを、すべて”良い”と思える情景描写で
つなげているのがすごいです。いつのまにか花火大会が終わっていました。
この作品に出てくる光のなかでは、花火がかなり奇麗な部類に入っていて、
それよりはきれいじゃない光がいくつかあって、時間が経つとそれらはすべて
消えていって、月は最初も最後もいて、花火より高い位置にいって終わります。
光からなにか連想したりとかそういう野暮なことはしないで、
光を最後までクールに見比べていて、なにか浮かび上がってくるものがありました。
僕の感想としては、「あ〜、いろんな光が、あるんだなあ。」です。
お納めください。
花火の形状を描写するところが特に良かったです。
私は、読者が執筆者になることが進化だとは思いません。しかし、批判者になることは間違いなく進化であると、思います。
感想書きに加わっていただきましたこと、歓迎致します。正直に申しますと、この分量を書ける方だとは思っておりませんでした。お見それしました。失礼ついでに申し上げますと、本物しか愛せないと自分を信じるような若さを、貴見から感じました。
以下、ご感想へのお礼を。
〉#10 月はただ静かに 黒田皐月
さらに失礼ながら、第45期決勝投票から参加していた私ですが、その頃、その頃の作品に対する私の好みゆえに、この方には票を入れることはないだろうと思った方が何人かおりました。しかし、そう思ったことがあった方で今でも本当に票を入れたことのない方は、ひとりしかいません。それが、あなたなのです。なぜかと言いますと、作風がぶれていないから。ただし、それが悪いこととは決して申しません。黒田皐月の好みでないだけに過ぎません。
〉はっきり言って、僕は初期の頃から黒田皐月さんを応援しておりました。
先のロチェスター氏のことと言い、黒田皐月作品に甘い方ばかりと意見や好みが合わない、好みについては貴見から感じたことなのですが、というのもいかがなものでしょうねぇ。
〉僕が掲示板を盗み見ていたところ、黒田皐月さんは、
これは生き方の癖。枠をはめて、その中に自分を限定してしか、生きられない。この生き方については、これ以上申しません。
〉書き込みの最後には必ず、
〉”〜な黒田皐月でした。”
〉で締めるという作業をしていました。
〉失礼な話ですが正直言って、あんまりおもしろくないぞ。
〉と僕は思っていました。でも、これをやる、と決めて、
〉やり続けていることに対して、ずっとすごいと思っていました。
使い方としては、最後に一言言い訳をしたり、追伸のようなことを言ったりしています。それなりに便利に使っております。
〉花火大会がはじまってから終わるまでを、すべて”良い”と思える情景描写でつなげているのがすごいです。いつのまにか花火大会が終わっていました。
「いつの間にか終わっていた」、恐悦至極です。
〉この作品に出てくる光のなかでは、花火がかなり奇麗な部類に入っていて、それよりはきれいじゃない光がいくつかあって、時間が経つとそれらはすべて消えていって、月は最初も最後もいて、花火より高い位置にいって終わります。
〉光からなにか連想したりとかそういう野暮なことはしないで、光を最後までクールに見比べていて、なにか浮かび上がってくるものがありました。
〉僕の感想としては、「あ〜、いろんな光が、あるんだなあ。」です。
〉お納めください。
〉花火の形状を描写するところが特に良かったです。
書きたかったのは落ちとしての月と、花火の描写。クールとのご意見ですが、温度の意識はなし。
詳細なご感想に対して応えられておりませんが、ともかく、ご感想をありがとうございます。
そう言えば以前に他の方に褒めていただいた『擬装☆少女 千字一時物語9』も描写を褒めてもらったのだということを今さら思い出してきっと月末には忘れてしまう、そんな黒田皐月でした。と、こんな使い方。