第58期の感想を書かせていただきます。
感想というか、作品という往信に対する、お返事の気持ちです。
身勝手な読者からの身勝手なファンレターだと思っていただければ幸いです。
質問の形で書いた文章がありますが、お返事を強要するものではありません。
作者さんをあまり意識せず、なるべく作品単体で読みました。
余談ですが、掲示板での他の方の感想や議論は、まだあまり読んでいません。
では、以下、よろしくお願いします。じゃなくてええと、もしよかったらお読みください。
(15:25〜17:51)
1 葬列 藤田揺転さん
靴を履き忘れてきたことに気付く、というくだりで、携帯電話のCMを思い出しました。
薄型の携帯を忘れてきたから、と電話してて、でもちゃんと持ってて、
忘れてきたと言っているまさにその携帯で電話していて「あった」って言うやつです。
「それより靴、忘れてません?」と言われて、靴はホントに忘れてる、という…。
そんなことあるのかなあ(ある・ないでCMは作られてるわけじゃないですけれど)と思いながらCM見てたんですが、夢の中ならそういうことあるなあ、と思って、この作品を最後まで読みながら、同じく夢のようだと思いました。
2 ねがいごと チョコボール2001さん
神社もお稲荷さんも鳥居はあるけれど違うものだと思ってました…。同じなのかな?
油あげというと、お稲荷さんの次には、『ねこじゃらしの野原』という児童書を思い出します。とうふ屋さんの話、という副題があって、スズメが御猪口一杯の大豆を栽培&収穫して、これで油あげを作ってください、っていうかわいいお話があります。
この作品も、読んでほのぼのとしました。
3 枕の下にある枕 鏡 もちさん
まずタイトルで、たまにそういう宿泊施設あるなあ、と。なぜか枕が2つ重なってる…。
枕の「僕は今が睡眠時間なんだ」っていうところで、笑いました。かわいいv
でもタイトルでオチが見えてしまったのがちょっと残念かも。
もっと枕の言いぶんを聞いてみたかったです。オチは落語みたい。楽しいです。
4 スペース・リビドー 灰人さん
最初の一文の展開は、最初の4小説で人生悟ってしまう『すきま風』並みの早さ。(レミオロメンじゃなくて杉良太郎のほうです)http://www.uta-net.com/user/phplib/view_1.php?ID=2697
切るの痛いでしょうに…(そういう問題じゃないか…)
>かわいいおねえさんはかわいくて、
という重複はこどもっぽいのに、大人のすることを妙に悟ってるので、人生はそんなに捨てたもんじゃないよ、説得してあげたくなります。すみません。余計なお世話です。(笑)
手紙の最後にかしこと書きたくて切ったんだとすると(!)、でもそもそも切らなければこの手紙を書くこともなかったんだし、と、微妙にタイムマシンのパラドクスみたいなものを勝手に味わってみました。
5 贖罪 TMさん
先日、友人の好意で、劇団四季の『エクウス(馬)』という舞台を観劇しました。http://www.shiki.gr.jp/applause/equus/
馬の好きな青年が、なぜか馬の目を潰すという事件を起こして、精神科医がその青年を診るんですが、劇は「正常とは何か」という問いで終わりました。
劇のほうは自問でしたが、この作品は男の子に突きつけられるという形なので、読むととても責められているように感じました。でも
>「(前略)何度でも教えてやる。貴様は悪だ」「違う! 君は悪じゃない、闘うんだ!」
という会話からすると、もしかして一人で自問自答してるんだろうか、と思いました。
6 爪 仙棠青さん
>世は空前の爪ブームだった。
この一行から、ぜんぜん違う展開を想像しました。うわぁ。爪ブーム。みんなで爪のユーフォーキャッチャーとか、爪の詰め詰めセールとか。…思いついてからダジャレだということに気付きました。すみません。
読んでみて、ファッションとか流行とか、そういうものを気にする人は大変だなあ、と思いました。A子ちゃんの勇気には乾杯。
最後の一文、こういう締めくくり方は、定型的かもしれないけれど、好みです。
7 宝の部屋 鳩さん
最初の数行に言葉の違和感があったんですが(例えば2行目の「必然的に」という言葉は必要だったんだろうか、とか)最後まで読んだら切なかったです。
うーーーん切ない。どうしよう。(泣)
8 4minutes silence 公文力さん
>当時の私には若干自閉症的な傾向があったようです。
という伝聞的な自覚と、
>9歳でしたが当時の事を思い出しても言葉を発したという記憶がありません。
という自覚的な記憶が、ちょっと食い違ってる気がしました。
あと、自閉は、言葉を発しない、というわけではないんじゃなかったかなあ、とか。
最後まで読んで…もうちょっと長い作品として読みたいです。続きが知りたいです…。
>先日の私ではない私自身の姿
が何なのか、気になります。
先生の目に、というエピソードは、薬なんかなしで実際に似たような事件があったなあ、と思いました。
最後の一文は、主人公がそんな”心地よい柔らかな風”を知ってるとはあんまり思えません…。ここまで読んでできあがった主人公のイメージと異なりました。
9 とある日常 fengshuangさん
一報って訪れるものなのかなあ、というのは擬人法だからあんまり気にしなくていいのかあ…。などと余計なことにひっかかってしまいます。すみません。
>短針長針秒針とも左半分にあるなと思った
こういう判断が瞬間的にできる人は理系かもしれない、と思いました。(理系文系っていう分類に意味なんかあるもんか、と思いつつ)
ちなみに鷹山さんとは、うまくやっていけそうです、私。この人好き。(笑)
10 例えば千字で刹那を 黒田皐月さん
タイトルがいいなあ。刹那という言葉に関して、掲示板で色々と議論があったようですが、語源を気にしてられるほど記憶力がないので、私は個人的なイメージだけで読んでしまいます。
>だから俺が求めていたのは、より高い速度ではなく、実はより短い時間だったのだろう。
というのと、その次の
>ミルククラウンを観察するためには
というのは、短い時間と言っても、意味合いが違うように思いました。
なんていうか、「より短く」と、「瞬間」っていうのは、飛躍があるかなあ、と。
だから第三段落目から始めてもいい作品なのかもしれないと思いました。そしてこのラストなら、(ラストが主人公のいじけたセリフに感じられたというのも残念なんですが、)刹那についてもっと語ってほしいなあと。タイトルと内容が離れてる気がしました。もったいない。タイトル素敵なのに。
技術的な説明は、主人公の独り言としてなら読者が理解しなくてもいいし、素人にもわかるようにということなら、自分だったらもっとイメージだけ書いてしまうなあと思いました。
ミルククラウンは好きです。あれこそ、瞬間の美ですね。刹那なんか放っておいて、主人公、ミルククラウン眺めて幸せになろうよ。(笑)
11 男たちのヤマト 大股 リードさん
まずはどこかで見たようなタイトルを持ってくるというのは効果を狙ってるのかもしれないけれどその作品を見てない人にはどうなのかなあ、と、タイトル付けの難しさを考えさせられました。
漢字と平仮名のバランスが、自分のリズムと異なって、読んでて気になりました。
>私の壮大なる人生の展望をジリジリと追い詰めるだけの力はもっていた。
の「もっていた」はどうして、「持っていた」じゃないんだろう、とか。
なのに「一際」は漢字なのかあ、とか。「かけがい」は「かけがえ」だろうなあ。
でもこういうアンバランスそのものを作風とする知人がいるので、間違いだと思ってるわけでもありません。(もちろん私のリズムが正しいなんて言う気もありません)
最後まで読んで、こういう男の人のやるせなさってのは、滑稽だけど切なくて、わりと好きです。(笑)
12 ジョー淀川 vs 峰よしお 頭をわしづかみされるハンニャさん
…作品じゃない話からでごめんなさい。お名前がよく変わって、それが楽しくて仕方ないです。(笑)
作品は…会社がみんな、こんな楽しかったらいいのに!!!(笑)
会社をやめたがっている友人知人に読ませたいと思います。よけい怒るかな。(笑)
似たようなことは自分の中ではありましたが、周りがこんなについてきてくれないので、こういう展開には成り得ませんでした。作品の中で夢が叶ったようで嬉しいです。うわ。連続で2度読みました。(笑)