仮掲示板

第70期は全作品の感想

 気がつけば、短編投稿数第八位だそうです。
 連続無得票記録第二位、投稿数二十以上中での得票率最下位、連番使用数ダントツ一位(唯一ではないと認識しています)など、もしもこの掲示板でいらない子論争が始まったら真っ先に槍玉に挙がるだろうなと思いながら、今期もまたやる気のない感想を提出します。早く出してもそれだけで、再考などしないでしょう。
 以下の感想で何より自分で嫌なのは、常連びいきらしいところ。

まずは言い訳から
#14 擬装☆少女 千字一時物語32
 発表されて他の作品と並べられると面白くないと思うことはいつものことなのだが、誤字は初めて、だと思う。「同じ歳」と「同じ年」。それから「多くの目についたはず」、これは「多くの人の目についたはず」のはず。増加二文字は「膨れて飴をなめたところがまた可愛かったと言われてしまっては」を「膨れて飴をなめたところがまた可愛いと言われてしまっては」で削ろうか。これも理由のある過去形なのだが、他に削れそうなところがないから。

こんな感想を書いた自分に疑問、作品にも疑問
#5 つぶらな瞳にアイラブベイベー
#19 夏の散歩
 『短編』は千字以内の小説を発表する場である。そうであれば、千字以内であれば二、三百字でも一向に規定に抵触しないのであるが、しかし字数の少ない分描かれているものが少なく、他の作品と比較して足りない感じが否めない。字数の少ない作品でも強烈な印象を持つ作品はあることはあるが、この二作はそれには当たらない。
 思い出せるところからだけ言えば、第47期のさきは氏の『とある少女と青年の会話』、第48期の奥村氏の『青春』、第52期の川野氏の『年月』、第55期のクルミ氏の『白い渦』、第61期のわたなべ氏の『エスカレータで指切断の事故』、それからたけやん氏の作品あたりが参考すべきものと思われる。

なぜ評価できなかったかよくわからない、足りないと感じた作品
#1 嫌いなこと
 アヒルと担任のやり取りが何であるのか、なぜこのような仕打ちになるのか、わからなかった。また、ホームルーム直後の水泳が嫌いとしておきながら、最初に午後に雨が降ってほしいと思ったこともわからなかった。
 夏や秋の晴れの日が憂鬱であることをずっと並べていて、その理由だけは最後に明かされる手法は、良いと思った。

#2 世界平和
 平和を実感できるとき、という主題は突飛ではないがそれが良いことだと思う。
 この作品には、職場についてT男が最初に何を言ったかがあると良かったと思う。それから、父の台詞で「照れくさそうに付け加えた」とあるが、別の、直接に感情を表さない表現の方が良いのではないかと思った。

#3 恋の花
 もっと細やかに見てみたい世界で、千字では無理なのだろうかと思った。
 言葉遣いは、まだ粗いと思う。「言葉のパンチ」は「叱咤」、「茶道の動きを思わせるような」は「茶道を思わせるような」、「小指にまで神経の行き届いた」は「小指の先にまで神経の行き届いた」の方が良いと思う。

#4 小枝の話
 登場人物の三人の結末が、わからない。
 そもそもこの国は、武術に優れた者が王になるようであり、また王が衰えを感じるたびに兵士が殉死しなければならないだろう。軍事大国なのだろうか。

#6 月の上で
 約束の内容は必要ないのだろうか。作品中でさゆが灯に伝えられたことは、何もない。だから、なぜそもそも舞台が月であるのかということすら、おぼろげにしかわからない。

#7 隣家
 何かが合っていない。主人公は窓から外界を見聞きしている。主婦の家には午後には男性がやってきて子供が帰ってくると去っていく。午後は下水道工事の音が井戸端会議をかき消す。子供は帰ってくると空腹の叫びを上げて冷蔵庫を漁る音が主人公のところまで聞こえる。さて主人公はどこにいるのだろうか。これがわからないと、引越しが何なのかがわからないと思うのだが。

#9 恋愛の通り道
 この雰囲気だけの作品は何だろうと思う。
 この作品も、言葉遣いなどが粗いと思う。「説明するのがひどく面倒だった」は、面倒なのと答えがないことと説明できないことが同じではないため、矛盾を起こしている。「今度は彼女の唇からため息が零れた」の段と「彼女を抱きしめたい衝動に駆られる」の段は、惹かれているから抱きしめたくなるという流れのため、逆の方が良いのではないだろうかと思った。「僕の一言だけで真実を信じてくれたのだろうか」は、答えるべきことには主人公の主観があるはずなので、真実という言葉を使うべきではない。それから、「そして、言葉を操る術も僕は知らない」がなぜ「そんな言葉で疑惑を許せる女性を、僕は他に知らない」と並べられているのかもわからなかった。

#22 犍陀多の背中
 なぜ犍陀多なのか、そしてなぜ冒頭に思ったことと最後に思ったことが異なるのか、わからなかった。その間にあるものは料理で言えば素材なので、それだけでは何にもならない。だから何らかの調理が必要であり、この素材は調理すれば食べられるものなのだろうが、どのように調理すべきだっただろうか。

それ以外
#8 微過失
 締めのため「生まれてきてごめんなさい」が必要なのだろうが、随分と鬱屈した人格だと思った。
 展開のさせ方とリズムは良いと思う。

#10 夏の剣
 本当は私が読んだ以上にもっとあるのかもしれないが、書いていることが確実に伝わってくるので、感想として書けることがない。もしも投票するとしたら、これから感想を考えなければならない。

#11 島
 行くのに苦労するほど辺鄙な島でもなさそうだとおもったこと、怖い話は自転車には関係なさそうだと思ったことがあった。
 自分でもよくわからない原風景のようなものを探す気持ちはわかるような気がして、描けているのだと思う。

#12 傍ら
 このようなものを感想の放棄と言うのだが、この種の作品は長月氏の感想を聞いてみたい。今となっては叶わぬことだが。
 書きすぎないことでじとりとこの季節の湿気のように纏わりついてくるものがあるのだと私は思った。纏わりついてくるものは私の避けているもので、だからそれが何かは言い表すことができない。

#13 キュウリ
 キュウリはパックに使うと聞いたことがあるのだが。
 どう考えても自己顕示欲なのだが、敢えてずれたことを智子に言わせているのが技量なのだと思う。

#15 画一世界
 面白い主題ではあるのだがそれだけに難しいというのは、ときどき見受けられる。そこまでたどり着けない私はそれを批判すべきではないのかもしれないが、敢えてする。
 この世界は、マスコミと官僚が互いに干渉しない存在となっていて、それぞれ表の支配と裏の支配を担っているらしい。ひとりひとりが意見を持つことを認められていないこれが、効率化というものなのだろうか。このような世界が存在しえるのだろうかと、私は疑問に思う。

#16 瞬き
 考えた内容も心中推移もよくわかる良い作品だと思う。もしも投票するとしたら、これから感想を考えなければならない。言えることがないのだ。

#17 熱海と現実
 西日暮里と新宿と三鷹と池袋の位置関係がわからなくて、弱った。アナグラムから「池袋はリアルですね」という締めへの流し方が、相変わらず上手いと思うのだが、主人公の行動が見えなかったので、結局のところ読めていないことが残念。

#20 八月の光
 何の話なのだろうかと私は思った。足りないと思ったのではないがそれがわからなかったのは、読めていないせいなのだろうか。強いて言えば、他人のために生きるのではなく自分のために生きるというところに回帰できたことの喜びを描いたものだろう。

#21 イリュミナシヨン
 作品とは関係ない話をしてしまうが、qbc氏は先月あたりに、他の作品の漢字の遣い方に疑問を投げかけたことがあった。それはそれぞれの感性によるところだと思う。氏の漢字の遣い方も独特で、動詞にはあまり漢字を用いないようである。その理由も聞いてみたいところなのだが。感想を書くために改めて読んでみると、この作品、読点がひとつもない。これは氏の特徴ではなく、むしろさまざまな文体を遣うことが氏の特徴かもしれない。強いて言えば、体言止めやそれに近い言葉遣いが多く見受けられる。
 さて作品の感想だが、今回はわかりやすかったと思う。漫画チックな性格だからわかっただけなのかもしれないが、そのあたりは他の感想を待ちたい。それから、最後から二番目の文だけ兄の視点になっているのは、必要かもしれないとも思うのだが、良くないという印象を持った。

分類不能∋るるるぶ☆どっくちゃん作品
#18 エレキ発電所映画祭
 「そう言えばあなたには何も伝えて来なかったね。ずっと一緒だったけれどあなたには何も伝えて来なかった」の台詞が印象的。何を見聞きしようと本質はそこにあるのだという気がするが、気がするだけなのだろう。

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