リクエストをいただいたようなので、八海パートの返信をさせていただきます。
相も変わらず、拙い日本語ですみません。
〉 私がこの作品でやりたかったことは柔道です。柔道では相手の襟を掴んでゆすぶって、隙が出来た所に技をかけるものだったのではないかと記憶しています。
〉 「子犬のワルツ」では、突然ピアノを弾くことによって先生である主人公の足元を危うくし、すとんと目の前に立つことによって二人の立ち居地を変えることを試みています。
〉 そのためにあまりピアノ曲が重要な意味や印象を残して欲しくなくって、その上素人がパッと聞いてすごいと思う曲で、かつ短いという理由から「子犬のワルツ」を選曲しました。
補足説明していただき、ありがとうございます。おかげで、根本的な部分の考え方のちがいに気づきました。
長月さんは、この作品において物語の起点あるいは、転換点となるピアノの演奏を目立たせたくないとお考えなのですね。主役はあくまで二人の立ち位置というか関係性であるから、ほかのものは目立たないほうがいい。そう仰っておられるように感じました。なるほど、それも演出のひとつだと思います。
ですが、八海には、それがかえって違和感を覚える原因になってしまったのです。折角の物語の起点になんの意味も印象も与えないというのは、かえって不自然ではないでしょうか。例えば、ピアノ曲と今回の作品のイメージが重なるとか、戸川君のイメージがまさにピアノ曲のそれとピッタリ符合する(ここまでいうと、やりすぎという気がしないでもないですね)というような使われ方をされたほうが、自然だったのではないでしょうか。
誰でもすごいと思う短い曲なら、なんでも良かった、というのは演出として、少しもったいないと思うのです。
そういうことが頭の中にあったものですから、八海短文感想の内容が、子犬のワルツを弾かないで、というようなものになっているわけです。
別段、みんなが知っている短い曲を選ぶ必要もないかな、とも思います。
長い曲でも演奏は途中で止められるし、知ってる曲といっても読んでいるほうはあくまで、視覚から情報を得ているわけで、個人的には“4つのマズルカ作品67”とかのほうが読者にはハッタリ利くのではないかな、と思ったりします(知っている人は知っている。知らない人は、おおなんだかすごそうな曲だ、とか思ってくれないかなー、という期待が持てる…ような気がしませんか? 若干、弱気)。
まあ、あくまで個人的な好みの問題といってしまえばそれまでだとは思いますが。でも、冬の音楽室、二人っきり、静かに変わっていく二人の立ち位置に“子犬のワルツ”。どうしても二つのイメージがぶつかってしまう。ピアノの音符がウキウキ、キャンキャン言っているような気がする。
あ、あと気になったのが、
〉 窓の外を降りしきる、雪の速さに良くあっていた。
“子犬のワルツ”って結構テンポが速いと思うのですが、いかがでしょう。雪の降り具合がいまひとつ、想像しにくかったです。
かなり、長文になってしましました。
重箱のスミをつついたり、辛口の毒を吐いているかもしれません。いや、きっと吐いていると思います。
最後にこの場を使って、謝罪申し上げておきます。
感想のところにも述べたと思いますが「子犬のワルツ」は、とても素敵な話だと思うし、八海のなかでもお気に入りの作品です。
ただ、それだけに選曲がぁぁぁ…。(←くどい)
なにかの参考になれば、幸いです。
大変、失礼いたしました。