10 尋問 群青 489
友人からの出し抜けの質問とか、飲み会での赤い舌をちろりと出すような不躾な探りとか、あるいは企業のネットのアンケートでもいいんだけど、とにかく問い掛けられることというのは、何かを考えるきっかけになるから面白い。問い掛けというのは質問者の思考を土台にした視線だと思うんだけど、だから自分にとって良い質問というのは、自分にはなかった回路に火を入れられるような新鮮な刺激がある。
というところで発想はすごく面白いと思ったのですが、書いてあるのがアイディアメモレベルのボリューム感で、展開がもう少し欲しかったなあと。迫り来る畳み掛けられる押し寄せる質問に「いっそ殺して欲しい」というような気持にも共感できるんだけど、質問にもバリエーションを足せたと思うし、殺して欲しいと思う前に、一度質問者に共感してしまうというような凹みだって作れたと思う。
料理で言ったら塩味が足りないというような味像でした。味像というのは、いま作った造語です。音像みたいな感じで。
11 ある雨の日 水瑚 257
有りだね。これは有りだね。というか、公共交通機関に乗客俺だけ一人ぼっちだけみたいになると、確かにこんな感じになるかも。外が雨で、外の世界の風景が雨で一様のベールで覆われている時なんかは、特に。というのも、これも発想は良いなあと思うのですけれど、やはりひとつの感覚だけで、もうちょっと空間を押しひろげられたらもっと面白くなりそうなのにと思いました。とはいえ、発想は面白いのでこれはこれで有りなんだろうなとか思うのだけれども。ああでもこういった良い発想を軸に展開させた作品が他にあったらそっちのほうがやっぱり良いよなと考えました。
料理で言ったら、なんかものすごく美味しい葱をそのまま小口切りにして水洗いで辛味をさっと落としただけをそのまま食卓に供された感じです。水分ふき取ってないから水っぽいし、酢味噌あえとかでもいいからなんかなったんじゃないのかなとか、あるいはモツ煮込みの上にどさっと載っていたらとか、それに七味なんかかかっていたらとか、なんかそういうじれったさがあるのだと考えました。
12 観光地異聞 山麓 997
最後が気になって調べたんだけど、神経質で申し訳ないんだけど、「もぎ取られた」ならば、「噛み切る」ではなくて「噛み千切る」じゃないだろうか。「もげる」が「ちぎりとる」という意味のようなので。神経質ですみません。
動物が人間のようにしゃべっているというところで、なんだか日本昔ばなしみたいな手触りがあった。あと指輪を取られるだけでも十分怪奇事件じゃないのかなと思った。
言葉遣い含めて↑のようなことから、料理で言ったら、俺は玉子焼き甘い派なんだけど、その俺が玉子焼き食べたらしょっぱくて違和感があったというようなところです。
あとぜんぜん関係ないのですが、段落一字下げ言ってる方は、ブログの文章でも一字下げとかしてて徹底してんなと思いました。私自身は何があっても一向に構わない派になんとなく鞍替えしました。