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○高橋さん
感想への返信ありがとうございます。特に、絵里→主人公(恵梨)の話を読ませていただいて、私は私なりに得るところがかなり多かったです。
<小説というのは、「読み手の作者への信頼」と「この作品を自分は読んでいる」という意識の持ち方次第で、印象がまったく変わってくる>
↑ということについて、考えさせられるところがありました。ちょっとそのことについて書いてみます。
私は個人的に
・若い女性二人の会話
・不快感の連鎖でつづく描写
に興味を持てないので、それがどんな才能のある作者が書こうが、だいたい最初に読ませてもらったときは、自分の好みで判断してしまいますから、正直なところ、高校生っぽい二人組が、肉をクチャクチャかみ締めながら不快さを内包した会話をしている、というそれだけで、読み飛ばしてしまいそうになるという、そういう読者なのです。
そういうわけなので、私の最初の「感想」というのは、高橋さんの目指す方向を助けるものになるのかどうかは自信がなく、ただ思ったこと、私のスタイルからみた違和感を述べたので、それを受け入れる必要はむしろ、ない、と思うくらいだったのですが、
今回の絵里→主人公 視点を読んだときに
(あれ? これ、相当オモロイやん)
と、印象がまったく変わってしまい、もしも絵里→主人公バージョンが投稿されていた場合、これは投票していただろう、と思って、こういう自分を少し不思議に思い、それでは元の話はどうだったろうか、と思って「腹の中」を読むと、これまたおもしろかった。
それで、思ったのは、やはりこうした「作品」を通した感想のやりとりでも、作者の作品への熱のようなものは伝わるもので、こうして「改訂版」をすぐに書ける作者への私なりの興味だとか、絵里→主人公バージョンを「読もう」と思って、わりに自発的に読んでいってみると、作品の印象が全然かわってくる。投票するために全作品を流し読みしたときとは、伏線だとか人物描写への注意がまったく変わってくるのでした。そういうことに気付けて勉強になりました。
それで、改訂版を読むと、この絵里の主人公に対する愛憎半ばの感じが、ビシビシと伝わってきましたよ。主人公がいつも絵里の言いなりになることが、絵里には寂しい。おそらく昔から絵里が上の立場にいた友情関係だったかもしれないけれども、それでも子供のころの主人公はもっと心から絵里についてきたしイヤだと思ったときは、絵里とケンカもして、そのときにできた左目のキズだったかもしれない……などと、語られていないことの想像が広がってくる。
そうすると、絵里が主人公をいじめるのは、自分がつけた傷に対する無意識の罪悪感の反動で「いじめるしかない」となっているのかもしれず、絵里の主人公に対しての付き合い方の葛藤について、考えさせられる。この二人がもう少し年をとって、あらゆることにイラつくのではなく、何かを諦めていく年代になったときに、二人はいい友達になれるんじゃないだろうか、と実体験などを重ねてみたくもなってくる。
絵里の視点と主人公の視点と二つを読むことで、この二人の過去と今と未来までが見えるようなひろがりができてきたと思う。「腹の中」だけだと、やはり1000字の限界ということもあって、思春期のイラだちしか読めなかったけれども、こうして原稿用紙で数枚追加されただけで、印象がまったく変わりました。面白かったです。
「短編」は1000字小説ですが、高橋さんがめざすところは1000字専門作者ではないと思います。私は次期も「好みではないのでよくわからなかった」と普通に書くかもしれませんが、それが高橋さんの創作能力すべてにたいする感想、というわけではないので、その点誤解されることないよう。
というのは、高橋さんは1000字では収めきれない描写力の良さがあって、それを無理やり1000字に削ると、その良さを失ってしまう危険さえ感じます。なので1000字はあくまでもアイデア貯蔵としての投稿とわりきって、この「腹の中」を、主人公と絵里の視点で「絵里と主人公がファミリーレストランで食事をしていると、ばったり伊藤君とキープ君が二人で食事にきて、さらに本命までが他の女と入店してくる、グダグダになって絵里と主人公二人して帰り道をあるく」みたいな感じ(適当ですが)の中編小説(10000字=25枚、絵里の視点で5000字+主人公の視点で5000字)を書いてみるのはいかがでしょうか?
しかし、それは高橋さん自身の問題なのでこれい以上触れませんが、1000字は1000字として次期の作品も楽しみにしています。