仮掲示板

Re:89期

謙悟さんの感想をたたき台にして、わたしも感想を書いてみました。

〉#1
〉生気がないのは幽霊そのものより、むしろ幽霊がいなくなったあとの抜け殻のほうじゃないかなと。
〉最後のセリフで老人にしては若々しく、また軽い感じを出そうとしてるのかと思いましたが、それにしては軽すぎる印象。

『幽霊がいなくなったあとの抜け殻』というものをわたしは見たことが無いので困ってしまいますが、もしかして「霊魂が抜けたあとの死体」とかそういった意味でお使いでしたか? どちらにせよ、幽霊なんて見たことないので、『幽霊のように』という比喩は果たして有効なのかどうかという疑問は残ります。
前半部分の背景描写については、「イタリアだし、なんか魔法使い的なおじいちゃんとか居てもおかしくなさそう」と読者に思わせる演出だと思いますが、中途半端にリアリティを出すよりは、いっそ「学者は車中で悩んでいた。長らく降り続く雨の原因を調査しているのだが、最新の機器を使ってもまったくわからない。」みたいなはじめかたをすれば十分状況は把握できるなあと思いました。
あと、細かいツッコミですけれど、雨が降り続いている状況が異常気象なので、『異常気象により雨が降り続いていた』という文章はなんだか違和感があります。

〉#2
〉1回見たときはよく意味がわからなかったけれど、よくよく考えれば前の続きっぽいですね。情報量が少ないのか、情景が浮かびにくく感じました。

情報量は千文字です。少なくないです。量ではなく質の問題だと思います。
登場人物たちが住む世界についてもう少し厳密に定義してあげないと、作中で登場人物たちが世界の構造について悩んだとしても滑稽なことです。
吸血鬼は『まず、人間がこの魔界で生きていくにはどうしたらいい?』と質問していますが、そもそも冒頭で『死か、永遠の命か、好きな方を選べ』と述べていることから、「人間として死ぬか、魔物となって生きるか」というルールについては承知しているはずで、であればこの質問の意図は一体何なのだろうと考えてみると、単に作者がなにも考えていないだけだったらこの考察は無駄だ!、と思って思考停止しました。

〉#3
〉『スイミー』と『醜いアヒルの子』を足して2.5くらいで割った感じ。
〉最後「それが言いたいだけちゃうんかい」と思いました。

わたしは、カラスとインコを見間違えるような人間の存在を信じることができません。

〉#4
〉個人的結論は「気味の悪い話」。
〉わざとかどうかは知りませんが、ストライクゾーンがかなり狭いような。

たしかに「気味の悪い話である」としか言いようの無い内容でした。
グロテスクであることそれ自体は、わたしにとって評価の対象とはなりませんが、グロテスクな描写が大好きなひとびとは、「ぶふっ、ふ、ふへっ」とか言いながら読むのでしょうか。それを想像することのほうが楽しい。
たとえば、http://tanpen.jp/28/24.html、のような作品は、ただグロテスクなだけでない凄みを感じるのですけれど、じゃあ「ただグロテスクなだけでない」ってどういうことよ?、という問いについてはまた日を改めて考えますということで茶を濁します。

〉#5
〉『あらすじ』ではあるような気はしなくもないですが、少なくとも『短編』ではないと思いました。

『短編』って「短編小説」の意でしょうか。このサイトにおいては「千文字以内であること」が「短編」の条件であるので、少なくとも「短編」ではあります。
『俺の意識は、そこで途切れた』と過去形になっていることから、主人公は死んでおらず、実は『裏闇』の演技により死んだように見せかけたのではないか、というような推論が成り立つわけで、そうするとその後のストーリーについてもあれこれ妄想することができるのですが、作者がそこまで想定しているかはわかりません。

〉#6
〉登場人物に感情移入できる要素がないかなー、としか。

これ、『桜』と『大地』というのが人名ではなく、ほんとの「桜の樹」と「大地(地面、地球)」を指しているのであれば面白いなあと思って読んでいたのですけれどやっぱりそんなことありませんでした。

〉#7
〉モブキャラ子は要らないと思ったんですけど、だからこそこの立ち位置なんですかね。
〉勢いある感じはいいなと思いました。まんまのネーミングからは絶望先生っぽさを感じましたけども。

文中の「!」を「。」に変換するとそれほど勢いよく感じませんよ。

〉#8
〉『ポエム』ですね。

「これは小説じゃない! 詩だ!」って言いたがる勢力は強力なのですが、わたしも負けじと「その前に小説と詩を定義しろ」と言い続けたいと思います。
ただ、今回の場合に問題となるのが『ポエム』という単語であって、これはまさか揶揄としての『ポエム』なのでしょうか。つまり、「詩のなりそこない」とでもいった意味の。だとすればこれは由々しき事態です。全日本ポエム団体からの抗議も覚悟しなければなりません。
で、まあ作品自体の話なんですけれど、これ、ストーカーの独白だと思って読んでみると、『「キミ」の砦を今壊して…進む』とかすごく怖い。

〉#9
〉同年代の男性が同じ目的で同じ駅にこぞって降りるって何のためなんでしょうかね。
〉情景がいろいろな部分で現実的ではないような気が。そういう話なんでしょうか。

「主人公の服が扉の取っ手に引っかかる→主人公、列車から降りる→主人公、取っ手からシャツを外す」という、なんとも狂った時系列で書かれていて、なにがいったいどうなっているのでしょうか。

〉#10
〉情景押し。通学鞄から学生と推測できるけど、その割には年季を感じる語り口。
〉バスのくだりは必要性がイマイチわからなかったです。

必要性の話で言えば、他のエピソードもそれ単独の必要性はほとんど無くて、でもそれらを積み重ねることで何らかの効果を出そうというものだと思います。
なんとも長閑な様子が伝わってきます。

〉#11
〉『気味が悪い話』その2。
〉読後感はさしてよいものではなかったですが、それ狙いなら納得。

ほっぺたが伸びるというのが本当にびよーんといった感じに伸びるという話で驚きました。全体としては「ツンデレ萌え」に分類できるかと思いますが、そこに「とにかくほっぺたが伸びる」というなんとも奇妙なエピソードを含ませることで味のある作品に仕立てあげられています。
最後の三行が秀逸です。わたしは繰り返しに弱いのです。

〉#12
〉トータル:「この男は何をやってるんだ」
〉馬鹿馬鹿しさをよしとするのかあるいはバッサリいくかのどちらかでは。

すでに宇宙があるところへ精子をぶちまける話なので、どうしてこれが『天地創造』なのかとつっこみたくなりました。星があるってことは、光もあるってことですから。

〉#13
〉偶然なのは『天地創造』で前の作品と繋がってるところ。
〉目的地とか進行方向とかはわかるんですけど、若干蛇行してるような。もうちょっとはっきりした進路をとっていければよかったかと。

気づくと俺はベッドの上で大の字に縛られている。傍にはじーちゃんが冗談みたいに大きなハサミを持って立っている。「球はいいぞぉ、球はよぉ」とつぶやきながら、チョキン、チョキン、とハサミを開閉し、俺の両腕はあっけなく切断される。さよならを唱える間もなかった。
みたいな状況が間に挟まれていたかと思うと興奮しますが、まあ、ないですよね。
直進すると引っかかりがないし、蛇行するとまどろっこしい、という葛藤は物書きにとって永遠の課題です。

〉#14
〉文章自体に違和感とかは感じなかったんですけど、そのせいかさらっと終わってしまったような感じがします。
〉引っかかりが少なかったような。

小説というものは嘘が書いてあるので、違和感を感じなかったというのは褒め言葉だと思います。つまり、よくできたお話であるということです。
実際よくできた話です。π姫との邂逅について語ることで主人公の人物像を間接的に浮かび上がらせています。エピソードがつつがなく繋がっています。が、なぜに『よもつひらさか』なのかは拾いきれませんでした。

〉#15
〉誠の心情が伝わってきて、それがよかったと思います。
〉後悔というか、悔しさというか。

十四歳なのにセックスけしからん!!!!!!!!!!!!!1111111ぬぬぬん、とか思いましたが、それも含めて、悪意のなせる所業ですよこの作品は。

〉#16
〉忘れられないのだーーーにも読めます。というより、最初そう読みかけました。
〉裏切りとあるけれど、どのように裏切ったかの経緯がわからない限りは同情もできないしあきれることもできないです。

「忘れられないのだーーー」と読むにしろ読まないにしろ、狂ってますよね。ふつうの会話をしている最中に突如として奇声を発するやつ、みたいな怖さ。

〉#17
〉コンソールってなんだっけと思いながら、ああなんかコンピュータルームっぽいところかなと思ったのに数分かかったり。
〉処分する側の話を展開するならば、そちら側の世界観の説明がもう少し欲しかったです。

こういった、オチというかアイデアを楽しむ作品は、読み終わったあと「へー、なるほど」と思いはするけど二度と読み返しません。読み捨てです。

〉#18
〉描写はいいと思うんですけど……。
〉好みの問題かなあ。それとも既視感か。

このオナニー描写の必要性について考えているのですけれど、読者サービス以外に思いつかないです。
#12ともども、『短編』における性描写の限界に挑戦でもしているのでしょうか。まさか。

〉#19
〉なんともつかみどころがわからない感じ。
〉そんな世界観を表現してるのに違和感をさして感じないところは巧いなと思います。

軽妙洒脱な語り口でさくさく読めますよね。このとぼけた味わいのある奇妙な文章は、漫画家で言えば黒田硫黄に通じるものがあるとかないとか思いました。

〉#20
〉題名にカプチーノをつけてるわりにはカプチーノの印象がそんなに強くないような。
〉序盤を少し削って、後半をもうちょっと印象付ければよかったかなあと個人的には思います。

それぞれパッとしないエピソードでも、複数が重なることで何か意味ありげなものに見えてきます。その重なりの中心になるのが『カプチーノ』である、という内容ならもうすこしまとまりが出てくるのでしょうね。

〉#21
〉どう収束するかが結構気になったんですけど、オチが少し弱いと思いました。
〉前半はよかったと思います。

エヴァンゲリオン劇場版のラストシーンに対するオマージュです。ちがうか。
『うんこしたい』は非常にプリミティブな生の叫びと読みました。が、いくらでも深読みできるのでずるいと思います。

〉いろいろ毒舌ですいません。
〉全部にちゃんとした感想書くのって結構難しいなあと思いました。

勝手にたたき台にしてすみません。ありがとうございました。

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