第95期 #15
― 樹海を抜け出すと 目にまっすぐに飛び込んできたのは
星屑またたくユートピアだった ―
☆★星屑ユートピア★☆
そこは夜なのに星屑の光でとても明るかった。
そこで男の子が一人なにかをしていた。
君はこんな所でなにをしているの? と、僕がたずねると、その子は星屑を集めていると言った。
遠く離れた場所に研究所があり、集めた星屑をそこで売って生計を立てているのだという。
僕よりも4つくらい年下だろうに、偉いなあと思った。
「そんな事より、ここは明るくて危険だからモンスターがくるまえに逃げよう!」
「どこに?」
僕はなにも言えなかった。
迷子だからどうしようもないのだ。
「ねぇ、お兄ちゃん。ぼくの星屑、とらないでね?」
「いらないよ! 大体そんなのどこにでも落っこちてるだろ!」
「こんなにいろんな種類の星屑、みたことある?」
そういえばそうだ。
赤、緑、黄、青。色とりどりの星屑は、とても鮮やかで綺麗だった。
「……ほしい?」
いらないと言っているのに、しつこく訊いてくるものだから怒ってしまった。
仲間からはぐれたイラ立ちと、戦える力のある者がいないこの状況に焦っていたからかもしれない。
「うるさい! そんなのもってたってしょうがないだろ!」
するとその子は、なんの脈絡もなしに何故かにこっと笑った。まるで僕の心を見透かしているかのように。
「星屑はね、ぼくたちを守ってくれるんだよ」
やはり子供だ。ただの星屑にそんな力があるわけない。もしそんな事を信じてるようなら、僕が教えてやらないと。
「だからっ――」
説明する口を開いたそのとき、その子の背後から大きなモンスターが襲いかかってきた。
僕は怖くてその子を置き去りにして一目散に逃げ出した。
そしたらなぜか、その子を無視して僕を襲ってきた。
「なんで僕を狙ってくるんだよっ!!」
あの子のほうが小さくて弱いのに、動物の性格的に間違ってるじゃないか。
走る事よりも現実を受け入れない事に必死だった。
ふと、モンスターの足音が消えている事に気がついた。
はっとなって振り向くと、モンスターは倒れて動かなくなっていた。
「星屑……?」
モンスターの頭の上に星屑が刺さっていた。
偶然だろうか? 空から星屑が降ってきてそれが当たったんだ。
僕は悠然と歩いてくるその子を息を切らしつつも見た。
「ね? いったとおりでしょ?」
またなにも言えなかった。というより、安心していたのかもしれない。
その子と、星屑の、その力に。