第92期 #10

ども、武者小路実篤でーす

 社内の人間がどういう従属関係にあるのか最後まで全く分かんなかった音楽系映像会社のバイトをクビになり金がないので、道に落ちている吸殻をマジで拾って再点火しちゃってロシアン間接キスしながら新代田を歩いてたら、いきなり異次元への扉が目の前に現れやがって間違えて入ったのね。そしたらクロノトリガーの裁判してたとこみたいな場所に出て、俺より十ぐらい年下の女の子がファンタジーな格好して俺の前に立ってんの。周りではプゲラゲラ笑ってたりため息ついたりしてる大人がいっぱい、判事みたいなフォーメーションで座っててさ、えらく年齢差のあるいじめの現場だと思ったね。
 そこで俺、ピンと来て、この娘、ルイズじゃね?『ゼロの使い魔』の。やべえ、俺、最新刊までぜんぶ読んでるんだよ。ルイズが目の前に居んだぜ。ウルトラ動揺だよ。マジどうしたらいいの?サインもらうっておかしいだろ?大体、この娘がルイズで俺が才人だったら、今、メッチャ疎まれてる状態なんだよ。俺は召喚失敗の結果なんだから。つか俺の名前は武者小路実篤であって平賀才人じゃねーし。
 もう訳わかんなくなったんで、俺は踊ったんだよ。右手で指パッチン刻んで、口笛吹きながら、タップダンスをやったんだよ。I love the moss eternally〜♪そしたらルイズは怒ったよ。曰く「あんた、何してんのよ」。何をしてるかって、そりゃダンスをしてんだよ。ダンスは表現の一形態で、人間がリズムを伴って身体を動かすことによって成立する。音楽を用いて行なわれることが多い。訳語は舞踊。坪内逍遥が初めて使われたといわれている。
 そこで目が覚めたんだ。俺はワゴンカート星人に連れ去られて宇宙船の中に居た。ワームホールを利用した長距離ワープの最中だったが、宿敵のパラレルゴーヤ星人が緊急戦争をしかけてきたので俺も駆り出され、肩甲骨を折り全治三カ月の命だった。退院後、俺は殊勲恩赦により帰星しメキシコで探偵になり、さかさまmp3プレイヤー殺人事件を解決して世界長者番付で88位にランクインしてしまった。
 目が覚めたらルイズが泣きそうな顔が目の前にあった。「心配したのよ、ばかっ!」の一言で俺はボッキンキーン!しかしラノベルールにより俺は実際の勃起はおろか、地の文でそれを描写することもはばかられた。しかしそんなのは書きようの問題なので『朝の生理現象』などと捻じ込んだが夜だった。



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