第87期 #14
昨日、世の中というものに決別をくれてやった。エコとかいう前向きな響きがなんとも胡散臭く感じたからだ。最後に世の中は「社会常識が」なんて他愛もないこと言うもんだから、ぼくは幾千もの恩寵と慈しみをこめて、大統領席のすぐ脇にあるボタンを押してやった。
そういえば世界は2012年にきれいさっぱり滅びるのだそうでマヤの預言書だかなんだか知らないけれど、それをほのめかすことがいろいろと書いてあるそうのだそうで。
しかし、本当に申し訳ないんだがそれを書き直してもらわないといけなくなりそうで。
なぜなら、昨日僕が最後のボタンを押しちゃったからなんだ。ただ誤解しないでほしいのは、僕は何も意図などしていなかったってこと。
別に僕は、悪気があったわけでもなく、世の中を変えてやる!みたいなチェさんやマインホフさん的崇高な意思や、信念があったわけでもなくて、あんまり世の中が、能率能率いうもんだから、そんで社会常識とか、エコだとかしょうもないことばっかり言うもんだから、ついついかぁぁっとなって、押しちゃったんだよねボタン。それに今考えると、あのボタンとても魅力的だったんだ。見ているうちに、なんかもわぁぁっとなっちゃって、むにって押し込みたくなっちゃうんだよねあのボタン。これ、押したら気持ちいいんだろうなって。それで迷わず。押し込んじゃった。ごめん。
今閻魔さまの尋問受けたところなんだけど、僕は嘘なんか言ってないのに、「嘘つけ!動機はなんだ!」とかいわれて、舌抜かれちゃった。やっぱり舌がないとうまく喋れないないもんで、喋れないからこうやって手紙かいてるんだけど、マヤさんにとどくかなぁ。あと、同じ職場のAさんとB部長には、一度謝っておかないといけないよな。お子さん生まれたばっかだったんだもんな、悪いことしたな。でもしょうがないか、みんな消し飛んじゃったんだから。償えっていったところでできるわけないし。
さっき大統領脇にあるボタンって言ったんだけど実はどこにあるか本当はわかりません。僕は自宅のServerからinternetでPentagonのコンピュータにFuckしてただけなんです。
だから僕が押したのも大統領席のボタンでなくてPCのEnterキーだったんけどそしたらなんかISDNだかICBMだか偉そうなミサイルが飛んできちゃって、世の中消えちゃった。
やれやれ世の中はえらく便利になったもんだ。