第86期 #3

生徒会の秘密

「今度の生徒会役員は、美女を任命することにする。生徒会役員は顔で選ぶ」
 生徒会担当の教師は全校生徒の前でいった。みんな、動揺して、大騒ぎだった。中には喧嘩したやつらもいるらしい。
 そして、美少女五人による生徒会がつくられた。
 生徒会の就任演説の前に、生徒会担当教師が美少女五人を呼び出して、秘密の会議を開いた。生徒会副会長になった佐々木はこんな担当教師なんか、殺してしまおうと、本気で怒っていた。生徒会役員を顔で選ぶ? 冗談じゃないよ。確かに、顔でわたしが選ばれたのは不思議よ。わたしって、そんなに美人だったっけ。でも、美少女五人に学校の生徒会を任せるような、民主主義でない生徒会など、許さない。顔で生徒会を選んだ担当教師を殺してやる。本当にそう思っていた。
 短い秘密会議の中で、担当教師がいった。
「公には、今回の生徒会は顔で選んだといってあるが、実は性格で選んだ。このことを絶対に秘密にするように。おまえたち五人がこの学校で最も性格のいい五人だ」
 ひとことで、意識がふっとびました。
 マジ泣きだったんです。生徒会の秘密がそんなものだったことに。
 殺したいほど、憎んでいた相手が、正体が大善人だったことに。
 だから、わたしは生徒会の仕事を本気で頑張ったんです。会長には絶対服従でした。あの人が、確かにかわいいファンクラブまであるあの子が、この学校でいちばん性格のいい女の子だったなんて。逆らえるわけなかったんです。



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