第85期 #8

青空

9時ごろにようやくへたりながらも仕事を終えて、気持ち足を引きずりながら電車に乗った。
外には永遠と家の電気が続いていて
どうしようもなくむなしくなった俺は郊外の安い貸家より4つ先の駅で降りたんだ
何も無い
駅前ですらやってる店がほとんどねえじゃねえか
俺は歩いて、30分もかけてその辺を探検しつくした
何も無い
辺りには車も居ない、歩行者なんて居る訳無い
だまってアスファルトが道を作っていた それだけ
俺はくやしくなってスーツのままで道路の真ん中に大の字で寝たよ
寝転んだ拍子にネクタイに首を絞められて 硬い靴は俺の邪魔をして
だけど俺は横たわった
雲ひとつ無い、真っ暗な空がどこまでも続いてたんだ
おれはその中にひとつだけ異様に明るい 優しく俺を見つめる月を見つけて ソイツをぼんやりと見つめ返した
月の周りの星がどこからかきた雲に隠れる。
俺は我が家に帰るために汚れたスーツで電車で揺られながら
明日は同じ場所で、太陽に挑んでやるんだと決意した



Copyright © 2009 .Shin / 編集: 短編