第81期 #5

裏返し

雲ひとつない真っ青な晴天・・すれ違う人々は皆さわやかな軽装と笑顔だ。五月ゴールデンウィーク北海道では今年の最高気温を記録した。それなのに私達は折りたたみでもなく、大人使用の大きくて長い傘を二本も持ち、しっかりと大雨準備オッケーの格好で旅先の動物園行きの無料バスへ乗り込んだ。天気予報は旅先のホテル内テレビニュースで何回も何回も確認したはずなのに・・ん?!旅先?!またやってしまった!!何回も確認したのは自分の住んでいる町の天気予報だった・・ウキウキがまたいつもどうりどんよりに変わる。さあ!いつもの一日が始まるんだ!ここからすべてがリンクする。動物園に着いた。早速歩き始めるが大きな二本の傘と雨具の入ったずっしりとしたバッグが歩きを鈍らせる。せっかく喜ばせようと連れてきた小さな娘も周りの装いと真逆な自分たちにさすがに気付き最高の不安顔・・動物どころの気分じゃない。もたもたしていると後ろからツアーで来たらしい観光客のご夫婦が「すみません、カメラお願いしてよろしいですか?」と・・勿論笑顔で引き受けシャッターを押そうとしたその瞬間!!ガシャーーン!!!カメラを落としてしまった!手が滑った・・カメラはうんともすんとも動かなくなってしまった。壊れた。平謝りに謝り弁償しますと言う私。そしてそのご夫婦は「いえいえ、大丈夫ですよ!私たちも無理にお願いしたんですし、お気になさらないでくださいね!!」でも申し訳ない気持ちで一杯な私もどうして良いか分からず・・そうこうしているうちにツアーの時間がありますのでとそのご夫婦は沢山の人ごみの中足早に去っていってしまった。ごめんなさい。ご夫婦に対しても隣にいる娘にも・・・娘は今の目の前で起きた事実にとうとう泣いてしまった。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。 自分は今目の前に居る人物に対して 笑顔になってもらう
努力を絶やさず努めているつもりだ。一緒に過ごす仲間や家族さまざまな場合でもいつもいつも心がけている。・・・それが空回り 裏返し 失敗の連続・・・情けない。自分自身にもがく毎日。せめて娘だけはそう・・私のようになって欲しくないなと願うばかりだが DNAは恐ろしい・・それでも明日も明後日も笑顔だけで生きてゆく。


Copyright © 2009 リベルテゆき / 編集: 短編