第8期 #8

赤い男

採石場の崖を背に、4人の男女が現れた。
「イエロー・Ж!」
「ブルー・Й!」
「グリーン・Щ!」
「ピンク・Ъ!」
そして崖の上から、1人の男が飛び出した。
「レッド・Я!」
5人は、組織の戦闘員達を全滅させ、そして人質の少女を救出した。それを見た幹部の男は巨大化で対抗するも、5人の操る合体ロボットの前に敗れた。5人は組織の野望を阻止することに成功した。

基地に戻った5人だが、一人の男が不満を挙げていた。レッド・Яに変身していた合である。「色が嫌なんだ。何で俺が赤なんだ」
「色か…」「それは意外」「何でそんなことを」「馬鹿みたい」他の4人の反応は様々だった。
「ランドセルでも、トイレでも、赤って女物の色だろう?なのに博士は、俺に赤いスーツを押しつけてきた…おっと丁度良かった」合は入室してきた博士の方へ進んだ。「博士、何とかしてくれ!俺は赤が嫌いなんだ」
「何のことかね?合君」
「俺のスーツの色を変えて欲しいんだ」
「急に言われてもな、使えるスーツはあの5着しか無いんだ。1着作るだけでも相当な時間がかかったんだぞ」
「それなら色を塗り直せばいいじゃないか」
「だったらこれを試してみないか?」博士はポケットからスプレー缶を取り出した。「試作品の迷彩スプレーだ。これを使えば好みの色に塗り分けられる筈だ」

翌日、再び組織の戦闘員が河原に現れ、子供達を人質に取った。その時、対岸に4人の男女が現れた。彼らが名乗りを上げた後、合は川の中から勢いよく飛び出した。
「ブラック・Я!」
幹部の女は驚いた。「ブラック・Яだと!レッドじゃないのか!」
「俺はもう、レッドじゃない。ブラック・Яだ!」合は自分の言葉に完全に酔っていた。

戦闘員達は川を越えて襲いかかったが、「ようし、ここはこのブラック・Яに任せろ!」と張り切る合一人によって全滅した。他の4人は人質の救助に回ったが、全員を解放させた時には、幹部の女は合によって打ち倒されてしまっていた。呆然となる4人の前で、合は拳を突き上げた。「見たか!生まれ変わったブラック・Яの力を」
地面に倒れた女は、脇腹を押さえながら唸った。「ええい、こうなったら奥の手だ!」と言うや否や、女は巨大化し、5人に襲いかかった。
「何やってんだ!合体ロボを呼べ!」合は4人に向けて怒鳴った。
十数秒後、上空に5機の戦闘機が現れたが、それを見た合は急に頭を抱えた。
「しまった!、機体を塗り直すのを忘れていた!」


Copyright © 2003 Nishino Tatami / 編集: 短編