第8期 #20
二人の決意は決まっていた。お互いのどうしようもないことは分かっていた。
ここは最初のデートできた思い出のレストランである。
キースはいつも通りに振舞っていたが、いつもより巨大な海綿体の充血に佳代子は気づいていた。
おそらく今日は決意しなければいけない日ということを。
「不倫は嫁に食わせるな」という石田純一の有名な言葉あるくらい不倫は魅力的であり、
一度はまったら抜け出せない一種の麻薬である。佳代子は昔からジャンキーであった。
一度はまったら抜け出せない性格で、以前はまった「ペヤング」では見るもの触れるものに
お湯を注ぎ、湯きりをした。彼女の優れている点はかやくを麺の下にしのばせるので
湯きりの際にかやくがもれないのことであった。特許申請中である。
そんな佳代子とキースの出会いはフリーマーケット。キースが出した誰も買わない五月人形に
、佳代子がガソリンを撒いて放火したのがきっかけである
。燃える人形を鬼の形相でみつめる佳代子をキースが手をとって逃げたときには二人の心は結ばれていた。
いわゆるヒトメボレである。
キースには嫁と子供がいた。キースはそのことを佳代子には打ち明けていなかったが佳代子は気づいていた。
女のカンである。愛は勝つはKANである。でもKANは負けっぱなしである。
そのこともあって佳代子はそのことには触れなかった。草刈正雄のヅラくらい触れなかった。
触れたら壊れてしまう。それが怖かった。この関係が終わることただそれだけが。
食後のコーヒーが運ばれ来た。キースはコーヒを一口飲み込み佳代子を見つめた。佳代子はキースの
言葉を遮るようにいった。
「何も言わないで。分かっているから」
俯いたままの佳代子にキースは涙し、深くお辞儀をした。すまない佳代子。ありがとう佳代子。
さあ行こう。素晴らしい未来のために、走ろう。二人は手を取り合って店からダッシュした。
二人の輝かしい未来のために。