第77期 #5

明るい

ジジジ・・・真夜中の公園ではタバコに火を点ける音までが聞こえる。さっき読んだ漫画のせいかこの季節のせいかは分からないが、なんとなく外にでて白い息を吐きたくなった。
今、僕は公園のベンチに一人腰掛けている。何も考えることがない、悩みがない。あ〜それが今の悩みかと思うと、そんなことを考えている自分に矛盾を感じてせっかく吸った煙を苦笑いと一緒に吐き出してしまった。僕が吐きたかった白い息はこれとは違うんだが、まぁいいか。
時々通る自転車の音に少し耳を傾けて、遠ざかる度にちょっと寂しくなる。雲の一部になった一本文の白い息を見上げて、深くため息。さぁ帰ろう。そろそろ体も冷えてきた。・・
帰り道でふと思い出して笑った。さっきのはいいため息だったなぁ、家に着く頃にはアイツも雲になってるかな。



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