第75期 #4

僕の天使

「えっと…誰さんかな?」僕の家の玄関前に舞い降りた彼女は、もう十二月になるというのに白のワンピースしか着ていなかった。
「僕、君を知らないのだけど…?」彼女はそれが何?というように僕を見た。僕は寒くて寒くてしょうがなくて「えっと…入るかい?」と扉を開けて招いてみた、「入る」喋れるわけね。

コーヒーを入れて彼女に渡してあげた。「苦い…これ嫌い。」文句ですか…まぁいいけどさ。「砂糖とミルク入れたら飲めるかな?」コクリと彼女が頷いた。
甘くなったコーヒーを飲む彼女に僕は質問をした。「君の名前と年齢と後住んでるとこ教えてくれるかな?ちゃんと家帰らないといけないし。」彼女はムスッとして顔を僕から背けた、「じゃあ…名前だけでいいから教えてくれないかな?君呼ぶときこまるし」(あとは警察に届けるにしても名前は必要だしね)なんてことを考えていると「エンジェル」と彼女が答えた、(それって名前なわけ?)「えっと名ま「エンジェル」「だから名「エンジェル」「あの…「エンジェル」「…わかったよそのエンジェルちゃんは僕に何の用があるのかな」「ペット」・・・「僕はペット屋さんじゃあないんだ…残念ながら」「貴方のペットになる!」(僕にはそんな趣味は…無いのだが…)僕は土下座して「要りませんっ」と言ったのだが、彼女はどこから出したのか首輪を持って「つけて?」(僕は無視デスカ。)「うん…わかった君の意思は充分わかったから、帰ろうか。」


結局彼女ことエンジェル(?)は帰らなかった、「じゃあ…バイト行くから」ガシリッ僕の服の裾をエンジェルが掴んでいた、「離して欲しいなぁ?」「嫌。」(…この子は何なんだもう!)「わかったよ…バイトまでまだ時間あるからまだ居るよ、それでいい?」スルッと僕の服から手を離した、プップルルルルーと電話が鳴ったガチャリと電話をとって「はい、もしもし」と言うと母がでて「お父さんね、昨日死んじゃったのよ…昨日…連絡出来なくてごめんね…ごめんね…ごめ…なさ…」「嘘…だろ」そのあと母は謝っていたけれど、俺の耳にはもう届いてこなかった。ガチャリ…受話器を置くと彼女が「ごめんね、辛いかもしれないけど、お父さんからの伝言伝えるね、「お前は生きろ、死ぬのは俺の歳越えてからにしろ」って…」
「君……!?…父さんらしいな…ありがと。まだ…そこに居てくれな。」「うん。」僕は彼女の膝で眠りについた…。



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